| 追跡 | 気がつくと、誰かの背中が目の前にあった
俺は、夢中でその背中を追いかけた
「誰」なんてのは、どうでも良かった
ただ、追いかけている自分を実感したかった
始まりはどこにあるのかなんて、どうでも良かった
ただ、終わりたくはない意地だけが足を動かした
触りたかった
越えたくもない山を越え、越えたくもない川を越え
いつしか体だけ大きくなった俺が
小さな石にけつまづいて、流したくもない涙を流す
地面に腰を下ろし、うずくまった俺を
ゴミの転がる音だけが包み込んでいた
気がつくと、誰かの背中が目の前にあった
俺は、近くにあった空缶を思いきり蹴飛ばして
真後ろに、歩き始めた。 |
|