美しかった、白い肌が、整った顔が、勇壮に戦う姿が、そして・・・微塵の迷いもなく人を切るあなたが。私は、そんなあなたに惚れてしまったのかもしれない・・・。
戦場で君とワルツを
私の名はアルフェイス、暗殺を生業としている。家族はいない、幼いころに私は実の親に売られたそうだ。だが別に恨んでもいないし憎んでもいない、それどころか何の感情も抱かない。私は暗殺者だから余計な感情は必要無い。痛み、苦しみ、恐怖、安心、怒り、悲しみ、そして愛情。そんなものは必要無かった、そう、彼に会うまでは・・・
彼と初めて会ったのは戦場だった、我が軍の進行を食い止めるべく派遣された指揮官、それが彼、双剣のユウヤだった。彼が我が軍の軍勢を一人でけちらしていくのを見て、私は震えた。人は人を、こんなにもこんなにも、美しく殺せるのかと。彼がルーファス(我が軍のエリート、軽薄だが腕は立つ)と一騎討ちを行った時の事は忘れられない。あんなにも私の中のなにかが熱く燃えたぎったのは初めてだった。その戦に私は伝令として参加していたのだが、すでにそんなことはどうでも良くなっていた。
「ふうっ、はあっ」
気合いのこもった斬撃をくりだすユウヤ。
「ふはは、やるねぇ君ぃ」
その斬撃を紙一重でかわしていくルーファス。
「ふはははは、なるほど。これは僕も本気を出さなければいけないみたいだねぇ」
そう言うとルーファスの剣が虹色にゆらめきだす。
「夢見心地のまま死に給え、幻夢剣」
そのまま剣をユウヤに向かって振り下ろす。幻夢剣、ルーファスの持つ最大の技である、どうやら精神を破壊して即死させる技らしいが・・・。なにぶん本人が軽薄なために技に緊張感に欠けるというものだ。そのまま勝負は決まると思っていた、いくら軽薄でも奴はエリート。戦闘だけならば私にもひけをとらないからな、そう考えていたが実際は違っていた。ユウヤは剣の柄に手をかけ、
「天地流抜刀術極意、天地爆砕剣」
そう言って刀を抜いた。一瞬だった、ルーファスが剣を振り下ろすよりも早く、私が彼の剣筋を見極めるよりも早く、勝負は終わっていた。ルーファスは剣を折られて鎧を破壊され、血塗れになって横たわっていた。
「どうです、まだやりますか」
「ふふっ、なるほど。君は本物のようだね、ぐっ、僕も死にたくないんでねやめとくよ」
「それでは、ここの所はひいてくれますね」
「ふっ、しかたないね。ここの所は退いてあげよう、たが、だがしかし、このルーファス負けた訳ではないからね。いいかね君、覚えておきたまえ。幻魔騎士ルーファスの名をね、それでは僕はおさらばするとしよう。カモン、歌う船よ」
彼専用の飛空船、歌う船が彼と彼の部下達を回収していった。そして戦場には彼と彼の部下と私だけが残った。
「ふう、終わったみたいだね。大丈夫、君達に怪我は無い?」
「はっ、大丈夫であります。サムライ軍団の人員百三十名、一人の欠員もなく無事であります」
「ふう、それは良かったよ」
彼と彼の副官が会話をしている。どうやら戦闘が終わって油断しているようだ。・・・どうする?ここで彼を殺すか?。サムライ百三十人ぐらいならば何の障害にもならない、しかし・・・。私に彼が倒せるのだろうか?私と彼の距離は十メートルぐらいだろうか、この距離ならばなんとか殺れるはずだ。それとも、ここは一旦退いてガイナス様に知らせるか?一瞬ためらう、しかしこんなチャンスはそうそう訪れないだろう。正面からやったのでは勝ち目が薄い、やはり今しか無いな。ブゥン、手に気合いを込めて刃を作り出す、気斬。私の必殺技だ。この見えざる刃で何人もの敵をほふってきた。集中力を高め飛び出すタイミングを待つ。しかし・・・。
「ああ、そうだ。そこの茂みの所にいる君。君も早く帰った方が良いよ」
えっ・・・。
「今なら見逃してあげれるから、早く逃げた方が良いよ。うん、追いかけたりとかしないからさ」