小話 「あの家見えますか?」
「あの家見えますか?」
1人の少女が問いかけた
少女が指さしている方向には何もない
「お嬢さん、残念ながら私には何も見えないようだ」
そう答えると少女は残念そうな顔をして
貴方の心は黒く染まりきってしまったのね
と言った。家が見えないくらいで何がわかるのだろうか?
それとも子供にだけ見える『家』なのだろうか?
少し少女の様子を見ることにした
少女は僕よりも年上の気前の良さそうな紳士に声をかけた
「あの家見えますか?」
少女の指さす方にはやはり何もない
すると紳士はこう言った
「どんな家なんだい?私には見えないがお嬢さんには見えるんだろう?」
驚いた。自分に見えてない物の話を間に受けた
普通なら自分には何も見えないからとあしらってしまうのに…
「貴方はとても素敵な人ね。家はここから見えないぐらい歩かないとないの」
「それは私にも見えないハズだ。今度は見える位置から質問してくれよ」
少女の答え方はさっきとは違い、
いかにも大人を軽くからかっているかのようだった
そして紳士の態度も起こるでもなく笑っていた
少女は私の方を見つめてこう言った
「叔父さんわかった?いつでも幼心は大切なのよ」