目覚めると、雨が降っている。 あの人はもういない。
 雨の日はいつもお仕事。それで、あたしはひとりぼっち。

 いつか言ったの、あたし。
「雨なんか降らなきゃいいのに」
 って。そしたら、あの人、
「それじゃ、仕事出来ないだろ」
 って苦笑い。
「出来なくていいじゃない!ずっと側にいれるんだよ?」
 あの人は無表情で一言。
「仕方ないよ」
 そうして、雨の中出かけていった。

   あなたに降る雨を払うことができればいいのに。
 そしたら、あなたの隣にいれるのに。

 雨はまだ止みそうにない。
 あたしは、急いでお風呂場に行き、お湯を沸かし始める。 熱気が顔に当たり、心地よい。
 あの人は仕事の後は、血まみれで帰ってくる。
 あたしは理由を聞かない。  あの人が、どんな仕事をしてようと、あたしの気持ちに変わりはないから。
 あたしはただ、お風呂を沸かして、あの人の帰りを待つだけ。

 部屋に戻ると、いつの間にか雨は止んでいた。 あの人はまだ、帰ってこない。
 仕事が長引いてるのかしら……。
 あたしは料理の準備に取り掛かることにした。
――今日は豪勢にしよう。
 あたしは微笑んで、お腹をさすった。
「あなたのこと報告するからね」
 ふと、窓の外を見ると、大きな虹が掛かっていた。




----------------------------------------------

  「雨音」書き直しバージョン