優しい月
ある国では空に二つの姉妹月が見る事が出来ました
一方が少し形が大きかったので姉、もう一方を妹だとその国の人はいいました。
そして姉月は「温かい月」、妹月は「冷たい月」と呼ばれました
なぜかって?
それは暖かい日には姉月が、寒い日には妹月が、
そしてそれ以外の日には二つの月が仲良く空でかがやいていたからです。
国の人々はそんな月に親しみを込めて名前をささげたのです。
しかし、月に名前を付けてから、何年何十年何百年と時が経った頃
人々は噂をするようになったのです
・・・冷たい月は心が冷たいから、夜を寒く冷たくするのだと・・・
そんな月なんか要らないと・・・
囁きあいました
それを聞いて悲しんだのは冷たい月でした
自分はもう要らないのだと思ってしまったのです
そうして、冷たい月は何日も何日も泣き続けました
そんな月を見て姉月は、悲しくてなりませんでした
国の人に≪妹月はあなた達を嫌っているから夜が寒くなるのではありません≫と訴えました
けれど、国の人々はそんな話に耳を傾けません
「冷たい月が泣くようになってからいつもより夜が寒い」
「やっぱり、あいつのせいだ」
「温かい月よ。このままあんなやつを出さないで、ずっと私たちの夜を照らしてくれないか」
そんなことを言い出すのです
姉月はいくら自分が嫌われなかったと言っても、長いこと一緒に暮らしてきた妹が嫌われているのです
そんな状態を見て彼女の心もつめたくなっていきました
するとどうでしょう
温かい月が空に輝くときでさえ夜は寒くなってしまったのです
夜、外へ出ることのできない日が続きました
国の人々は驚き、そして困り果てました
困り果てた人々は長老へ相談しに行きましたが、長老さえも解決策を考えることはできませんでした
そんな時、空を旅する彗星が千年ぶりにこの国にやってきました
彗星は話を聞くとこう言いました
≪あなたたちは、どうして冷たい月を嫌うのか。彼女はとても優しい心を持っているのに・・・≫
「しかし、冷たい月のせいで私たちは夜外に出ることもままなりませんん、夜を寒くしてしまう月なんかは嫌いです」
≪では、なぜ冷たい月は夜を寒くすると思う?≫
「私たちに嫌がらせをしているのでしょう」
すると、彗星は人々を優しく諭しはじめました
≪冷たい月は、とても優しい心を持っているのだよ。
この国で悲しいことがあると一緒になって悲しんで、そして自分の心を冷たくしてしまうのだ。
悲しいことがあっても冷たい月が半分持ってくれるのだよ。
そして冷たくなった心の分だけ夜が悲しく冷たくなってしまう。
けれど、忘れないでほしい悲しみを半分持ってもらった人間は少し元気になれることを・・・
冷たい月はとても優しすぎるのだよ≫
人々は考えました。自分がとても悲しかった出来事を
すると、そこにはいつも冷たい月が優しく見守ってくれていたのです
それから、人々は冷たい月に今までのことを謝りました
悲しんでいた妹月も姉月もすぐに人々を許しましたのです
そして、今でも国では二つの月が見ることができます
ひとつは姉月の「温かい月」
そして、もうひとつは妹月の「優しい月」が・・・
いつの夜も優しく夜を照らしています
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