南條竹則

『中華満喫』南條竹則(新潮選書)

 中国四千年の味は奥が深い! 〈音を食べる料理〉や精進料理、蟹やタウナギの話や、虫から熊の掌、驢馬肉、はては鱗だけ食べる魚の話など、中国各地で実食を重ねた著者ならではの面白い話が満載。古今東西の文献に著された故事来歴もからめた、美しい中華料理薀蓄大全。この一冊で満腹間違いなし。

 ということで、多分日本で最も満漢全席が食べたくなる小説である『満漢全席』の作者でもある南條竹則が書いた中華料理エッセイ集。

 しかも、ただ料理の説明をするだけでなく、『史記』や『三国志演義』『紅楼夢』など有名な中国文学から普通の人は全く知らないような作品の中からその料理に関わる様々な挿話、故事来歴を出してくれるのが面白い。

 一番最初から「おこげ」の話からもう口の中に唾が溜まってしょうがない。「おこげ」ってのはちょっとした中華料理店には大体ある、あの、うーん、えーと。説明は南條さんの方がうまいか。ちょっと引用してみる。

 ――揚げたての熱いおこげに、具の入った、これもアツアツのスープをかける。その瞬間、「ジャーッ、パチパチパチ……」と盛大な音がする。それを聞いて、「アアうまそうじゃ」とニッコリするところから、この料理の味わいは始まる。


 この後、「おこげ」に纏わる故事来歴から、様々な〈音を食べる料理〉の話へと移っていくのだけれども、何とも美味しそうなのだ、それが。お伝えしたいけれども、まあ引用するときりがないので、この後はご自分でお確かめ下さい。

 で、豚足を食べたことないから食べてみたいし、タウナギってどんな味がするのか気になるし、馬肉や驢馬肉はとても食べたい。まあ、さすがにこおろぎやらゲンゴロウみたいな虫やらの虫の話なんかはあまり食べたいとは思わなかったけど。あ、でも蠍は一度食べてみたいかも。
 ……ああ、腹が減った。美味い中華料理が食べたい。

 貸してくださった川嶋さんには空腹時に読むなと言われましたが、私は空腹時に読むことをオススメ。いやまあ、腹は減るし、むちゃくちゃ中華料理を食べたくなるけど。でも。

 こんなに腹が減る本を貸して下さった川嶋さんに感謝。

(2002年10月14日更新)

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