カナリヤ

そのカナリヤはとても傲慢でした
お姫さまの部屋の金の鳥かごの中で、いつもみなから大事にされていましたから、
自分はとても偉いのだと思っていました。
カナリヤは毎日お姫さまのためだけに、美しい声で歌いました。
お姫さまはいつもカナリヤの歌にうっとりと聞き入りました。
それでカナリヤは満足でした。
お姫さまと自分はお互いにとても大切な存在であると信じていました。

ある日、お姫さまが大勢のお友達を連れてきました。
カナリヤは自分が一番だと思っていましたので、お姫さまと親しくする人たちに嫉妬しました。
ですから、お姫さまがみんなのために歌っておくれと言った時、カナリヤは決して歌いませんでした。
はじめはお姫さまもなだめたりすかしたりしましたが、そのうち腹をたてて、
「鳴かない鳥などに用はない。捨てておしまい。」
と家来に命じました。
カナリヤはびっくりしました。
まさか自分が捨てられるなんて、夢にも思っていなかったものですから。
でも、時すでに遅く、鳥は遠い森に捨てられました。

城はおろか籠からでたことのないカナリヤはひどく哀しみました。
お姫さまにとって、こんなに簡単に捨ててしまえるくらいの存在だったことにひどく傷付きました。
森の夜は長く、暗く、寂しいものでした。
もう死んでしまおうと、カナリヤが思った頃、遠い空がゆっくり明るくなりはじめました。
森に朝がやってきたのです。
そのあまりにも美しい景色に、カナリヤは救われる思いでした。
カナリヤは今までの自分の傲慢さを知りました。

カナリヤは飛んで飛んで、お城を探しあてました。
そして、お姫さまの窓辺に行くと今までに聞いたこともないような、深く美しい歌を歌いました。
その声を聞いたお姫さまは、はっとして窓辺にかけよりました。
お姫さまの姿を見たカナリヤは最後に一声啼くと、後は振り向きもせずにどこへともなく飛び去りました。
後にはお姫さまが取り残されました


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