Bernard Werber
| 『蟻』ベルナール・ウェルベル/小中陽太郎 森山隆・訳(角川文庫) |
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装丁買いってのは基本的にしないものの、タイトル買いってのはたまにしてしまう。このタイトルはすげーとか思ったら買ってしまったりする。なんたって、あんた『蟻』ですよ、『蟻』。これが『甲虫』とか『飛蝗』とかなら多分買わなかったと思うんだけど、『蟻』ってそんな。 本書は2つの物語が同時並行で進んでいく。蟻の研究をしていた生物学者の伯父エドモンから遺産を受け継いだ家族の視点と、赤蟻の国〈ベル・オ・カン〉とその周辺国家での事件を観察する数匹の蟻の視点。そして、その2つの物語の合間合間に挟まれるように引用され、非常に含蓄のある、故エドモンが遺した「相対的かつ絶対的知識の百科事典」。 これまで読んだ本は多々あれど、蟻の視点で書かれた作品というものは初めて読んだんじゃなかろか。っていうかまあそんな特異な作品がいくつもあって欲しくない。しいて挙げてみれば「おつかいありさん」くらいか。 蟻社会の形成過程、成立、仕組み、〈フェロモン〉で会話しながら高度な文明を組み立てていく蟻たち。それはあたかも人間社会のような――本書の視点から言えば人間社会が蟻社会を模倣しているのかもしれない――でも、人間視点から見るとやはり奇妙な社会なわけで。その奇妙な世界視点の本書、ラストで一体何が待ち受けているのか。ひとまず裏表紙にある粗筋は「読まずに」本書を読んでみてほしい。第二部『蟻の時代』第三部『蟻の革命』を読みたくなること請け合い。 っていうか、まだ私も買っていないので『時代』と『革命』を買ってこないと。 蟻好きには一押し!
(2003年9月11日更新)
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