Masquerade
踊る蒼い風[3]
川沿いを上流方向に一時間ほどいった所は台地には石灰石が広がっていた。
「ひょっとしてここの地下の鍾乳洞にアジトが?」
「驚いたろう。その通りだ。で、入り口はここだ」
そう言って足元の穴を指す。梯子がかけてある。
「どうやって僕は降りるの?」
「ふむ」
いきなり兄貴はカナを穴に蹴飛ばした。下にいる下っ端たちが受け止める。
「兄貴〜この女重いです」
「鉄の鎧を着ているからな」
「いきなりなにすんのよ?」
「うまくいったんだから気にしない」
そういいながら兄貴も降りてきた。
「さっさと歩け、狭いんだから」
一行は水に足を浸しながら進んでいった。
広いところに出る。そこには20人弱の人間がいる。
「親分、ボッツ一行帰りやしたぜ」
岩に腰掛けた女首領が返事をする。
「ああ、それは?」
それというのはもちろんカナの事である。
「生意気でマイケルに怪我をさせましたんで落とし前をつけようと思いまして」
「まったく、好きにしな」
カナが口を開く。
「このおばさん誰?」
「おばさん?」
サンドラの額に青筋が出てくる。
「こら、サンドラ親分はおばさんって言われるのが一番嫌いなんだぞ」
「うるさいよ、ボッツ。きついお仕置きをしてやりな」
しかしカナの減らず口は止まらない。
「図星なんだ〜、お、ば、さ、ん」
「ぺちゃぱいのがきが・・・自分の立場をわかってるんだろうね?」
「ああ、この縄?こんな物はね」
そう言って少し目を瞑る。
「せーの」
ぷつん。
間抜けな音を立てて縄が切れた。カナは自由になる。
「魔法を使えば簡単に切れちゃうんだな」
すぐに自分の槍を持っている相手につっこむ。相手が動揺している間に槍を奪ってしまう。
「さてと、町の人に迷惑をかけるような連中はボクが退治してあげる」
いきなり手近な下っ端を槍の石突で殴り昏倒させる。しかし言葉とは裏腹に背を向けて暗い所に向かって走り出す。手下たちは明かりを持って追い始めた。ボッツが指示を出す。
「追え!どうせ明かりも持ってないし穴のつながり方も知らないんだ」
カナはある程度まで来ると振り向いた。水の深さは歩いているところは浅いのだが、脇のほうは深くなっている。
(1本道だったから追ってきてる・・・ね。しかも挟み撃ちにされるのか。少し待つか)
少しの間は水の流れから確認している時間である。
どぼん
水音がした。誰かが足を滑らせたのだろうか。
「まてこらぁ」
(きたきた)
「観念したみたいだな」
結構な人数が前後から追ってきていた。なぜか先頭のボッツがずぶぬれである。
「まぬけ」
「やかましい、これ以上やるなら容赦しねぇぞ」
「まあ、観念するつもりもないし、あんたらはここで再起不能になるし」
「なんだと?」
その疑問には応えず、カナは呪文を唱え始めた。
「水よ、我が意に応え我が敵を食らい尽くせ、水流」
水が爆発的に膨張する。狭いところを膨大な量の水が流れていく。それに巻き込まれた下っ端たちはひとたまりもない。
「まあ気絶しててもこの流れは川につながってるから大丈夫でしょ、さてと」
そう言って気絶している男たちを放って置いて、サンドラのところへ歩き出した。
カナはもといた広間に戻った。サンドラと対峙する。
「やってくれるじゃない」
「次はあんたの番だよ」
「ところがそうはいかないよ」
サンドラが懐から何かを叩きつけた。煙が充満する。
「覚えときな、今度会うときは容赦しないからね」
煙が晴れるとカナのほかには誰もいなかった。
「ちぇ、逃がした。帰るか」
すたすたと歩き出す。
「まあノイスの町に被害が出る事はもうないでしょ。あーあ。結局また暇になるのよね」
まえへ
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