Keith Peterson
| 『暗闇の終わり』キース・ピータースン/芹津恵・訳(創元推理文庫) |
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久々にハードボイルド読んだ。 何やら人に薦められた本ってのは熟成期間やら積ん読の順番やらちょっと置いとかないと読まなかったりするわけで、本書も何かオススメの本はないッスかと聞いておきながら買ってそのまま置いといた本の一冊だったりする。 ちなみに薦められた時は確か、東スポみたいな新聞のおっさん記者が頑張る話、みたいな感じで薦められたような記憶があるのだけれども、読み始めたら違った。京都迷宮案内みたいな話だと思って読んだら全然違った。どんな話だったかと言うと。 ……強い橋爪功が頑張る話?(違います) えーとまあ、なんか過去に苦渋をもったしぶいおっさんが、記事にしようとした事件の真相を追っかける話。と言うとなんか重みもへったくれもないな……あまり粗筋に突っ込むと墓穴掘りそうだから話をかえよう。 ところで。 極端な言い方をすると、「映像化できそう」だとか「映画みたい」ってのは小説に対してはけっこう失礼な言い方なんじゃないかなと思うことがあるし、映画みたいな作品ならば映画でやれよと思ったりもする。まあ、作品にもよると思うのだけれども。 しかしまあ、そんなことを言っておいて何なのだけれども、それはそれで置いといて敢えて言わせてもらうと、本書はとても映像化してみて欲しかったりする。情景描写が巧みで、読んでいる間、晩秋のグラント郡がありありと思い浮かべることができたからだ。いや、アメリカの田舎っぽいところ行ったことも見たこともないんだけど。そして何故かセピア色だったんだけど。――ただまあ、そういう点に関しては是非とも映像化したものを見てみたい。とても絵になると思う。 しかしその一方で、本書は是非とも映像化して欲しくなかったりもする。まあ、映像関係に関してはさっぱりの門外漢なので、聞き流してもらいたいのだけれども、主人公ウェルズの心情に関する描写がこれがまたうまくて、中年のおっさんの苦悩だとか苦渋だとかがうまく表現されていて、これは余程うまく処理しないと映像だと表現できないだろうなと思ったりもしたのだ。 でまあ、主人公ウェルズがこれまた格好良いわけで、苦みばしった渋いおっさんなのだ、これが。熱いし。しぶいし。シニカルだし。しかも強い。おっさん、強い。しかし、そんな肉体的にも精神的にも強いおっさんが、ふと見せる弱さがこれまた良かった。ラストの台詞は何とも。キース・ピータースン、うまい。重い。 とりあえず、ランシングがとても好きなので次も読もうと思います。出番少なかったけど。 オススメしてくれた、ぎーはーさんには大感謝。ありがとうッス。
(2003年3月20日更新)
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