クラシック音楽を聴くたびに思うのですが、なぜ20世紀には一般音楽ファンに親しまれるオーケストラ音楽が生まれないのだろう。
オーケストラ音楽といえばベートーベンだ、モーツァルトだ、シューベルトだと18世紀中葉から19世紀後半に作られた曲を現代の我々は
聴いて親しんでいる。20世紀にはああゆう名曲が生まれる土壌がなかったのでしょうか。
なかったわけではないでしょうが、例えば団伊玖磨の歌劇「夕鶴」は日本の伝統的な物語と文学的な日本の言葉を音楽
によく生かした高度の創作歌劇として注目され、毎日音楽賞と山田耕筰音楽賞を受けたそうです。私は聴いたことがないの
に言うのは無礼かもしれませんが曲の題から想像して、この曲をプッチーニの歌劇「トスカ」を聴くのと同列に親しんでおられる
方がいるでしょうか。
技術の進歩はすさまじい限りですが、芸術分野での人智は一歩後れをとっている気がしてなりません。年末になると
おなじみのベートーベンの第九合唱はこれからもずっと続くでしょう。たくさんある古典の名曲の中から好きな曲を楽しめれば
それでいいではないか−−ということでしょういか。
私ですか? 私の一番好きな曲はベートーベンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」です。あの曲を聴くたびに「絢爛豪華」という
言葉はこの曲のためにあるのではないかとさえ思うのです。 (2002,9,15 記)
参考 堀内敬三著 「音楽の泉」より