ドリー夢小説
「むしろ、よく似合っている」
先生が、似合うっていってくれた。
今日は元旦。
もちろん晴れ着!
先生に見てもらいたくて、ほめてもらいたくてがんばった!
そう。去年のバイトがほとんど晴れ着のため。
でも先生の一言でがんばったかいがあった!
「えへへ」
「・・・どうした」
先生の車に乗ってからも、さっきの先生の台詞が頭の中にこびりついて離れなくって、思わず口元がにやけちゃう。
「な、なんでもありません。あれ?先生?ココ・・・」
初詣にいく神社からはかなり離れた人気のない駐車場。
確かに車で近くまで行くと混むけど・・・ここって、全然人も車もいない!
「・・・穴場、ですか?」
「まあ、そうとも言うだろうな」
でもこっから神社って・・・遠すぎない?
「こっちだ・・・ほら、つかまりなさい」
先生が左手をさしだしてる・・・って・・・手につかまれってこと?それって・・・手をつないでもいいっ
て・・・こと?
「あ、あの・・・」
「その格好でこの坂はきついだろう、早くしなさい」
「はっはい!」
たしかに、きつい。でも・・・先に見えるのは、鳥居?
「・・・せんせ、ここ、神社?」
「そうだ・・・・君は去年いったような出店が多く出ているような雰囲気も好きだろうが・・・たまにはいいだろう。静かな初詣も」
「はい!」
そっか・・・。先生、人込み嫌いだっていってた。でも毎年初詣行ってるって。
もしかして、一人のときはここにきてたのかな。
「・・・先生はいつもここに初詣にきてたんですか?」
「ああ・・・あの人込みはどうも好きになれない」
去年はじゃあ、私がああいうお祭りみたいな雰囲気が好きだから、無理して連れていってくれたの?
「しかし、去年の初詣も・・・悪くはなかった」
「・・・すごい、人込みでしたよね」
あたしは先生のスーツの裾をつかんでた。
嬉しいけど。子供みたいでちょっと悔しかった。
今もかわらないんだけど、でも今年は・・・手をつないでくれた。
ちょっとずつでも、私のきもち、先生に伝わってるのかな。
「あ、せんせぇ!おさいせんにお札なんて、リッチですね〜」
「・・・今年は、トクベツだ」
先生が神頼み?!自分の力で努力しろっていう先生が?!
「あたしも奮発しよう・・・」
今年で最後。先生といられる最後の2ヶ月。
神頼みもしたくなるというもの。
お願いお願いお願い。先生のトクベツな生徒になれますように。
トクベツな存在になれますように。
卒業してからも先生と一緒に、いられますように。
あとは・・・
えっと、家内安全・・・あっ、先生が事故に遭いませんように。
家族ともども健康で・・あ、先生も健康でいられますように。
それから・・・大学。無事に受かりますように。
・・・・
「よし」
「・・・、随分長い間ぶつぶつ言っていたな・・」
顔をあげると、先生の呆れ顔。でもどこか優しいその端整な顔。
「たくさんお願いしましたから!先生は?」
「私は一つだけだ・・・あとは自分の実力で実現できる」
「さすがせんせぇ!でも実力でかなわない一つだけのお願いって・・・なにをお願いしたんですか?」
先生の実力でさえどうにもならない、望み。なんだろう。
「・・・君は、なにをそんなに祈っていたんだ」
「私ですか?・・合格祈願と、家内安全と、無病息災と・・・あとは内緒です」
「・・・それでは私も秘密だ」
「えー。あたしは一つ以外全部いいましたよー」
「わたしの秘密だって一つだ。おあいこだろう」
先生が、笑う。
来年の初詣、私は・・・どこでどうしてすごしているんだろう。
「・・・先生。ありがとうございます。学生最後の初詣・・・すごくいい想い出になりました」
大好きな先生と2人きり。
「そうか・・・そうだな。私もだ」
この静かな神社で、先生の顔見てたら・・・どうしても・・・胸が締め付けられるように痛くなって。
「、どうした・・」
「あたし・・・」
あたし、泣いてる?
胸が痛くて・・・痛くて痛くて、それで、泣いてるんだ・・
「どうした。どこか、痛むのか?」
先生の心配そうな顔が近づくとその痛みはもっとまして・・
「胸が・・・痛いんです。ずっと・・・先生のこと考えると痛くて痛くて・・・夜も眠れないくらい・・・
苦しくてっ・・・」
涙を流すと先生が困る。それはわかってる。頭では分かってる。でも・・・とまらない。
頭の中が真っ白になっちゃって・・・先生の細く長い指がわたしのあごにかかるまでは。
「っ!?」
心配そうに覗き込んでた先生の顔がゆっくり近づいてきて・・・
「んっ・せん・せー・・・」
涙で少し濡れたくちびるに、先生のひんやりとしたくちびるがふれた。
「泣きやみなさい」
先生の、小さい声が、私の心を落ち着かせていく。
優しい声。
「君に、こんな激しい一面があるなんて知らなかった」
・・・怒ってるのか、呆れてるのかわからない。でも怖くて顔があげられない。
「顔をあげなさい。、君が望むなら私は・・・いつでも側にいる。だから泣くな」
先生は優しく微笑んでくれていた。
あ・・また、胸が痛い・・・でも
「・・・卒業しても?」
先生が私の手をひき、ゆっくりと歩いて行く。
「・・・・ああ。卒業しても。君が私を必要とする限り、君の側にいよう」
先生と一緒にいたい。これからもずっと。
「・・・先生、ありがとうございます」
泣いた自分が恥ずかしくてまたうつむいてしまう。
「こほん・・・・今日から、ぐっすり眠れるな」
夜も眠れない、っていうのも、心配してくれたんだ・・・
「はい!・・・・・・でも」
「でも、なんだ」
先に歩く先生。階段だから振り向くといつもより私と目線が近くなる。
うつむいてても。
「・・・・先生の・・キス・・・・のカンジ思い出して、眠れないかも、なんて」
ちらっと、先生を見ると、バチッと目があって・・・それから先生は真っ赤になって目をそらしてしまう。
「君は・・・・まったく」
「あと2ヶ月!最後の最後の追い込みですね!あたしガンバリます。ガンバッテ一流大学いきますから!応援
してくださいね!せんせ!」
「ああ。当然だ。君の実力なら必ず合格できる。がんばりなさい」
先生がいてくれればなにも怖いものはない。
卒業が怖かったけど・・・でも先生は、卒業しても側にいてくれるって言ってくれた。
あと2ヶ月。忘れられない思い出をたくさんつくりたい。
「先生?今日は、ありがとうございました。すごく、楽しかった・・・あと、嬉しかった、です」
今日の先生はすごく優しくて。いつもあまりしゃべらない先生が、車の中であたしのくだらないおしゃべり
につきあってくれた。
「ああ・・・いや。私も有意義な時間を過ごさせてもらった。」
先生の車が見えなくなる。
私からは見えないけど、きっと・・・。
「先生。来年も一緒に・・・初詣、いってくれますか?」
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