親しい友人4
「いつになったら俺の顔まともに見てくれるの?」
「ごめんね。一生その顔は見ないって4年前に決心したばっか
なの。」
近くのファミレスに入って私はずっと外を見てる。
視界に入って嫌な気分だけど、仕方がない。
ここで逃げたら何も変わらないもの。
「4年前のことは...悪かったと思ってる。」
必死に訴える黒木さん。
「あの言葉でどれだけ私が傷ついたか、あなたはわかってない
のよ。」
「でも...そのおかげでこんなキレイになれたんだろ?俺を
見返すために...。」
「自惚れないで!!確かに私はあなたに振られてこのままじゃ
いけないって変わろうとした。
でもきれいになったのはあなたのおかげなんかじゃないわ!!
」
「分かった...分かったよ...。落ち着いて...。」
怒鳴ったのなんて久しぶりだった。
中学に入ってから大声出すことなんて全くなかった。
ずっと自分の気持ち押し殺して...。
「とにかくごめん。謝りたくて...。でも...ずいぶん変
わったね。」
「だから何?」
「大人っぽくなった。可奈とは...可奈が中学入ってから自
然消滅して、
2ヶ月前再会してまたつきあいはじめたんだよ。」
「別にそんなこと聞いてない。用って何?4年前のこと謝るだ
けなら私、帰る。」
と、立とうとする私の手に自分の手を重ねる。
「触らないで!!...あなたなんて大っ嫌いよ。二度とその
顔見せないで!!」
帰ろうとする私の腕をつかんで、
「待てって。俺...智巳のこと好きなんだ...。」
「だから言ってるでしょ!?私は大っ嫌いだって!!触らない
でってば!!」
「俺の話を聞いてくれ。聞いてくれるだけでいい。」
「...何よ?」
乱暴に椅子に腰掛ける私。
私って甘いのかなぁ...?
「4年前のことを謝ると同時に、俺はあのとき恐かった。..
.可奈のことはもちろん好きだったけど、
健気に可奈に引っ付いてる智巳のことずっと可愛いなって..
.。」
「やめて。何が恐かったってゆうのよ?浮気して可奈に殴られ
るのが?それとも小学校の
お子様2人を手玉に取ってるって周りに言われるのが?...
どっちにしても
最低なことを言ったことには間違いはないわ。」
私も4年で毒舌を吐けるようになったものね...。
しかも冷静に言ってるところがなおすごいと思う。
「乗り換えて...可奈が許すはずもない。そう思ったら智巳
にひどいこと言うしかなかった...。」
「どうしてあんな暴言吐く必要があったのよ?小5の自分に好
意を持ってる女の子に
中3の男が『お前レズなんじゃないの?』なんてひどいことよ
く言えるわね?」
「本当に悪かったと思ってる。あの時はとにかく可奈の仕返し
が恐かった。
俺にはお前に冷たくするしかなかったんだよ。俺があのときO
Kしてたら
お前は一生あの陰険な女のいじめの対象になるんだぞ?」
「そんなのきれいごとじゃないっ。その陰険な女とつきあって
るのはどこのどいつよ?」
「...とにかく俺は......。」
「あれ?黒木じゃないか?」
私の背後から聞き覚えのある声がする。
まさか...嘘でしょ...?
振り向くのが恐い。
そっか...和くんと黒木さんって同い年...。
「ああ。大西...。智巳、紹介するよ。」
「智巳...?」
私の背後にいた和くんらしき声の主が私の顔を見るために私た
ちのテーブルの横まで来る。
そう...紛れもなく和くん...。
私が今、一番失いたくない人...。
「あの...和くん。これは...。」
「へぇ...。知り合いなわけ?てっきり今日は友達と出かけ
るって言ってたから
寮の友達とかと思ってたけど、男友達となんてなぁ。」
ヤバイ...完全に誤解してる...。
「違うのっ。この人はただの...。」
「何?知り合い?」
困惑する黒木さんに和くんがこう言い放つ。
「ああ。そうだよ。こいつは俺が今日まで彼女だと思ってた子
だよっ。」
そう言うと、ファミレスから勢いよく出て行く。
「何で...こうなるのよ...。」
「大西と...つきあってるわけ?」
「そうよっ!!あなたなんかより百倍も素敵な人よ!!暴言な
んか吐かないし、どんな人にでも
優しく接するしね!!それがあなたの会ったせいでこの様よ!
!どうしてくれるのよ!!
私にとって和くんは...この世で一番大切なひとなのに..
.。」
4年前のあの日以来、初めて涙が出た。
和くんを失ったら...生きていけない...。
「こんなことで怒る男より...もっといい男が...。」
「あんたなんかに言われたくないわよ!!一生、可奈のそばに
いれば!?」
急いで追いかける。
「待って!!和くん!!」
そして追いついて腕をつかむ。
「智巳に嘘つかれるなんて思ってなかったよ。最近忙しくて会
えないからって浮気するなんて...。」
「誤解なのよっ。あの人はただの昔の親友の彼氏なのよっ。偶
然会って話をしてただけ。
何もないわよ。私が浮気なんてするはず...。」
「...ごめん。今は智巳の顔見たくない。」
静かに私の手を振りほどく和くん。
そして...和くんは街中に消えていった。
もう...私の人生は終わった...。
和くんを好きになった中2の冬以来、私にとって和くんはなく
てはならない存在になっていた。
今まで経験したことのないぐらい胸が苦しくて、告白された時
にはもう、天にも昇る気持ちだった。
和くんがいなきゃ...生きていけない...。
それからどうやって寮に戻ったのか覚えてない...。
気がつくと、自分の部屋にいた。
コツコツ。
誰とも会いたくない。
誰とも話したくなかった。
「智ちゃん?...ねぇ。どうしたのよ?さっきから閉じこも
ったままで...。」
「...ほっといて...。」
「何があったかわかんないけど...部屋に閉じこもってるだ
けで解決するわけ?」
いつになく真剣な声の藍。
「ほっといてって言ってるでしょ?勝手に入ってこないでよ。
」
「思うけど、あの失礼なキーキー女の彼氏に何言われたからっ
て気にすることじゃないでしょ?
それに、智ちゃんは今まで我慢しすぎだったんじゃない?ちょ
っと典型的なパターンの
励まし方しかできないけど、人に言えばすっきりするよ?」
「......。」
「過去に何があったか知らないけど、私はどんなことがあろう
と智ちゃんの親友だからね。
たとえ、智ちゃんが私のこと信用しなくても、私は智ちゃんが
好き。
この世の中には異性に一人と、同性に一人、運命の人がいるん
だからっ。
私は見つけたの。異性のほうはまだだけど、同性の運命の人は
絶対に智ちゃんよ。」
前...和くんが同じようなこと言ってた気がする...。
『その子がたった1人の親友と呼べる運命の人かも...』っ
て...。
「私は...運命の人なんて信じない...。」
「わかってる。」
「...でも...もしもそうゆう人がいるなら、異性の運命
の人は和くんだと思う。
そして...同性の運命の人は藍だと思う。」
「え...。」