Masquerade

Mana in Black[3]

 太陽はすべてのものを平等に照らすわけではないが、すべてのものに等しく訪れる夜。まあ、夜にだって明かりを照らす事は出来るのだが、砦は節約のためか明かりは灯っていなかった。そんななかマナはミアの寝室に向かっていった。幻術で化けてはいるものの鎧はつけていないし、槍も持っていない。廊下を曲がったところに寝室があるところまで来たが、さすがに明かりを持った兵士が見張りに立っている。
(1人か。どうしようか・・・派手な呪文は使えないし。あんまり得意な呪文じゃないけどやるか)
「その影は枷、その闇は檻、暗縛」
 兵士は硬直する。声も出せないようだがマナはわき目も振らず部屋に向かう。
 ドアを開けるが部屋は真っ暗だ。しかしマナはベッドに寝ているミアに気づいた。部屋に入りドアを閉める。
(寝てるみたいね・・・まあ念のため)
「夢の世界に眠れ、夢眠」
 マナはミアを抱えようとするが・・・後ろにわずかな気配を感じ飛びのいた。白刃がマナのいた場所を薙ぐ。
「だれ?」
「それはこっちの台詞だ。何者だ?」
 声を聞いてマナは相手の事がわかった。
「グーデリルか・・・確かに曲者みたいね」
「グリーデルだ。貴様カナじゃないだろう。筋肉のつき方が違う」
「まさかそのためにあたしをわざわざ運んだの?いろんなところを触りながら」
「そうでもなければあんなにめんどくさい事をするものか。アリウスに会いに行かないって時点で怪しかったからな」
「泳がされてたんだ・・・不覚ね」
 そう言ってマナは横に飛ぶ。直後、雷の束がマナのいた所を通り抜けた。
「2対1か・・・」
「はずれたわ。せっかくの雷走なのに」
 寝たふりをしていたミアが起きだしてきたのだ。
「いったい何者なの、あなた?」
「さて、どこの誰なのか、何の目的なのか吐けば命くらいは助けてやるぞ」
 マナは次の手を考えていた。
(かなり不利ね・・・でも逃げる前に一矢報いないと。とりあえず時間を稼がないと)
 そういうわけで出てきたのは減らず口だった
「グーデリル、色気のないがきの部屋には入らないんじゃなかったの?」
 一瞬憮然とするグリーデル。しかしすぐにやり返す。
「グリーデルだといっているのに。ところでいいのか?時間がたつほど、俺たちの味方が増えるんだが」
 ミアが続く。
「観念して全部しゃべったら危害は加えないわよ」
「ふぅ。今日のところは引いておくいてあげるけど。覚えときなさい。どうせあんたたちの命はないわよ」
「貴様何者だ?」
「さっきから同じことしか言わないけど。その質問はおかしいわよ。少なくとも1回はあたしはあんたたちに会っている。だから『なぜお前がここに?』とか『久しぶりだな』とかじゃないと。『また会ったな』もいいかな」
「何?どういうことだ?」
 その時廊下のほうから声がした。雷走の音で兵士たちが気づいたのだ。
「ミア様、何事ですか?」
「ゲームオーバーか。じゃあお暇するわね」
「待て!」
 どんどん、どんどん。扉が叩かれる。が、ミアが叫ぶ
「きちゃだめっ!」
「その瞳は深紅、その鱗は血よりも赤い炎の竜よ、我が敵を灼き尽くせ、炎殺紅竜波」
 炎が部屋を焼き尽くす。ドアごと外にいた兵士もふきとばす。それどころか窓のそばの壁も、木っ端微塵にしてしまう。
「グリーデル!こっちに!」
 そう言ってミアはグリーデルごと自分を包む結界を張る。
 幻術を解いたマナの赤い髪、赤い瞳に炎が映える。マナだけが荒れ狂う炎の中で1人平気な顔をして立っていた。
「結界を2人分張るとは・・・やっぱ流石ね、それじゃあ」
 そういって壁にあけた穴から出て行った。
「風は天使の翼、風翔」
 炎が治まった後、ミアは兵士のほうに向かった。
「大丈夫?」
 ドアの残骸を押しのけると兵士たちがいた。少々のやけどは負っているが。
「はい多分4人とも無事です。結構頑丈なドアだったようで、炎に直接当たりませんでしたから」
「よかった・・・」
 グリーデルがついて来る。
「何者だったんだろうな?推察はついているが」
「とりあえずカナさんには黙っておきましょう。問題をややこしくする事はないわ。いいわね、あなたたち」
「はい」
「ところでグリーデル・・・」
「何だ?」
「あの子のどこを触ったのかなぁ?」

「失敗しちゃったか、まあいいや。表立ってお仕置きされたりはしないでしょ。ガイナス様には秘密だし」
 町で奪った馬に乗りながらマナはディアの元にかえっていった。

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