親しい友人3
「ねぇ!!遊びに行かない!?」
何人か入寮してきても藍の態度は変わらなかった。
私にしつこくつきまっとって、こっちが「うるさい!!」って
言っても聞きはしなかった。
こんな人初めて...。
ホントにマジでウザいけど、どこか隣に藍がいてホッとしてい
たのかもしれない。
自分から呼び捨てしてってしつこく言う人も初めてだし、こん
なにベッタリと
特定な人と1日中一緒にいるのも初めてだった。
「で?今日はどこ行くのよ?」
「智ちゃんはどこがいい?」
「本当ならどこも行きたくないわよ。帰りたい。」
「家に引きこもってばっかじゃん。たまには外の空気吸ってお
かなきゃー。」
なぜこんなにもハイテンションになれるのか不思議。
昔の私は...今より少しは明るい性格だった。
あの日以来、私は人を信用しなくなった。
「時々、智ちゃんって遠い目するよね。どうして?」
「......。」
「あ。言わなくていいっ。...無理に聞きたいとは思わない
。だって智ちゃん、私のこと
完全に信用してないんでしょ?」
図星だった。
今は...和くん以外信用してない状態だったから...。
4年前、私には親友がいた。
ううん。親友だと思っていたのは私だけだったのかもしれない
。
元々口下手だった私に彼女、星野
可奈は優しくしてくれた。
可奈は活発で誰とでもよくしゃべる子だった。
そのおかげで小5のころから中3の彼氏がいて私にとっては憧
れの存在だった。
当時の私は内気なわけじゃなかったけど、今みたいにクールぶ
ってもいなかった。
可奈はいつでも私に言ってくれてた。
「いつもそばにいてね。智巳のこと大好きだから。」
その言葉を真に受けて、私は可奈の親友だと思い込んだ。
その言葉どおり、可奈はいつも私を側に置いてくれた。
デートの時も3人ってゆうのが多かったし、毎日毎日一緒にい
た。
そのうち、3人でいることに慣れてしまった頃、私は可奈の彼
、黒木 秋を好きになってしまっていた。
もちろん可奈には言わなかった。
黒木さんにも告白するつもりなんてなかった。
でも...気持ちだけは伝えたくて、手紙を書いた。
もちろん両思いになりたいなんて思いもしなかった。
雨の日に…呼び出された。
黒木さんの答えはもちろんNO。
しかも「あんたさ、邪魔なんだよね。いつもいつも可奈に引っ
付いてレズなんじゃないの?」
と、付け加えられた。
ショックでまだ教室にいるはずの可奈に慰めてもらおうと教室
に行ったら、
クラスの子と話してる可奈の声が聞こえた。
「とにかく今、智巳が告白してるのよー。叶うはずのない全く
望みない恋を実らせようと
必死なわけよ?だいたいあんな暗い奴の友達になる奴がどこに
いるってゆうのよ?
ってゆうか人のデートまでついてくるのよ?勘弁してって感じ
。」
まだ他にいろいろ言ってたけど、その時はもう耳に入ってこな
かった。
私に残ったのは少しの人間不信だけだった。
黒木さんに振られ、可奈の本音を聞き、その時の私は死んじゃ
いたいくらいショックだった。
だから他人を信用しない、人とは距離を持って接することを可
奈から学んだって思ってる。
親友なんていらない。
人なんて信用できないってことは、今も変わってない。
でも...和くんの時もそうだったけど、信用しちゃいけない
って思えば思うほど
この人なら感情が湧き出てくるの...。
藍なら信じられるかもしれない...。
「ん?何?人の顔じっと見て。」
「別に。」
「智ちゃんが別にっていうときは必ず何か思ってることがある
ってことよねー。」
「...何でもないわよ。それで?結局どこ行くの?」
「ブラブラ買い物でもする?」「いいわよ。」
結構...藍と話してるのって苦痛じゃない。
どうしてかわからないけど、気が楽になるのは...否定はし
ない。
「あれ?智巳ー。きゃー。久しぶりー。」
このキャピキャピ...この話し方...私を呼び捨てにする
女はこの世で一人しかいない。
そう...可奈だ...。
あの日以来、私の性格は急変した。
もちろん可奈への態度は変えなかった。
でも、なるべく黒木さんには会わないようにして、なるべく可
奈と一緒にいることはやめた。
私が黒木さんと会わないのも、一緒に行動しなくなったのも、
可奈は私が黒木さんに振られたからだと思ってたらしい。
私は小学校卒業する最後まで、可奈の親友を演じ続けた。
「3年ぶりだよねー?すっごい懐かしいー。」
「そうね。」
「あれ?こちらお友達?」
「ええ。」
「何か智巳、雰囲気変わったー?何か超冷たくない?」
「智ちゃん。誰?この人。」
「やだ。何かこの2人レズっぽくない?ねぇ、秋。」
嘘...まさか...この人...黒木さん...?
驚いた...まだつきあってたの...?
「何よ!?それ!!」
熱くなる藍。
こんな嫌味ごときで熱くなったりはしない。
だって今までずいぶん私の陰口は聞いてきたもの。
教室でクラスの子に毎日のように愚痴ってた。
「藍。行こう。」
「ちょっとー、智巳ってばジョークよ?ジョーク。」
「可奈。私ね、あなたみたいな馬鹿が一番嫌いなの。」
「なっ...!?何ですって!?」
「ぷっ。」
たまらず吹き出す藍。
「行こ、藍。」
「はーい。」
笑いながら私の後をついてくる藍。
あーあ。なんか4年分の仕返しができたって感じ。
「智ちゃんすごーい。あの人、顔真っ赤だったよ?あー。面白
かった。」
「私もすっきりした。」
「あ。笑った...。...智ちゃんが笑ったー!!」
嬉しそうに叫ぶ藍。
「わ、私だって人間だもの。笑うわよ...。」
「でも私と会って初めての笑顔だよ?」
「...そうだっけ?」
「そうだよー。」
「4年前は...もっと笑ってたけどな。」
突然、私の背後から男の人の声がする。
ああ...もう...走って逃げてればよかった...。
「あなた...さっきのバカ女の彼氏...。」
「藍っ。」「あ。ごめんなさい...。」
「いいんだ。」
顔...見れない。
...厳密にいえば見たくないってゆうのが本音かな?
邪魔なんだって言われた時から、会話なんてしてない。
顔を見てもいない。
でも...4年前よりカッコ良くなってるのは事実だな...
。
「今...時間ないかな?」
「あ。私なら一人で買い物できるよ?」
藍のバカっ。
「じゃあ...そうしてくれるかな?」
「じゃあ智ちゃん。また寮でねー。」
「ちょっと藍っ...。」
勘弁してよ...。
こいつとお茶するのだけは絶対に嫌。
でも...この状態じゃするより他に手段はないのね...。