穂村弘


『もうおうちへかえりましょう』穂村弘(小学館)

 エッセイ集の感想というのは多分きっとすごく難しいことなんだと思う。

 それは多分小説以上に相性がものを言うからなんじゃないかなと思うのだけどでもそれはもしかしたら私がエッセイ集というものをあんまり読んでいないせいかもしれなくてだからこそエッセイ集の感想というのがすごく難しく感じられるだけであって世界の何処かにはエッセイ集の感想を書く達人というのが存在してそんな達人は今日は瓦割二十枚やりますえいやっ!くらいの勢いでエッセイ集の感想を書くことができるのかもしれない。


 > 友達の部屋に行くと本棚が気になる。ちらちらと目を
 > 走らせてはどきどきする。背表紙の書名とその配置が
 > 持ち主の心のあり方を示しているように思うのだ。
 >                「本当の本棚」


 そんなこんなで、本書「もうおうちへかえりましょう」は歌人・穂村弘のエッセイなのである。これまたおかしなエッセイがあったもので、「うんうんそうだよそのとおりだよ穂村さん」と頷きながら読み始めたにもかかわらず読み進めていく内に「うんうんそうそ――え、あ。うん? ああ、うん。お。おお? あ、はは。ははは、おもろ」とか何とか、呻きつつ笑いつつ読み終えてしまうのが穂村弘のエッセイなのである。

 > だから逆に、自分の本棚をみられるのは心を覗かれる
 > ようで恐ろしい。抜き打ち検査で自分の本棚を調べら
 > れることを想像すると、思わず、本当は違うんだ、と
 > 云いたくなる。本当ってなんなんだ。
 >                  「本当の本棚」


  いやだからやっぱお前それ感想になってないじゃんと我ながら思うのだけど、でもまあ穂村弘のエッセイの感想を伝えられるようなチカラは私にはないなあと穂村弘のエッセイを読むたびに思うのだ。

 > (中略)
 > そして、寝室のドアが静かに開く。私はすやすやと寝
 > 息をたてている。だが、本当は起きているのだ。
 >                   「本当の本棚」


 エッセイからの抜粋ってのはかなり無理がある。上記のエッセイ「本当の本棚」は一番冒頭の部分のパラグラフと、最後のパラグラフを抜粋したものだ。その間にある「中略」の部分に一体何が書かれていたのかは読んでみてもらいたい。無駄な一歩が全くない、ホップステップジャンプ。その着地点は明らかに砂場を越えていて、でも着地には成功していて。
 
  自分の感想を読み返して、思わず、穂村弘のエッセイはこんなんじゃないんだ本当は違うんだ、と云いたくなる。本当ってなんなんだ。
  何はともあれ気になる方は読んでみてもらいたい。こんなんじゃないんだ。

(2004年6月26日更新)

離れ茶房<書斎>へ