Chris Boyce
| 『キャッチワールド』クリス・ボイス/冬川亘 訳(ハヤカワ文庫) |
|
すげえ。 そもそも私がなんでSFっぽい作品が好きでSFっぽい作品を読んでるかっていうとそれはぶっとんだ作品に出会いたいからで、そもそもどうして本を読むのかっていうとはぶっとんだ作品に出会いたいからなんだと思う多分。 ということで、本書『キャッチワールド』は、その私が言うところのぶっとんだ作品であり、すげえ作品なわけなのだけれども、どこがどうぶっとんでいてどこがどうすげえかって言うと、何が何だかわかんねえのがすげえのだ。いやまあ、作品を丹念に読んでいけば何が何だかわかんねえってことはないのだけれども、でもやっぱ初読時にはやっぱすげえわけで、何考えてこの作者はこれ書いてんだって思うくらい、次から次へとアイデアが出てきて読者を圧倒していくわけなのである。 どうすげえかって言うと、初っ端から法華教団が支配するファシズム国家になっている未来日本で、暗殺術を会得した僧兵が大僧正を切り捨てて、何光年も先から地球へピンポイント爆撃をしてくる異星知性体がいるアルタイルへ向かう宇宙船【憂国】に乗りこんでしまって――冒頭だけでもかなりありえないのに、もう一章に一つはそれだけで1冊書けるだろっていうネタがみっしりと詰まっていて、むちゃくちゃ密度が濃い作品に仕上がっちゃっている。まあ、何がすごいってイギリスSFなのに宇宙船名が【憂国】ってのがすごい。 ぶっとんだSFを求めているヒトには、とりあえず買ってみることをオススメする。裏表紙の後書きとかで躊躇せず、騙されたと思って。やられたーと思うのは読んでからだ。やられたー。
(2003年10月1日更新)
|