金子隆一
| 『最新恐竜学レポート』金子隆一(洋泉社) |
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恐竜ってのは古くて新しい。 これは宇宙に関しても同じことが言えるのだけれども、そんな大昔のことを見てきたことがあるヒトなんてなぁいないから、いくつかの化石などの物質証拠と物理法則を除けば、想像力がモノをいう世界だからだ。例えば宇宙は最初何もないところで大爆発が起こって今なお膨張している理論だとかヒモ理論だとか、恐竜は平穏動物だったとか恒温動物だったとか極彩色溢れてたとかいないとか。それにしてもビッグバンなんてのはよくよく考えればトンデモ理論っぽい感じがするのに、いったいどうして皆それを納得してしまうのか不思議なんだよなあ。いやまあ私もやっぱ宇宙の始めはビッグバンなんじゃないの?とか思っているクチだけど。 まあそういうわけで、想像力がもの言う世界だから今常識となっている知識も新しい化石が発掘されるないし科学技術の進歩によって間違いだったことがわかてしまったりすることが多々ある。っていうか恐竜学なんてその積み重ねだけと言っても過言ではないんじゃんかなかろかっていうくらい発見→新しい定説→間違い→訂正の繰り返しだ。 そんなこんなで、恐竜に関する情報は四六時中集めていないともう1,2年経てば古い知識、間違った知識になってしまう。そこで本書の登場。 本書は2002年に出版された本なのでちょっと古くなってしまったがそれでもとりあえずさび付いた知識を更新するにはちょうどいい。それにしても「ええっ、ウルトラサウルスが最大の恐竜なんじゃないのっ」とか驚いてしまった私の知識はいったいいつから止まっていたんだろ。恥ずかしい。 ただ逆に言えば、タイトル「最新恐竜学レポート」の名前どおり、最近新しく変わったことなどが書いてある本なのでもともと恐竜好きなヒト向けに最新の情報のみがいくつか詳しく書かれたものなので初心者向けではなかったりする。まあ偉そうなこと言っているけど私も別に恐竜好き好きーって言っている程度なので、初心者に毛が生えた程度なんだけど。 ただ、「最新恐竜学レポート」は出版社が出版社で、なおかつハードカバーなので手が出しにくいっていうヒトには平凡社新書から出ている平山廉「最新恐竜学」がオススメ。 ちなみに、恐竜初心者の方はひとまず本に入る前に国立科学博物館なり何なりに行って化石を見てくることをオススメします。あとやっぱ映画「ジュラシック・パーク」。
(2003年10月14日更新)
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| 『テラフォーミング』金子隆一(NTT出版) |
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〈テラフォーミング〉という言葉がある。SFっぽいヒトビトならば聞き慣れていると思うが、「地球化」という意味だ。金星や火星など現状では人類が居住できない惑星などを、地球のように大気に包み一定気圧・一定気温の地球型生命の居住可能な環境にすることを〈テラフォーミング〉と呼ぶ。んだと思う。明確な定義はよく知らないけど、まあ大体こんなもんだと思ってもらって良いんじゃなかろか。 スペースコロニーのような小規模なものであれば人間が居住できうる環境にすることは何となかなりそうな気もするけど、でっかい一つの惑星を造り変えるだなんて、まっとうに考えれば無茶だろって思う。だいたい、大気圏を創り出すって神様じゃないんだしそんなんはSFの世界だけの話だろと思ってしまう気もする。しかしやっぱり世界は広いわけで、しっかり科学しているヒトたちがいるのである。想像力って素晴らしい。 〈テラフォーミング〉の対象としては基本的には地球と同規模、ほぼ同環境である火星と金星が改造しやすく、筆頭に挙げられるため、本書でも特に項を割いて、火星・金星に関して詳細な解説が行なわれている。〈テラフォーミング〉の基本は、極寒・極熱の地でなくす=太陽エネルギーの増減の問題だから、「より太陽光を当ててやる」か「太陽光を遮ってやる」の問題である。前者の回答としては、「でっかい鏡でたくさん反射させてたくさん当ててやる」。後者は「でっかい日傘で覆って減らしてやる」。 多分、普通の馬鹿話をしている場でそんなこと言い出したら、鏡と日傘ってお前バカじゃねえの惑星規模だぞ惑星ってお前んちよりでっかいんだぞアホだろお前って言われそうなくらい単純なことなのに、それが〈テラフォーミング〉の最有力候補というのだから恐れ入る。いや、まあ確かに科学は夢見るバカがやるものなんだろう。月へ行きたいだとか自分がもう一人欲しいだとかタイムマシンが欲しいだとか。前者二つが可能っぽいからタイムマシンもその内できちゃうんじゃなかろかなと思う。まあ、一途なバカがやることって大概、常人の想像の範疇を軽々と超えるしなあ。いやまあ、それはさておき。 ものすごくでっかい規模のことを言っているものの、本書に書かれているのは決して絵空事などではなくて、現在の技術で可能なものばかりだ。もちろん、桁外れの予算と非常に長い年月がかかるため、どうしても人類が地球から旅立たなければならない日が近づかない限りは実行に移されることはないだろう、というエクスキューズはついている。が、それにしても実現可能だということなのだ。心が弾むじゃないか。 本書では、異星を〈テラフォーミング〉をして居住可能環境を増やすということを中心にして〈テラフォーミング〉全般についての説明している。もちろん、現在のところ、居住地を変えるにしても先述したように火星や金星など太陽系内の惑星の方が引越しも楽だ。しかし、典型的な恒星である我々の太陽は、50億年後にはなくなってしまうと言われている。その時に高度な科学文明をもつ生物が生息していたらどうすべきなのか――。本書では二つの回答が紹介されている。ひとつめは、地球を木星の位置まで持ってきて太陽の爆発に巻き込まれないようにし、木星を第二の太陽にしてしまう方法。そしてもうひとつは、太陽にジェットで推進力をつけて、太陽系ごと引っ越して、丁度良い若い恒星が見つかったら地球だけがその重力圏内に納まるように離脱して元の太陽系はそのままどっかへ行ってもらう方法。 「太陽を動かす」だなんてのは、一体このヒトたちはなんて夢見がちなことを考えるんだろっていうアイデアだ。しかしそれなのに、どうしてこれほどまでに心惹かれるのだろう。 遥か遠くにあるものについて思いを馳せる。遥か遠い地平の向こう、遥か遠い星の彼方、遥か遠い未来のその先にあるもの――数年後、数十年後、数百年後、数千年後、人類はいつまでも〈遥か遠く〉へと思いを馳せているに違いない。 SFが好きなヒトは必読。また、SFに興味ない方にも是非とも手にとってもらいたい。たまには科学という名の壮大な法螺話に付き合うのも悪くないと思う。
(2003年10月20日更新)
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