10センチメートル未満の命


知り合いの家に赤ちゃんが生まれた

と言っても生まれたのは猫の赤ちゃん

「遊びにおいで」と誘われたので猫好きの俺としては行かずにはいられない

到着すると真っ先に猫のところへ

子猫達は安心しきった様子で母猫に寄り添っている

久しぶりに会った母猫の顔も何だか穏やかな感じだ

ここまできたら子猫に触りたくなるのが人情ってもの

しかし母猫は俺に対して警戒心を抱いているようだ

無理も無い、自分がやっとの思いで出産したわが子

少しの時間とはいえ、心配で離れたくはないのであろう

そんな母猫の気持ちを察して少し遠めに子猫達を眺めていた

開けたばかりであろう目はくるくるとして可愛い

時折見せるあくびなんかは愛くるしさをかもし出している

無理に抱いたら壊れそうな小さい体

母猫の愛に守られて眠っている

それが見れただけでも充分だった

知り合いもそれじゃあ、あんまりだと思ったのか

母猫の隙をみて、子猫の一匹を俺に手渡してくれた

長さ10センチメートルにも満たない小さな生命

俺の両手の中で生きている

体温が感じられる

この猫はこれからどんな生活をしていくのだろう

猫好きの家族に可愛がられ、母猫の愛情をたくさん受けて

どんな風に成長していくのだろう

10センチ未満のこの体の中には未来が詰まっている

可愛がられる猫

いらない、邪魔になったからと簡単に捨てられる猫

可愛がられる猫、捨てられる猫、そして拾われる猫

この猫たちにはいったい何の差があるのだろうか?

猫たちには差なんてないはず

飼っている人間達の差が猫に影響を与えているのだ

もともと野良猫なんていなかったのだから

同じ10センチメートル未満の命

環境だけで左右されるなんて悲しいことだと思いませんか?



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