「艶 芯」

-その5-



 数十年前、若い私は同じ大学の女学生と半同棲をしていた。
その生活は、性交を基本とした生活だった。食べることよりも、眠ることよりもSEXを優先させていた。
一晩中、相手の身体を触れ続けそれによって相手が高まってくれば、 もう幾度目かは数えられない交合へと移行する。
2人で使う大きめの枕の上には林檎が数個、転がっていた。2日間くらいはその林檎を食べる以外は2人で布団の中にいた。
3日目に2人でふらふらになりながら、やっとの思いで服を着て外へ出る。
これまで直に触れていた彼女の柔らかい背中や腕が服の上から触れると、他人のものになったようで、つい強く触れてみたくなる。
通りの端っこにある薄汚い中華料理店に、力なくたどり着き、ビールを飲みながらテレビを見ている他の客達の痛いような 好奇心にあふれた視線を感じながら、一番奥の席に2人で逃げ込む。あの野獣のような視線を浴びせる男たちの心理が今の私にはよく解る。
事実、目の下に交合の疲れをたっぷりため込んだ若い男女が、次の交合のための力を溜めるべく、燃料補給のような“食事”にたどり着いたようなものだったから。

 まるで3時間は経過したような疲れを私は感じていた。しかも、心の中ではすでに彼女の身体を男の視線として舐め回すような回復が始まっていた。
「時間・・時間なんだけど・・」
彼女は起きあがったが少しふらついている。
「え?・・・急ぐか・・・」
「延長・・・する?」
そういう言葉は私の思考には入ってなかった。
彼女との時間が出来たとして、何をすれば良いのか?自分でも想像出来ない。
「で、どうする?」
「どうしたい?」
というと、彼女は汗の引いた頬を私の太股の上に載せて私の下腹部をのぞき込むような姿勢をとった。
この動作だけで、すでに私は負けていた。彼女の意のままに操られる少年のようなものだった。
「出来ないかもしれない・・。」
と私は正直に告げた。すると彼女は、長い髪をかきあげ、薄笑いを浮かべほの白く冷たい指で 私のその部分を触れてきた。
「前に、一度こんな感じがあったの。落ちていくんだけどそのまま・・・ずっと落ち続ける・・。まだ、へんな感じで、まだ落ちて行く途中のような感じかな。」
その直後、彼女の口の中にある自分自身を感じた。
心の中で呟いた。「もう、無理なんだけど。」
しかし、彼女の頭の動きが変化を始めた頃には すでに自分の意志ではない何かに下腹部が包まれ始めていた。




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