Mr.研修医!
第三話
次の日から、またいつもの日常がやってきた。しかし一か月後その日常は崩れ去ってしまうことになったのだった。
その日療治は仕事が終わり、家に帰っていたのだったが、一台の車が療治に突っ込んできたのだ。
運転手は若者で、どうやらお酒を飲んでいるらしくよっぱらい運転だった。
療治は避ける間もなくぶつかってしまい、すぐさま病院に運ばれ手術をした。
手術に要した時間は5時間25分と長かったが、なんとか一命を取り留めたのだった。二日後、療治は病室で目を覚ました。
隣には母が椅子に座って心配そうに療治を見ていた。
「りょ、療治!気が付いたのかい?よかった〜。心配したんだよ〜!」
母は泣きながら言った。母のとなりには一人の女性が立っていた、一瞬看護婦かと療治は思ったがよく見ると女医だった。
「ほら、こちらはあんたを手術して下さった先生だよ。お礼をいいなさい。」
母は隣にいた女医を紹介した。
「このたびはどうもありがとうございました」
療治は女医をみた。年は自分よりすこし下ぐらい、まだ医者になって間もないな〜と感じた。
「医者として、当然のことをしたまでですよ。あ、お母さん、もう面会の時間は終わりです。療治さんも安静にしないといけませんし。」
女医は母をみて言った。母も、軽く謝り部屋を出ていったのだった。
そして病室には療治と女医のふたりだけになっていた。
「久し振りね、療治。わたしはあなたをずっと捜していた、けどまさか耳鼻科の病院にいたとはね、、、。
なんであの時、私から離れていったの?あなたは私と一緒に開業医になろうっていったじゃない。」
女医は療治を睨んだ。
「え?」
療治ははじめ誰かわからず戸惑っていたが、しばらくして誰かわかったようだった。そして急に下を向いた。
「、、、すまなかった、療子。それにしてもずいぶん雰囲気が変わったな、最初は全然気付かなかったよ。」
療治は昔を思い出しながら言った。
「そりゃそうよ。あなたとは、もう5年近くは会ってないんだから。」
療子は療治を見ながら言ったがしばらくしてふと立ち上がった。
「あなたは外科しかできない、いや外科こそがあなたの才能を開花させるもののはずよ。なぜ外科から耳鼻科に?
なぜ私のまえから姿を消したの?」
療子は、療治に背を向けていた
「お前には言いたくなかっんだ、、、親父を殺してしまったことは、、、」
療治はボソッとつぶやいた。
「殺した?ねえどういうことよ!!」
療子はすごい剣幕で療治に問いただした。
療治ははじめ言うのをためらったがゆっくり言い出した、、、
話し終わったあと、療子は言った
「それは、医者としてしかたないことじゃない。自分を責めることはないわ。」
療子は療治にむかって叫んだ。療治はふと自分の手を見た。
「そうかもな、、、でも体が言うことを聞かないんだ。震えて震えて、止めようにも自分じゃ止められない。
そうしているうちに、頭の中は真っ白になってしまうんだ。、、、実は一か月前に、緊急の患者さんを手術したんだ。
最初はまだよかった。でも患者の容体が悪くなると駄目なんだ。なんとかあの時は立ち直れたが、次も立ち直れるとは限らない」
療治は自分の手を見つめながら言った。
「、、、さっき、あなたのとこの院長にその話し聞いたわ。でもね、あなたはそんな状況のなか人を救ったのよ。自信、持ちなさいよ。」
療子はそう言って部屋をでていった。部屋に一人残った療治は、近くにあった本を投げ捨てた。
「、、、ちくしょう!」
そうつぶやいて、、、