Mr.研修医!
第七話
療治が現場復帰してから3日が過ぎたある日。その日の勤務は榊原さんと河村さんだった。
「榊原さん?あなた、ちゃんと医薬品のチェックやった?」
河村さんは榊原さんに厳しく質問した。その隣では療治が患者のカルテを見ていた。
おそらく河村さんは療治にいいところを見せようとしているのだろう。
「あ、あの、チェックは、、あの」「やったの?やらなかったの?はっきりしなさい。」
河村さんは横目でちらっちらっと療治を見ていた。
「き、、今日は忙しかったので、、、ま、まだ見てないです、、」
榊原さんは、ち〜さい声でぼそぼそ言った。
「あ、あなたね〜。薬品のチェックは常識でしょ?なに甘ったれたこと言ってるの?」
河村さんはさらにヒステリックに喋る。まるでおばたりあんである。そして、榊原さんはついになきだしそうになってしまった。
「泣けばいいってもんじゃないでしょ?あなたね、看護婦としての自覚がないのよ!」
河村さんは、榊原さんに勝ち誇ったように言った。しかし、次の瞬間事態は急変した。
「まあまあ、榊原さんだって一生懸命やってるんだから、大目に見てあげなよ。」
なんと療治が榊原さんの味方をしたのだ。河村さんはかなり動揺したようだった。
「し、、しかしですね、彼女の上司として、私は彼女の指導をしているんです。
私のようにパーフェクトな、パーフェクトな看護婦になってほしいので。」
河村さんは誇らしげに言った。
「パーフェクトね〜。じゃあさ、あれはどうなったの?今日の診断書の件。たしか記入漏れがあったよね?」
「あ、あれは、、、、」
河村さんが戸惑っている時に、療治はニコッと笑いながら二人に言った。
「パーフェクトな人間なんていないさ、たしかに医療にはミスが許されない。
最近医療ミスが多いからね。でも、パーフェクトに、パーフェクトにって気を張り詰めていたらもっとミスしてしまう。そうだろ?」
療治にそういわれた二人は顔を赤く染め
「そ、そうですよね。」
と言うだけだった。療治は、何故二人が照れているのかわからなかったようだったが鈍感というのは罪作りなものである。
そしてその日の帰宅途中、河村さんは思い切って療治に聞いた。
「療治君ってどんな女の子がタイプ?」
普通の女の子なら、もじもじしながらいうかもしれないが、河村さんにはそんなものはなく、かなり強引だった。
「河村さんって帰り道の方向同じだったんですね。う〜ん、女の子のタイプですか?う〜ん、守ってあげたくなるような子、ですかね?
結婚しても姉さん女房っていうのはちょっとパスですし。やっぱり女の子はタメか年下、せいぜい二つ上ぐらいまでですかね。」
療治がそういって河村さんをみようと横を向くと、そこには河村さんの姿はなかった。
どうやら、[パスです]のところで固まって動けなくなったようだった。
河村 佳子 カウンターにより1R・KO!リタイア。
そしてその会話を陰で聞いていた榊原さんは、「守りたくなる子。それってもしかして」
と言ってうれしがっていた。
こうして一人減り、次の日から三人のさらに壮絶なバトルロワイアルが始まった。
次の日の勤務は田村さんと高原さんだった。
その日院長が患者さんの様子を診てて、療治がカルテを整理している時に第二ラウンドが始まった。
「佐藤君はそろそろ結婚とかしないのかい?もう二十代前半だろ?早い子なんて18、19歳で結婚しているよ。」
療治はしばらく悩んでいた。その会話を奥にいた二人も聞いていて、仕事そっちのけで会話を聞いていた。
「結婚か〜。まだそういう話がピンとこないんですよ。今は仕事で手一杯ですし、、、」
療治はまるで他人事のように言っていたが、看護婦にとっては他人事ではなかった。
「そうか〜。仕事で疲れたときなんか愛する妻がいるといいもんだぞ〜。まあ尻にしかれると癒してくれないけどな。ははっ!」
療治もそろって笑い出す。
「そうだ。うちの翔子なんてどうだ?まだドジでおっちょこちょいだが優しいいい子だ。」
「翔子さんね〜。」
療治はしばらく考え込んでいた。その後ろで隠れて聞いていた二人のうち翔子はすごい心臓の音をさせていた。
(療治くんが私のことをどう思っていたかいまわかる、、、)
心臓の高鳴りを必死で抑えながら聞いていた。
「もし、、翔子さんと結婚したら院長がお義父さんになるんですよね〜。なんだか、、、
院長を[お義父さん]って呼ぶ想像してみたら笑えてきちゃいますね!ははっ!」
療治は軽く笑った。そして院長も笑っていた。
「確かに!君が息子になるなんて考えたら笑えるな!!」
二人が笑っている後ろで、田村さんは沈んでいた。
田村 翔子 コークスクリューブローにより2R・KO!リタイア!