Masquarade
赤と黒の花[4]
2人は今茂みの中に隠れている。10m程で砦の入り口が見える。橋は今降りているようだ。
「どうする、マナ?」
「橋が降りてるし中に入ってやっちゃえばいいでしょ。壁のおかげで中から外には出られないし。何かいい作戦が有るなら別だけど」
「それでいいか。道に迷ったんですなんて言い訳は通じそうにないし」
「この格好じゃね」
そういうマナの格好は普通の服の上に黒いマント、アルフェは黒い革鎧をつけている。
「一応の作戦はとりあえず入り口まで走って入って、あとは好きなようにって事でいい?アルフェはもちろんあたしにも矢は当たらないだろうし」
「まあね。とりあえず橋と建物は焼いちゃってね」
「うぃ」
「行こうか」
そう言うか否かアルフェイスは茂みから飛び出す。マナも慌てて続く。
「普通みっつ数えたらとかでしょ〜」
最初見張りは慌てた様子だったがすぐに大声を上げる。
「敵だ!」
アルフェイスにもマナにも矢が飛んでくるが、気にする必要もないらしい。的確によけて入り口に近づいていく。一気に入り口に突入する。
とりあえずアルフェイスは手近な建物に近づく。彼女は無表情にあせって出てくる兵士たちを見つめていた。
「結構数がいるわね」
そう言って手裏剣を出すと、一度に何枚も投げつけた。兵士たちに反応できるわけもなく目やのどや心臓を貫かれて死んでいった。すべて致命傷になるような位置を狙っている。時間に比例して死体が増えていく。あっという間に地面に血が染みていく。すぐに出てきた兵士は残り1人になってしまった。
「なあ助けてくれよなんでもするからお願いだ命だけは見逃してくれよ」
必死に哀願をするがアルフェイスはその眸に何の感情も浮かべずそれに近づいていった。が、そのとき、
「よくも仲間を!」
後ろから兵士の1人が剣を振りかぶって襲ってきた。が、1歩横によけると腰の短剣を引き抜きそのまま後頭部に突き刺した。
ざしゅっ
返り血が彼女を紅く染めた。この隙に先ほどの情けない奴は逃げようとして立ち上がろうとしたところだったのだが、逆手に持ち替えたナイフで頭頂から一気に突き刺した。情けない奴を消したアルフェイスは、ナイフを頭から抜くと、死体を道に転がる石のように蹴飛ばし、次の建物に向かった。
一方マナは手始めに橋を炎の魔法で落とした。兵士たちが近づいてくるがあわてずに髑髏の飾りが先端に取り付いた杖を構え、呪文を唱え始めた。
「炎よ、我が敵を貫く矢となれ、炎矢」
炎の矢が空中に十数本出現する。矢といってもマナの魔力だと1本1本が2m弱ある。それが兵士たちに襲いかかる。貫かれた兵士は全身が発火し死んでいった。外れた矢の1本が建物に突き刺さる。しかし兵士たちの数はまだまだ結構いる。
「めんどくさいなぁ。ちょっと大技使うか。アルフェもあたしの魔法の範囲内にはいないでしょ」
呪文を唱える間にも敵が増えるのだが、そんな事は気にしない。
「炎よ、我が意に応え我が敵を食らい尽くせ、炎流」
爆発的に炎が広がったかと思うと建物も人もお構いなく燃やしていった。後には炭が残るばかりである。
「こんな馬鹿な・・・」
この部隊の指揮官のリッキーはつぶやいていた。なにしろ年端の行かない女2人に自分の部隊を壊滅させられているのである。残っているのは彼と、彼の腹心である魔道士グリーンだけである。そして元凶の女2人は目の前でのんきにしゃべっている。
「アルフェ、どっちやる?」
「どっちでもいいわよ」
「じゃああたしが魔道士のおっさんやるね」
「はいはい」
「じゃ、そういうことになったんで、おとなしく死んじゃって」
そういっていきなり炎矢をグリーンに放つ。防御呪文を唱えようとしたグリーンだが、間に合わずにあっさり死んでしまった。
「おのれぇ」
やけになってリッキーはアルフェイスにつっこんでいく。当たったかに思えた長剣は虚しく地面をたたく。
「なにぃ」
「お〜影分身」
マナがいちいち解説を加えている間に、アルフェイスはリッキーの背後を取っている。鎧に向かって心臓の位置に掌底を叩き込む。
「かはっ」
「お〜鎧通し」
リッキーも血を吐いて倒れ、後には2人だけが残った。
「柵を焼いて、報告をして、さっさとガイナス様のところにかえろ、アルフェ」
「そうね、川で水浴びしてからね」
「ガイナス様に汚い姿を見せるわけにはいかないもんね」
軽口を叩く2人の頭には今までの戦闘の事などない。廃墟に背を向けてとりあえず二人は川に歩き出した。
まえへ
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