親しい友人5
「そして...異性の運命の人は藍だと思う。」
「え...。」
呆気に取られた顔をする藍。
「今の...本気で言ってる?それともジョーク?...だと
しても嬉しいから許す!!」
と、背を向けてる私に飛びつく藍。
「ちょっとー、飛びつかないでよっ。本気で思ってるから言っ
てるのよ。
...藍になら過去のこと話してもいいかな。」
「過去?」
「今から言うことは、誰にも言ってないことなの。4年間ずっ
と自分の心の中だけに
止めておいたことなの。
だから...。」
「誰にも言わない。...こう見えても口固いのよ?」
「別に言いふらしてもいいわよ。でも、藍には話しておきたい
の。
本当は誰にも話す気なんてなかった。
和くんと1年ちょっとつきあってるけど、
和くんにも言わなか
った。
...4年前、私には親友がいた。...今日街中で会った異
様にテンション高いあの女がそうなの。」
一瞬うわっと嫌そうな顔をしたけど、じっと私の話を聞いてく
れてる藍。
「4年前は私の憧れだった。私は元々こんなクールぶってなか
ったんだけど、
口下手で人付き合いが苦手だってことには
変わりなかった。
可奈は...あ。あの女、可奈って言うんだ
けど、いつも私にこう言ってくれた。
『智巳のこと大好きだからいつもそばにいてね。』
それでその
言葉に甘えてずっと可奈のそばにいた。
当時、可奈とつきあってた黒木さんって人を好きになって告白
したの。
そしたら『いつも可奈に引っ付いて、お前レズなんじ
ゃないの?』
って言われた。ショックで教室にいるはずの可奈のところに行
ったら、クラスの子に私の陰口言ってたの。
それで、人間不信になったってわけ。ちなみに黒木さんは追い
かけてきた男よ。」
「...その後は?どうしたの?あの女から離れたの?」
「離れなかったわ。元々、友達少なかったし、その時点で可奈
から離れたら
卒業するまでいびられるって思ったら
恐かったのかな?
次の日にはいつもどおりに挨拶して、卒業ま
でずっとそのままだった。
...もちろん距離はあけたわよ。
前みたいにどこまでもご一緒するとまではいかなくなった。
可
奈はそれは黒木さんに振られたせいだって思ってるようだった
けど。」
「そう...。それで...人との距離を置くようになったの
?」
「ってゆうか逆に可奈には感謝してる。だって大事なこと教え
てくれたもの。
人は信用できないってことをね。」
「まだ...私のこと信用してない?」
「あ。ううん。この世で信じられるのは和くんと藍だけ。そう
教えてくれたのは藍だから。」
「良かった...。」
「...今日、黒木さんと話したじゃない?」
「うん。」
「告白された。4年前から好きだったって。」
「何で!?だってあんなひどいこと言っておいて今さら...
!!」
「可奈が恐かったんだって。2年もつきあえば本性見えてくる
のね。可奈は気に入らない奴は
...ってゆうか自分のプライ
ドを傷つけた奴は
容赦なくいびるのよ。恐かったから私にわざとひ
どいこと言ったんだって。」
「まさか...智ちゃん、OKしたんじゃ...。」
「まっさかー。そんなことしないわよ。さっきも言ったでしょ
?私の運命の人は和くんよ。
...それを話してる途中に、黒木さんの大学の同級生らしき
人が話しかけてきて
...それが和くんだったの。」
「ウッソ...そんな偶然って...。」
「あるのよ。...完璧に誤解されてた。今日は友達と出かけ
るって言ってたから、
私が嘘ついたって思ったみたい...。
」
「...智ちゃん。電話しなよ。」
「えっ...。」
「智ちゃん、恋愛の初心者っぽいから言っておくけど、ケンカ
したら謝っちゃうのが基本だよ?
こんなとこで落ち込んでる場合じゃないって。こんなケンカど
んなカップルにでもあることよ?
仲直りしたいって思ったら
謝っちゃうのが一番なんだからっ。」
「...ありがと...藍...。」
「ほら。電話、電話ー。」
机の上の私の携帯を取って手渡してくれる。
「うん...。」
本当にありがとう...藍。
PRRRRR、PRRRRRR。
『はい。もしもし?』
「あの...智巳です...。あの...。」
『何?』
声は普通っぽいけど、なんか恐い。
まだ怒ってるのかな...?
「智ちゃん。謝っちゃえっ。」
小声で言う藍。
「あの...さっきはごめんなさいっ。」
ニコニコしてVサインして部屋を出ていく藍。
どうしよ...何か言ってよ...和くん...。
『じゃあ浮気を認めるってこと?』
「ちがうっ。そんなんじゃないのっ。
あの人は...ああ..
.説明すると長くなるけど...本当に何でもないのっ。」
『別に何時間でも言い訳は聞くよ。』
「...昔...黒木さん、私の親友とつきあってて...私
も黒木さん好きで...
告白したら......いつも親友の
そばにいたから
邪魔なんだよって軽くあしらわれたの...。おまけにレズな
んじゃないかって
言われてショックで...それ以来、黒木さ
んとは
会わなくなった。会いたくなかったのもあるけど...。
それ
で...今日偶然再会して...昔の誤解解きたいからって
お茶に誘われて...強引に連れて行かれたの...。
それで
......でも、ごめんなさい...。」
『...何で謝るの?』
「だって...強引とはいえ、和くん以外の人とお茶するなん
て...。」
『楽しかった?』
「ううん。だって今はあの人嫌いだもん。」
『そう。...じゃあ信じよう。』
「和くん...。会いたいよ...。」
『うん。...じゃあ外出てみて?』
「えっ...?」
訳も分からず階段を降りて外へ出てみる。
すると、今一番会いたい人がそこに立っていた。
「和くん...。どうして...?」
「俺も会いたくなったの。ってゆうか俺が...だね。」
「和くん...。」
嬉しくてたまらず、和くん抱きついてしまう。
「おっ。珍しく甘えん坊だね。」
「本当はずっとずっと淋しかった...。ずっとずっと会いた
かったの...。」
「そう思ってるのは俺だけかと思ってた。」
「忙しいから仕方ないって自分で自分を納得させて、
でも..
.それでも淋しかったり、嫉妬とかしちゃったりして...。
」
「そう言ってくれればいいのに...。」
「こんな醜い私を...和くんが受け止めてくれるかどうか心
配で...。」
「俺はどんな智巳でも好きだよ。」
その言葉が一番効果があるよ。
すっごく勇気が出てきた...。
「私も...。」
「私も...何?最後まで言ってよ。」
「私も...和くんが好き。」
あまり口に出さない私からの言葉が和くんにとっても一番効果
があるみたい...。
「あ。よかったー。仲直りしたんだ?」
「藍...。あ。藍、こちら私の恋人の大西 和矢さん。和く
ん、こちら...。」
一瞬どうしようか迷う私。
「こちら...親友の飯田 藍さん。」
「はじめましてー。超カッコイイじゃん!!
あのキーキー女の
彼氏より断然カッコイイじゃん!!
...あ。ごめんなさい...。」
「もしかして...電話で話してた子?」
「何?智ちゃん。私の話題になったわけ?」
「なってません。もうっ。和くんも余計なこと言わなくていい
からね。」
「でもそうなんだろ?」
「...ええ。そうよ。」
「やっだー。智ちゃんてば照れるじゃーん!!」
バシンと私の背中をたたく藍。
「痛っー。別に誉めたわけじゃないわよっ。」
「えー。そうなんですか?」
「まぁね。でも智巳はけなすほど気になってるってことだから
。」
「もうっ。和くんっ。」
私と藍の親友な関係は今始まったばかりだけど、かなり前途多
難になりそうね。
でも...おばあちゃんになっても藍とは仲良くしていられそ
うな気がするの。
今でも人間不信だけど、これから先、あなたのことだけは信じ
ようと思う。
だってあなたは...私にとって親友と呼べるたった1人の運
命の人だもん。