祈り









                        願わくは 桜





                                        真白き闇のごと降りしきる中に





                        願わくは弦月





                                        凍け初む湖面のごと柔らかき中に







                              目を覆うはかの人の口づけ





                              耳にこだまするは古いラヴソング





                              指に零るるは懐かしき微笑






                  銀の腹をした幾百の天使たちよ





                                          終わりゆくこの完璧な世界に祝福を





                                    痕も無く                             シルシ






                                  過程も無く                             ミチスジ





                        取り残された断片も無く                            ピース







                  受け入れるは 研ぎ澄まされた無感覚





                                のたうつばかりの激情も





                                肥大するばかりの乖離も





                                        煉獄の鎖はただ沈黙して





                                        咆哮に耳 傾けるのみ








                  我が唯一を知る蒼天よ





                    檣頭の焔もて鎮めよ





                                          引き裂かれる円環を





                                          無力なる白音を                  ノイズ





                                          自らのままに在った証を





                                平衡へと還元せしめよ





                                  その眼見開き                            マナコ





                                    世界の眠る様を確かめよ





                                            狂おしくもがき





                                            抱いた光を打ち捨て           イダイタ





                                            垂直なる欲望に震え続ける





                                      この愛しき世界を







                                願わくは 桜





                                                願わくは 弦月





                                  美しき人の世に満つる中で





2003.04.08