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八戒がもし右手を負傷したら:ごきげんよう的席替え
八戒が紅孩児の刺客との格闘中に右手を怪我した。
「八戒どうだ?」
三蔵が煙を吐き出しながら尋ねる。
「ダメみたいです。神経をやられてしまって気孔術の治癒力を使っても治癒が追いつきません。明日まではものを握るのもちょっと…すみませんこんな所で。」
「かまわん。1日ぐらいどうにでもなる。」
「でも、この辺はずっと砂漠なんで夜になる前には町に着きたいんですよね…」
三蔵は綺麗に描かれた眉をすっと寄せる。地図によるとここから次の町までは
50Km以上あり、1日で歩ける距離ではないのだ。とすると、八戒の変わりに誰かが運転しなくてはならず…。
「じゃあさ、三蔵運転すれば?」
名案とばかりに悟空が話に便乗する。
「ザケんな。面倒くせぇ。ンなもんカッパで充分だ。」
「はぁ?何で俺がやんなきゃなんねんだよ。俺は誰かさんと違って刺客と格闘
中に大活躍だったからくたくたなの!オワカリ?」
「無駄に動き回るからだ。おい、日が暮れるぞ。グダグダ言ってる場合か?」
ビキッ
悟浄のこめかみで不穏な音がした。それを見計らうように八戒。
「ま…まあまあ。悟浄も早く町に着きたいでしょう?僕が助手席(となり)で逐一進路を誘導しますから町までちょっと頑張って下さい。三蔵もいちいち悟浄の言う事に反応しないで下さい。どうせ時間の無駄ですから。」
「チッ。わかったよ!絶対町までだかンな!(今さらりと酷いこと言わなかっ
たか!?)」
悟浄は根は苦労人(笑)ブツブツ言いながらも運転席に座る。三蔵様は八戒の
後ろの席につき、発進するや否やすぐに午睡モード。一見順調かに見えたが…。
「ちぇー。悟浄が前にいると何かムカつく…いてっ!」
ご機嫌ナナメのためにむくれた悟空の顔に悟浄の流した髪がビシビシあたるのだ。
「むう〜!!」
ぎゅううう…
「いってぇ!!?このクソザル!髪引っ張んな!俺は運転中なの!三蔵にかま
ってもらえよ。」
「ちっげぇよエロガッパ!髪が当って痛てぇんだよ!その頭どうにかなんない
の!?」
「あぁ?お前に言われたくないっつうの!ツンツンしたヘンな頭しやがって。
お前将来の夢はハリネズミだろ。」
「Σ(・□・)なに〜!?」
悟空が立ち上がりかけた所で八戒保父さん登場(笑)
「悟浄、ケンカもいいですけど前見て運転しないと…」
「うわっ!アブねぇっ!」
「って、遅かったですね。」
キキ〜ッ!!…ゴン!
「ふぅ〜危なかった。オッぎりぎりセーフじゃん。俺ってばさすが〜♪」
「えっ?じゃあさっきの“ゴン”って音、何でしょうね?」
「何って…何だろ。」
悟浄がぐるりと視線を巡らせるとそこには赤い額を擦りもせずに静かに怒る三蔵様が…。
「さ、三蔵?(汗)」
「…テメーブッ殺す!!」
「うわーιタンマ!!」
パーンパーン(教育的指導)
急ブレーキで体が前のめりになるのを抑えきれずに前の席の背もたれに容赦なくぶつかった恨みは深い。
「もういい(怒)俺が運転する。」
悟浄は思わず恐ろしい疑問を八戒にヒソヒソ尋ねる。
(なあ、三蔵って運転できんの?)
(さぁ?でもアクセルとブレーキの位置はわかってるみたいなんで大丈夫じゃ
ないですか?)
そういう問題なんだろうか…悟浄はそう思ったが、ニッコリ微笑む八戒とやる気満々の三蔵を前に口にはできなかった。
(ま、どうにかなんだろ。)
なんだかんだ言いつつ結局アバウトなところが魅力(?)の彼である。助手席にごそごそ移り、三蔵に絡むことも忘れない。
「じゃー俺が三蔵の運転さばき見てやるよ♪」
「ウゼぇんだよ。来んな。ジャマだ。」
取りつくシマもない。
「まあまあ三蔵、旅を始める前も運転は殆どしたことがないでしょう?誰か見てた方がいいですし。悟浄しっかりナビして下さいねv僕は後ろで寝てますから。」
そして運転は一生に一度あるかないか、三蔵様がすることになった。
「まあナビはまかせろって!」
そう言って方向を確認する悟浄は、三蔵に教えるという立場に優越感を刺激されるのか、かなり嬉しそうである。
(それにしても八戒のやつ、俺と三蔵を残して寝るだぁ?ったくいいご身分だよな←怪我してるんだってば)
しかし悟浄はボーッと考え事も出来ない事態に気付いた。
「ん!?三蔵、今んとこ左だぞ?」
「…わかっている!」
「わかってって…バックしねえの?」
「(怒)煩ぇちょっと黙ってろ!」
「なあ、まだつかねぇの?俺腹減っちゃったよ〜。」
「お、お前何時の間に寝てたのよ。それよりバカザル、このままだと三蔵様のステキな運転で町には一生着けねぇかもよ〜(ニヤリ)」
「それはどういう意味だ!」
「ええ〜?悟浄わかんなぁいv」
「なぁもう何でもいいからメシ〜!」
バン!!
「わかりました」
「「「…」」」
(今…怪我した右手で、しかもジープを叩いたよな…)
(うるさい黙れ)
(八戒何かいつもと違くない?バックに黒いニオイがするんだけど…)
八戒がすっと顔を上げるとメガネがキラリと光る。
「もういいです。こうなったらジープに自動運転してもらいます。」
「「「わ、わかった。」」」
(って、なんで始めっからそうしないんだよ!!)
3人が心の中で見事にハモった瞬間だった。
ヴォォン!!ブロロロ…
「うわあっ!?」
「おいっ急発進はやめろ!」
「なんか運転俺より荒くねぇ?」
「言い忘れましたけど、ジープはスピード狂なのでしっかり掴まっててくださいねv」
そして今日も一行は西へ向かって大爆走するのでした。
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