「花冷え」
朝を迎えることがこんなに切ないなんて知らなかった。
一日ずつ、確実に「卒業」に近づく。
戸惑う気持ちは置き去りのまま、時間だけが過ぎてゆく。
卒業してしまったら
あの緊張感の高い授業も
ピアノを弾くときのすごく優しい表情も
ドキドキした「社会見学」も
全部、全部過去の思い出。
私だけの先生、先生だけの私・・何度夢見たろう?
すれ違うだけで幸せな気分になれた。
言葉を交わした日は、宝物をもらったような気分になれた。
本気で人を好きになるって事は
こんなにも苦しくて、哀しみを伴うものなのかな?
自分の想いがうまく言葉にできない。
何か伝える前に、卒業の悲しさと「好き」っていう想いがあふれて・・・
心がきしんで、涙しかでてこないよ。
いつから私、こんなに臆病になったの?
勇気を出そう。何もしないことの方がきっと、もっと後悔する。
卒業式が終わったら、あの教会へ行ってみよう。
一歩前に踏み出す力を、どうか私に授けてくださいと
神様にお願いするために・・・
先生と初めて出逢った時、満開に咲いていた薄紅色の桜。
蕾はまだかたいけれど、春はたぶん、もうすぐそこ・・・。
fin.