『ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編―』

(スティーブン・キング著 浅倉久志訳 新潮文庫刊 本体781円+税)

 

 キングの中編集です。

 表題作の「ゴールデンボーイ」と「刑務所のリタ・ヘイワース」の2篇が収録されています。どちらも映画化されました。私が特におすすめするのは後者の作品。

 

 私は映画の方を先に観て、感動で鳥肌がたったのを覚えています。

 主演はティム・ロビンズ、モーガン・フリーマン。

「ショーシャンクの空に」と言われてピンとくる方もいらっしゃるのでは? この映画の原作が「刑務所のリタ・ヘイワース」です。

 

 端的に言えば「30年かけて脱獄に成功した男の話」。しかし、ただの脱獄物に仕上げていないところが、“モダンホラーの旗手”キングのすごいところです。

 

 妻殺しの冤罪をかけられて刑務所送りになった主人公を中心に、さまざまな人間模様を垣間見ることができます。リアルな筆致がこの物語が実話かと見まがうほど。

 

 根底に流れている物は「希望」です。

 主人公が最後に見せる奇跡が人々の心を希望で満たします。

 

 希望――。

 いい言葉です。

 

 そんなに長い物ではありませんので、みなさんも是非ご一読ください。