流 水
秘めやかに滝が溶けゆく。
祝福された虹。
雫。
凍てついた 幻を貫く。
枯れた薔薇の隙間。
白く剥かれた岩の端。
抱擁に瞳を閉じる黒い海。
醜聞も中傷も
真実も。
結末はクロノスの掌にゆだねて。
何も恐れはしない。
それでも 私たちはきっと
愚か者なのだろう。
ただ一人の故に
一切をかなぐり捨てるのだから。
置き去りにして来た者よ。
孤独を嘆くことはない。
深く愛するほど、傷も深く。
深く求めるほど、飢えも深く。
時が満つれば、封印はおのず解ける。
機会は平等に与えられている。
冬に耐えぬいた山翡翠のもと
訪なう川翡翠。
いのちの兆し。
求愛に満たされる空虚。
共に歌おう。
高く。低く。
旋律は調和されている。
これは、聖歌。
これは、賛歌
幸福を誇るべき季節がやってきたのだ。 トキ
ああ、世界は
こんなにも美しい。
'97.03.13