core feeling



ドリー夢小説









いつからだったか・・

彼女の笑顔がぎこちなく感じるようになったのは。

「あうっ・・ん・」

彼女の長くのびた美しい髪が私の首をなでる。

「あっ・・ああっ・・」

背中に絡み付いた彼女の熱い腕を感じるのに、彼女の黒い瞳は私を見ていない。

肌をいくら重ねてもこみあげてくる焦燥感。

「いっ・・やあっ・・」

彼女を手に入れたという実感が揺らぐ。

彼女を渇望する自分にうんざりする。

「あああっっ・・・・」


締め付けられるその一瞬だけが、今の私には彼女を感じる唯一の術だった。


自分を見失ってしまうほど、のめりこむはずではなかった・・のに。

もう手後れかもしれない。

彼女の心を取り戻す事も、

自分自身すら取り戻す事も。


「零一さん・・・これ、あげます」

けだるそうにわたしのシャツを羽織りソファによりかかる彼女が差し出した小さな箱。

付き合いだした頃はいつもはずかしがっていた彼女が、今は胸をはだけたまま闇を見つめる。

彼女の天真爛漫なところを愛した。

今ではあまりはしゃぐ、ということをしない。

私の前でだけだろうか。

そうかもしれない・・

それでも私は・・・君の手を離す事はできない。

いっそ私の手と君の手が一本の腕になってしまえばいい。


離れられなければいいのに。


「・・これは?」

「開けてみて」

彼女の言葉は透き通るように私の耳に心地いい。


言葉のカタチに変化する唇は、私の視線を奪う。

その反面、いつその唇が別れたいという言葉を紡ぐのか。


電話でもそうだ。

彼女からの電話をいつも心待ちにしている。

しかし・・・最近は私から一方的にかけては用件を言って先に切ってしまう。

電話での沈黙が、怖い。

彼女からの電話にしても・・彼女から別離の言葉を伝えられるのではないかと、

想像してしまう。

怖いものなどないと思っていた。

なにも欲しなければ、望まなければ弱点などうまれなかった。

しかし・・・

「腕時計か・・・しかしこれは」

ずいぶん高価なものではないのか。

「いいんです。あたしがバイトして貯めたお金で買ったんですから。

それより、どうですか?」

どう、とは。


「気にいって・・・もらえませんでしたか」

君からのプレゼントで、気に入らないものがあるわけがないのに。

「いや・・とても嬉しい。ありがとう。私の嗜好に」

「合致してました?」

「・・ああ」

私はそんなに型通りのしゃべり方しかしていないだろうか。

彼女にとってそれは退屈に映るのだろうか。

・・・

ばかばかしい。

私は、私だ。


「なにか、あったのか?」

誕生日でもない、クリスマスでもない。

なにか特別な日を、私は忘れていたのだろうか。

?」

思考がストップするほどの、痛々しい彼女の無理したような笑顔。

そして・・涙。

「どうした!?

「零一さん・・・最近忙しそうだから・・あんまり一緒にいられないからっ、代わりに・・

持っててもらいたいと思って・・でも」

「でも?」

「ごめんなさい。あたし・・いっつもわがままばっかり言って零一さんのこと、困らせて

るよね・・ごめんなさい。あたし・・」

彼女の言葉が涙に飲まれて消えていく。

・・・」

一緒に過ごす時間が少なくなれば少なくなるほど、不安が募り、

少ない時間で彼女を確かめたくて幾度も抱いた。

彼女は・・何度も言っていなかったか?

水族館に、植物園に、動物園に行きたいと・・・・その台詞のあとはいつも『零一さんと一緒なら

どこでもいいです』『零一さん、お疲れでしょ。無理しないで』

こんなにも気を使わせて。

「嫌いにならないで・・」

震える細い肩。

消え入りそうなか細い声。

全て私のせいだ。

ろくに話し合う事もせず・・私は・・

いくら肌を重ねても心はすれ違うはずだ。

焦るあまり私は・・自分から崩そうとしていたのか。

この関係を。

「・・・ありがとう。肌身離さず持ち歩こう。君といつでも共にいられるように」

「零一さん・・」

驚いて見る彼女の大きな瞳には確かに私の姿が映っていた。

「愛している・・・嫌いになどなるものか」

すれ違う生活。すれ違う想い。

その対処法を学校では教えない。

自らが体験し、模索して覚えていくものだ。

もっと君を知って、もっと二人が近くなればいい。

そのうち君の想いがいつでもこの腕時計から伝わってくるかもしれない。

「もっと君と一緒にいられるよう努力しよう。いや、君がそう言うからではない。

・・・私だってもっと君と一緒に過ごしたいんだ」

同じ目線で同じ物を見て、同じように感じて、同じ歩幅で歩いていつか

溶け合ってしまうほどに・・一緒にいよう。