Mr.研修医!

第一話


[いいか、毎日何百人もの人が死んでいるところは病院だ。でも、それより多くの、もっと多くの人を救っているのも病院だ。

 これは、僕が先輩の卒業式で先輩から聞いた言葉です。僕はこの言葉をいまでも胸に刻みながら、今年大学を卒業して、

 研修医としてある病院に勤め始めています。そこは、耳鼻科だから死人はでません。でも、自分も医者として、

 先輩の言ったことを思いだしながら、人の命を救うって素晴らしいと感じています。先輩、去年はありがとうございました  療治]


「、、、、だーー!くそー!うまく書けない!だいたい、こんな心にもないこと書いたってしかたないしな〜。」

 一人の若い男が白い服をきて、机でなにか書いていた。見た目は、ただのつっぱった小僧に見える。

 彼は、この物語の主人公、佐藤療治。彼はいま、大学時代にお世話になった先輩に、感謝の手紙を書いているところだが、

 うまくかけなくて悩んでいた。その時一人の女性が、彼の部屋に入ってきた、白い服に白い帽子、どうやら看護婦のようである。

「センセ、患者さん来たわよ。はやく来てください。」

 看護婦はそう言って部屋から出ていった。療治はしぶしぶ立上がった。それもそのはずだ、彼はこの時休憩時間中だった。

 たが患者がくれば休憩はそっちのけにしなくてはならない。医者とはそういうものである。

 部屋をでた療治は、患者のいる部屋にむかった。その部屋に着いたとき、そこにはひとりの老人が座っていた。

「あ、先生、今日もよろしくたのみます。」

 老人は深々と頭をさげ、診察用のイスに腰掛けた。老人は、鼻が病気だったため、療治は鼻を検査し始めた。

「う〜ん。前よりもかなりよくなっていますね〜。鼻血は最近でますか?」

 療治は、患者の鼻にライトをあて、そこを見ながら尋ねた。

「最近はでなくなりましたね。先生の治療のおかげですよ。ありがとうございます先生」

 老人はまた深々と頭を下げた。ホントに療治を信頼しているようだった。

「え〜では、次回から来なくても大丈夫ですね。これからはお薬だけで大丈夫です。あちらで薬をもらってください」

 療治はカルテを見ながら話していた。

「はい。わかりました。先生どうもありがとうございました。失礼します。」

 老人はそう言って帰っていった。しばらくして療治の元に、この病院の院長らしきひとがやってきた。

「あ、院長。おはようございます!あの、この患者さんなんですが、、、もうお薬だけで充分だと思ったんで薬だけだして、

 もう来なくて大丈夫だって言ったんですが、よかったですか?」

 療治はさっきの患者のカルテを院長に見せた。院長はカルテを受け取り、しばらく考え込んでいた。

「佐藤君、この患者さんはまだ検査が必要じゃないか?今は完治しているようにみえるけど、いつまた病気が再発するかわからんだろ?」

 しかし療治の意見は違っていた。あの患者はもう充分完治している。これ以上時間をかけても無駄だと言い張った。

 その時院長は、療治に言った

「君は確かに優秀だ。大学を首席で卒業しただけある。だが、あくまでそれは教科書の知識だ。患者はひとりひとり、

 完治までの時間は異なるんだ。そういうのを理解できなければ、いつまでたってもいい医者にはなれないぞ!」

 院長は、療治には医者として素質があると感じていたから、必死に言ったが、療治は理解していなかった。

 そのときだった、急に病院のドアを叩く音が聞こえた。療治は、気まずい雰囲気を抜け出したいという気持ちがあったのか、

 ドアのほうに向かった。ドアの外では、二人の男がいた。一人は足とおなかを血だらけになって気を失っているようだった。

 もう一人の男はその男を背中に乗せ、ドアを叩いていた。療治は、最初あせったがすぐに冷静になった。

「すいませんが、ここは耳鼻科の病院です。ですから、他のところに行ってくださいますか」

療治にそう言われた男は、必死に助けを求めてきたが、療治は断り続けていた。その時、後ろから院長が様子を見にやってきた

「むっ!これはやばいぞ!一刻を争う問題だ!佐藤君、たしか緊急用の治療セットがあったはずだ!すぐにだしてきてくれ!」

院長はそう言って、患者をベッドに運んだ。療治は、院長の考えが理解できなかった。

 だが、院長の凄い剣幕におどおどしながら用意した。 支度が済み、いよいよ手術が始まった。

「佐藤君!まず患者の服を切ってくれ、、、ん?どうした?」

 院長がみたものは、がたがたに震え、ただ立っているだけの療治だった。

 院長は療治の異変に気付いたが、一刻を争うため、看護婦に服を切る作業をやらせた。

「佐藤君!次は俺の指示通りに、道具を渡してくれ!おい佐藤君!」

 療治はまだ立っているだけだったが、院長の声に我にかえった。

「は、はい。わかりました!」

 療治は精一杯声を張り上げた。院長は、それを聞き安心した様子で手術に集中した!

「メス!」

 院長は軽く手をだした。療治は慌ててメスをさしだした。こうして、耳鼻科の病院で、外科の手術は始まった。 

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