「慕 恋」
第一話
(3)



ビールをコップに注ぐ彼女の仕草が、少しぎこちなく見えた。
彼女の夫はあまり酒は飲まないと聞いている。もし慣れた手つきであったとしたら「いつもやってるからか?」などと考えるのだろうか。
彼女の仕草の向こうに彼女の夫という存在を感じることが、ただの恋愛とは違うこと。
また彼女の話の端々に夫という見えない存在を常に意識している自分に驚いた。
(初めての不倫なのか・・・)多少の苛立ちと同時に密かな快感を感じていた。
時間の経過と共にアルコールが彼女の緊張感をほぐしていくようだった。
「そろそろ本題に入る」と私は彼女の決心を促した。
「えーほんとうにするの?」
「確認したいんだろ?」
「でも、今日は赤になっちゃったんだよ」
そうだった。三日前の夜そのメールが入ったのだった。
「逢う日は生理になりそうだけど、どうする?いいよねしなくても・・・」
それにはこう答えた。
「えーでもつけなくても良い日ってことで・・・・」
私は実際にそうするつもりだった。彼女と本当に一つになれるというわけか・・。
彼女がシャワーを使って出て来たとき、どうしようか迷ったが、結局ベッドの上に横たわって待った。彼女は再度椅子に腰掛けたがもう私は我慢出来なかった。彼女の手を取りベッドに横になるよう導いた。
「えーほんとうにするの。」彼女の声が鼻にかかったのを聞き逃さなかった。
「じゃーこうやって話だけね」とからかい半分で私の隣に後ろ向きに寝かせ、その肩と 腰に手をすべらせて浴衣を少し脱がせた。
木目の細かい真っ白な肌を見たとき、以前彼女が告白したことを思いだした。
(・・1年同棲した男の人が言ったことがある、肌も身体もこれまでで一番いいって)

彼女のうなじに顔を近づけ息をかけるように話しかけながら、彼女の手を握りにいった。
その瞬間に時間が反転し、彼女が身体をこちらに向けた。
少し驚いた私は、遠慮なく浴衣の隙間から彼女の下半身に向かって右手のひら全体を触覚に変貌させて滑り込ませていった。
「あー、そこ赤だから・・・・」と言いながら彼女は少し足を広げた。
私は見たい気持ち、口づけしたい気持ち、触れたい気持ち、そして挿入したい気持ちのどれを優先させるか一瞬とまどい・・・指でその部分を確認した。
「すぐに濡れるって本当だね」と言いながら私は早くも挿入した。
「え」でも「あ」でもない声を発して彼女は身体を大きく反らせた。
大きな波が来ていた。これまでに二人が経験したことのない波が。





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