LET’S SING A SONG !
先日、大手のビデオレンタルショップ「ツ○ヤ」でビデオを物色していたときのこと――。
当然の如く、新旧のヒットソングが店内のスピーカーをガンガンに震わせ、こちらの鼓膜を否応なしに刺激している。こういうのはもう慣れたもので、およそ店内にBGMを流しているところならもはや当たり前になっている状況――。僕も音楽を聴きながら働ける職場にあこがれたものだ。
しかしここは客として冷静に考える。自分の好きな曲ならまだいい。リズムをとりつつ面白そうなビデオを探すのにも拍車がかかるというものだ。が、好きでない、むしろ苦手なジャンルだとけっこう苦痛だったりする。リズムが上手くとれないので拍車はかからない。彼らは聴覚にヅカヅカと土足で踏み込んで来るので思考の妨げになる。正直うるさいって思うこともしばしば。こういうこと感じる時点で、僕が年取ったのだろうか。とある店(「ツ○ヤ」じゃあないですがレンタルショップ)では店員の好みなのかGacktの唄(紅白で彼がギター回してたやつね)が何度も何度も無限ループの如く流れていた。飽きっぽい僕にはもはやこれは拷問に近い。そうそうに借りるビデオを決めて店を脱出。少し痩せた心地がした。
枕はこれくらいにして――。
ダンスナンバーのようなアップテンポの曲が終わり、静かで心地良い歌声が流れ始めた。
おおきなのっぽの
古時計
おじいさんの時計〜
そう平井堅が唄う「大きな古時計」だ。ラブソングの名手が唄う童謡。結論を先に言ってしまうと、いいものはいい! 彼の甘く切なくそれでいてハートフルな高音が無理なく僕らの胸に届き心に響き渡る――。感動しちゃいました。
この曲により平井堅を国民的歌手にしたというのは言い過ぎではないと思う。
数秒遅れてもうひとつのBGMが――。店内にいたチビッコ達が曲に合わせて一斉に唄い出したのだ。これもまたいいもんですよ。けがれなき彼らの心が唄う「大きな古時計」。けがれっ放しの心が洗われる思いでした。いや、本当に。
たかが音楽、されど音楽だ。落ち着いたテンポで優しいメロディの曲は心身を無理なくリラックスさせストレス解消を助けてくれたり。一定のテンポを刻む曲はトランス状態を無理なく誘発し必要以上に熱狂させたり。弱気になりそうなときに力強い曲を唄うことで気持ちを高揚させたり・・・・・・。音楽がもたらす効用はご存知の通りです。そしてもうひとつ。この店内のチビッコ達が我知らず唄い出したように、音楽には全員の心をひとつにする力がある。しかし戦時中などは軍歌や行進曲のように悪用されることもしばしば。専制国家の北朝鮮では将軍様を称える唄があるときく。要は使いようなんだろうか。
なんて小難しいことを考えているとふたつのBGMが終わりそうだ。僕は我に返った。
そしてAVコーナーにいる自分をちょっぴり恥じた。
(2003年7月6日)