Mr.研修医!

第六話

 休憩室で一息ついたあと、療治は家に帰ることにした。じつは、密かに病院では療治の退院パーティーを準備していたが、

 悲しくも無駄になったことに、療治は知るよしもなかった。

 次の日、療治は久し振りに病院に行った。玄関前に立った療治はちょっと照れていた。

 おそらく、「佐藤先生!おかえりなさ〜い。」とか、「佐藤君、退院おめでとう!君がいなくて寂しかったよ!」

 などの反応を予想したからだろう。しかし、予想と現実は違うものだった。

「ただいま戻りました!」

 療治が病院に入ってそう言うと、院内の人達の態度がどこか不自然だったのだ。

「あっ、ああ、おかえりさい。」

 目が合わさった看護婦はかなりどうようしていた。

「?どうしたんです?みなさん何か不自然ですよ。ところで院長は?どこにもいないけど、、、」

 療治の質問にさっきの看護婦は、またもや動揺した。

「何かあったの?」

 療治は悪い予感がした。看護婦は、目を手で押さえながら下を向いた。

「じつは、、、院長は、、、昨夜の、、、」

 看護婦はその先を言わなかった。いや言えなかった。悪い予感がした療治は一目散に院長室に入っていった。

「院長!」

 療治がそこで見たものは、、、なんと、、、

「ざ、、ざどうぐん゛?ぎ、、きのうはさ、みんなでぎみの退院いわいの準備をしていたんだよ、、、

 なのに、、なのに、君はこなかった、、、」

 院長は泣きながら言った。その瞬間、療治の頭にはある二文字の言葉が浮かんだ。[きも]である。

「い、、院長、昨日はすいません。いろいろあったものですから、、、。」

 療治は院長と目を合わせないように、そう言って部屋をでた。

「な、、、なんなの?あれ、、、」

 療治は部屋の外にいた看護婦に小声で聞いた。

「じつは昨日ね、療ちゃんの退院パーティーを準備したのよ。院長さ、すんごくはりきってて、夜中まで待ってたのよ、、、」

 看護婦はちょっと笑いながら言っていた。

「そ、、そうなんだ、、、ごめんね?」

「い、いいのよ。実はパーティーがさ、院長の趣味だらけで気持ち悪かったから、、内心なくなってほっとしてるの。」

 看護婦はすこし照れながら言ったが、療治はそのことに気付くことはなかった。

 さて、ここでこの病院について紹介しておきたいとおもいます。

 この病院に看護婦は4人しかいません。小さな病院だし、病院名だって院長の田村って名前をとって、
 
 [田村耳鼻科病院]なんていうしょぼい町医者だから4人で充分だろう。医者は田村院長と佐藤先生だけである。

 看護婦たちは、看護婦と患者というなんとも甘く切ない恋愛を望んでいたが、現実は寂しく、

 じじばば相手ばかりしているうちに唯一年齢が若い佐藤に目を付けているようだった。

 しかし当の本人は気付いてはいなかった。

 狙っている看護婦の一人目は田村翔子。実は院長の一人娘で療治に一番年が近い。

 おせじにも美人とは言えないが、まあまあってとこだろう。

 二人目は、高原久美。性格はちょっときついかんじだが、仕事はよくできる。療治に対してのアプローチは一番少ない。

 しかし、顔は凄く美人である。

 三人目は榊原高菜。一番おとなしく、あまりしゃべらない内気な性格であるが、酒を飲むと性格が変わり、

 療治にがんがんアタックする。顔はいまいちだが、眼鏡を取るとかわいいかもしれない。

 四人目は河村佳子。ここのお局様であり、ただのおばさんである。しかし、恥とかためらいというのを知らないのか、

 療治に対してのアプローチは半端ではない。

 こんな四人と療治と院長の計六人で、この病院は経営しているのだ。

 そして今まさに、看護婦たちの[療治争奪戦]が始まろうとしているのだった。

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