Masquarade
Mana in Black[1]
城の一室ディアの部屋に2人の人間がいる。とはいっても外見が人型に見えるだけなのだが・・・
「お呼びですか、ディア様?」
赤毛、赤い瞳の少女が問う。
「ええ」
ディアと呼ばれた20代に見える妖艶な美女が応える。
「お前の妹のカナが反乱軍にいるのは知っているわよね?」
「まあ。戦場であったことはありませんが」
触れられたくない話題なのか、赤毛の少女が気まずそうに応える。
「そこでだ、カナに化けて逆賊ミアをさらって来なさい」
「はあ?確かにあたしは幻術も使えますし、あの子の癖くらいなら真似られますが」
「それで十分よ。順を追って説明しましょう。ダノンの町に反乱軍が最近本部にしている砦があるわね」
そう言ってディアは説明をはじめる。
「潜入させているスパイが鳩で伝えてきたのだけれど。反乱軍は次の町に拠点を動かすための準備としてダノンの町で物資の調達をしているのだけれど、後方からの支援が遅いらしくはかどっていない様子なのよ。まああそこには大きな川が流れてるから。その補給部隊のほうにカナがいるらしいのよ」
「本人と鉢合わせする心配はないってことですね」
「そういうことよ。あとこれがカナの周りの人物に関する調査書、質問はある?」
5、6枚の紙の束を取り出す。
「わかりましたが・・・この分量の紙を鳩が運んできたんですか?」
「ああ、何回かに分けて運んだのよ」
「それはいいとして・・・ガイナス様はこのことをご存知なんですか?」
「マナ、あなたはいらない事を心配しなくてもいいの」
そういってマナと呼ばれた少女の頬に手を触れる。
「あの人は忙しいのよ、いらない事で煩わせる事はないわ」
「はあ、まああたしはディア様の操り人形だから、詮索はしても口に出して言ったりはしませんが」
「そういう時は余計な詮索はしませんって言うのよ」
「ガイナス様には内緒にしときますけど。あたしがいない事への言い訳はしといてくださいね?」
「あたりまえじゃない。殺さずにさらってくるのよ?」
「わかりました。それでは」
マナはさっさと行ってしまった。
ぱからっぱからっぱからっ
「まったくディア様ったら。程ほどにしないと・・・」
風で髪がなびいている。
「え〜とこの男がアリウス、でこいつがケルビム、でこいつがエクス。カナと親しいようだから会わないようにしないとね。といってもケルビムはカナのいる補給部隊の隊長だから心配しなくてもいいけど」
マナは街道を馬に乗って資料を読んでいた。
「あたしの役どころは伝令に帰ってきたカナの役。あたしがダノンの町について三日くらいで本隊が帰ってくる予定らしいってことだから・・・あの子が帰ってこないうちに片付けないとね。それにしても・・・」
マナはいま幻術は使っておらず身に付けているものは軽めの鉄鎧、ロングスピアなのだが。
「鎧が重い・・・」
ぱからっぱからっぱからっ
「開門願います。補給部隊カナ、本隊に先立ってご報告に参りました」
ぎぃー。門が開く。幻術でカナに化けたマナは馬を進める。さすがに姉妹だけあって髪と瞳の色以外はあまり変わらないのだが。
(ちょろいもんね・・・)
門の先にいた一般兵に話し掛ける
「ミア様に報告なんだけど」
「ミア様は中央の間にいらっしゃいます」
「ありがとー。ついでにボクの馬をつないでおいてくれないかな?」
「はい。ご苦労様です、カナさん」
マナは手を振って中央の間に向かう。
(一人称がボクっていうのは慣れないわね。それにしても懐かしいな。蒼い髪に蒼い目は・・・)
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