67.Q この世の生きることが「苦」である、というのはどのような意味ですか?
A 「人生は思うようにならない」という意味で、仮に、「苦」と表現しているんです。
このような説は仏教誕生(紀元前500年頃)以前、紀元前1000年頃のインドにすでにあった「輪廻説」が元になっている。
輪廻(サンサーラ)とは、生死、流転、輪廻転生ともいう。車の輪がまわって果てしがないように、衆生(生きとしていけるもの)は生まれては死に生まれては死ぬというサイクルを、永久に繰り返すというものです。この世に生を享けたもの、思い願ったようには生きられない。また、「死」という絶対的な現実を避けることもできない。このように考えた時、輪廻転生のこの世は、苦しみ以外のなにものでもないことが実感として迫ってくる。
ところで、努力しても思うようにならないときに、わたしたち日本人は「苦しい時の神頼み」などといって、困った時にだけ神仏に祈って助けを求める。そうして「咽元過ぎれば熱さを忘れる」の諺のように、苦しみが何らかのかたちで解決されたりすると、もう何もなかったような日常にもどってしまう。
一方、神仏をたよりしない人にはおもうようにならないときに、自から考え、友人や理解者に相談して、世間の常識にそった方法で問題を解決してしまう。
このように人生の問題(生きる意味や人生の目的)を、根本的に解決しないで先送りばかりしていると、似たような諸問題が我が心みにふりかかるたびに、悩み苦しまなければならない。この世を生きることが「苦」であるというのは、今、私たちが生きているこの現実に、苦が起き、苦が生じていることだったのです。現実を直視すれば、この世は、「迷いの輪廻」そのものだったのです。