吉川良太郎
| 『ペロー・ザ・キャット全仕事』吉川良太郎(徳間書店) |
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SF。非核大戦後の近未来のお話。極度の人間嫌いである主人公ペローは暗黒街にてエジプトが開発した機密システムを入手する。それを元に、ペローは意識をサイボーグ猫へと送信、憑依するシステムを完成させる。生身の肉体を捨て、猫として生きることと人間として生身の身体で生きることとの二重生活を楽しむペロー。しかし、派目を外しすぎてしまい、ある日ギャングの幹部に捕まってしまう。そして、ペローは暗黒街に潜入した秘密警察の残党狩りをする羽目になるのだった……。スタイリッシュな近未来SF、第2回日本SF新人賞受賞作。 日本SF新人賞は第1回が三雲岳斗の『M.G.H.』だったので、本書は眉に唾つけながら読んだのだが、これが中々面白い。「イキがよくて、スピーディで、ちょっとブンガク的」という評価を誰かがしていたが、確かに。院の専攻もバタイユだものなあ。関係ないか。ちなみに作者本人はなかなか格好良い。彼女同伴で授賞式に来たらしい。って、それはどうでもいいか。 スピーディだ。読み始めると止まらず、一気に読み終えてしまった。ただ、評にあったが、「ちょっとブンガク的」はウソな気がする。非常にスタイリッシュで、非常にモラトリアムな小説であり、主人公ペローの斜に構えた姿勢が、現代の若者らしく、微笑ましい。 今、注目していきたい作家の一人である。
(2002年8月1日更新)
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