ドリー夢小説
久しぶりのデート。
2週間ぶりに2人でいられるのは、とっても嬉しい。
嬉しいんだけど・・・
今日も先生はテストの採点に問題集の作成に資料作り。
そりゃ、先生は先生だし。
生徒のこと思って作ってるってわかってるから。
優しいんだなって思う。
でも、あたしはほったらかし状態。
もしかしたらあたしがココにいるってことも忘れてそう。
先生のお家にお邪魔して、コーヒーいれて。あとはもうひたすらじっとして、先生のお仕事のお邪魔にならないように黙ってる。
確かに・・・一緒にいられるだけで、夢みたいに嬉しいんだけど。
先生のお宅にお邪魔できるってだけですごく幸せなことなんだけど。
でも・・・先生の目は机の上の書類の束に夢中で、顔もあげてくれない。
つまんないなあ・・・・・
prprrrrrr・・・・
「あ!ごめんなさいっ」
マナーモードにしとくの忘れてたっ!!
先生がやっと顔をあげてくれたんだけど・・・怒るでもなく、なにごともなかったようにまた紙面に目を落す。
「もしもし?」
部屋の隅っこに移動して、小声でしゃべる。
『・・・おれ』
「珪くん?どうしたの?」
昨日学校であったばっかりなのに。
そういえば今日は珪くんの誕生日だった。夕方に、プレゼントもっていこうと・・・
あった。かばんの奥。
『今・・・でてこれるか』
今・・・時間があるといえばあるし、ないといえばないというか・・・
「なんかあったの?珪くん」
『・・無理そう、か?』
「えっと・・・少しなら・・・」
『今・・・家?』
「え?ん、っと・・・珪くんは?」
『俺は公園』
公園ならここからすぐ近く。
「わかった。すぐ行くよ」
『・・・ありがと。待ってる』
ほっとした珪くんの声。なにか、あったのかな。
「せんせ・・・」
どうせまだ書類と格闘してるだろうと、先生を見ると・・・
目が合った。
「!ごめんなさい・・・うるさかった、ですよね」
「いや」
・・・なんで・・うるさくなかったのに・・・・目が怒ってるの?やっぱ、口ではこう言ってるけど、うるさかったのかな?
「あの・・・ごめんなさい。気が散っちゃいますよね・・あ、あたしちょっと、出かけてきますね。すぐ、戻ってきますから」
先生はなにかを言おうとして口を開いたけど、また視線を下に戻して、短く、ああ。気をつけなさい。とだけ、いった。
「・・・行ってきます」
そーっとかばんとケイタイをつかんで玄関をでる。
先生にもらった合鍵でドアを閉めた。
珪くんは、公園のベンチに一人で座ってた。うつむいて。
いつもうつむいてるポーズが多いとは思うんだけど、なんだか寂しそうに見えた。
「珪くん!大丈夫?!」
「・・・早かったな」
「うん。どうしたの?珪くん」
「・・・・・・・・・・・」
なにか、言いにくいこと?
「あ、その前に、珪くんお誕生日おめでと!」
「・・・覚えてたのか・・・」
「忘れる訳ないじゃない。はい、これ」
「・・・家、こいよ」
いつになくまじめな顔をした珪くんがあたしの、腕をつかんだ。
「・・・どうかしたの?」
「・・・誕生日・・・また一人で過ごすんだって・・・思ってたら・・・・お前に、電話してた」
そっか・・・去年の誕生日もおととしの誕生日も平日で、学校だったから。
寂しいよね。休日の誕生日に一人なんて。
「わかった。少しだけなら」
「ああ・・・よかった」
そういって珪くんが笑う。
うん。来て良かったかも。
「おじゃましまーす」
「どうぞ」
珪くんの部屋にお邪魔するのははじめてじゃない。
前と変わらないシンプルな部屋。
先生の家もシンプルだけど・・・先生の部屋はもっと生活感ないよね。
「あ、これ。プレゼント、っていってもこないだの写真なんだけどね」
久し振りにふらりと立ち寄ったはば高。ねこたちの様子が気になっていってみたら、珪くんがいたのだ。
持ち歩いていた使い捨てカメラの残りでねこたちを撮って、珪くんを撮って、一緒に撮った。
大学に行ってても、いつでもにゃんこたちのこと、思っていられるように。
「あとね、写真立て。これにねこちゃんたちの写真、飾ってね」
「・・・・これで、全部だったっけ」
写真を一枚一枚手にとって見ていた珪くんが、不思議そうな顔をあげた。
「ん・・・あ、あとはあたしとにゃんこしか写ってなかったから」
「それ、くれ」
「・・・なんで?」
「・・・・・俺、自分の誕生日に自分の写真もらっても・・・嬉しくない」
「あ、そっか・・・・じゃあ、にゃんこの写真だけ・・」
「お前のにも、ねこたち、うつってんだろ・・・」
「え?うん。はい、これ」
そういえば珪くんは写真なんて撮られなれてるんだろうな。
そりゃいらないよね。
あたしがもらっとこう。
「じゃあ、交換な」
え?
あたしの写真と珪くんの写真?
「そうだ、珪くん。ケーキ、かってこようか」
残念ながらあたしはプレゼントしか用意してなかった。
「いいよ・・・なあ・・・」
「ん?」
「最近・・・・どう」
「どうって?」
「・・・・・氷室、先生と」
どきっ。
珪くんなんで知ってんだろ・・・ってなっちんたちにもバレてたくらいだもんね。
「どうって・・・・・普通だよ」
「普通って・・・?」
普通っていうのはね。
「高校んときとかわんない、ってこと」
いやいや。珪くんに愚痴っちゃいけない。
いまだに生徒扱いされてるとか、先生の仕事が忙しくてデートはどたキャンばっかりだとか、
時間ができてもかまってくれないとか、電話もあんまりこないし、メールなんてなおさら・・・なんて、珪くんには関係ないことだもの。
「ふうん・・・」
って言った珪くんの顔が、突然どあっぷ。
「けっ珪くん・・・びっくりしたー」
あたしがぶつぶついってたの、聞こえちゃったかしら。
「・・・」
「はっはい!んっ」
思い切り顔をあげると・・・あごをつかまれ・・・キス、された。
「・・・・・・・」
それは、一瞬だったけど・・・衝撃が大きくて・・・
「・・・珪くん・・・・なんで・・・」
「ごめん」
「ごめんって・・・・珪くん・・・・ひどい・・・」
あたしは口をおさえながら、それしか言えなかった。
怒るに怒れない。珪くんがひどく寂しそうな顔をしてるから。
キス・・・したくせに・・・
「ごめん・・・・泣かせるつもりじゃ・・・なかった」
あたし・・・泣いてる?
だって・・・あたしのキスは先生だけのもの・・・だったはずなのに。
「あたし・・・帰る」
珪くんを怒れない以上、ここにはいたくなかった。
珪くんはなにもいわない。
・・・・どうして?どうしてこんなことしたの?
聞きたいけど、聞けない・・・傷つけそうで。
ぴんぽーん・・・
「・・・珪・くん、お客さんじゃないの?でないの?」
「・・・ああ」
珪くんは向き直ったあたしの前で髪をかきあげ、やっと顔をあげた。
そして、あたしを見たまま動こうとしない。
「あたし・・・でるよ」
いたたまれなくなって、玄関にむかった。
「はい・・・どなた・・・先生!」
ドアを開けると、立っていたのは先生。
やばい!あたし・・・
「・・・。なぜ泣いている」
「・・・・・・・泣いてません」
先生はあたしの顔を見て、顔色をかえた。
今度は、本当に怒ってる。
「あの、せん・・」
先生の腕が、あたしの背中にまわって・・・抱きしめられた。
えっ?こんなところで・・
「・・・帰るぞ。荷物はどうした」
そのままの体制で、先生はひくーく、そういった。
「・・・2階に・・・」
「とってきなさい。・・・葉月」
先生はあたしを促すと今度は2階から顔を覗かせていたらしい珪くんを呼んだ。
「・・・はい。」
「、早くいきなさい。葉月は降りてこい。話がある」
先生が珪くんを呼ぶ声がなんだか怖くて、見てたあたしを先生がたきつける。
「家庭訪問、ですか」
「ああ、そうだ。君は・・・彼女に、なにをした」
「・・・・・・・・・・キス、しました」
「!・・・・・彼女が泣いたのはそのせいか」
「・・・・・・・はい」
「君が、女性に、無理やり性的行為を望む人間だとは思わなかった。今後一切、彼女から手をひいてもらいたい」
「・・・氷室先生が・・・を幸せにできるなら・・・手をひいてもいいと思ってた。でも・・・違った」
「なにが違う」
「は幸せそうじゃない。高校のときからずっと見てる。俺にはわかる」
「・・・幸せそうじゃない?・・・・そうなのか、」
先生がバッグをもって1階に戻ってきたあたしを見る。
「あたし・・・あたしは、幸せよ。だって・・・時間は少ないかもしれないけど、先生と一緒にいれるし」
「高校のときよりも、苦しそうな顔してる・・・」
・・・そう、かな。
「先生、帰りましょ・・・ね?」
これ以上、こんな会話、したくない。あたしが幸せだろうが不幸だろうが、2人に関係ない。
あたしは・・・あの日、卒業式のときに・・・先生に愛してるって言われた時から・・・変わってしまったんだろうか。
・・・トクベツな存在になれただけで、幸せだったのに。
「・・・・・・・・今日は彼女に免じて、見逃してやる。次は無いと思え。葉月」
先生が、こんなに激しい口調で珪くんに話し掛けるなんて思わなかった。
でも・・・怒ってる先生も、かっこいい。なんて。
「・・・」
外はいまだ日差しが照り付けていた。
先生の家をでたのが11時だったから・・・もうお昼どきかな。
そんなことを、考えてたら・・・先生の手が伸びてきて・・・強引にキスされた。
「・・・んっ・・・せんせっ・・・こっここ」
公園!往来!人が見てる!
「帰ったら昼飯時だな・・・・・・覚悟していなさい」
なんだか狂暴な目で、先生はよくわかんないことを言う。
「覚悟・・・ですか?お昼ご飯は・・・サンドイッチとサラダつくってきたんですけど」
先生の家のキッチンを遣わせてもらうこともある。でも今日は随分早くめがさめたのだ。
「・・・そうか」
小さく、笑ってくれた。
「・・・先生、迎えにきてくれたんですか?」
「ああ・・・君が隙きだらけの人間だったということを思い出して、な」
あうっ、また怖い・・・
「そういえばなんで珪くん家ってわかったんですか?」
「・・・電話で話してただろう」
「あ・・やっぱうるさかったんですね」
そりゃそうか。同じ部屋の中だし。先生の部屋って声がちょっと響くんだよね。
先生は帰る道すがら、ずっとあたしの肩を抱いてくれた。
珪くんにキスされた時、ちょっとびっくりして、ホントは怖かったけど・・・でも先生が来てくれたから、よかった。
・・・先生はあいかわらず口数少なかったけど、幸せ。
「ただいま。せんせ」
「おかえり・・・・さっそくだが、」
「はい?」
「・・・おいで」
先生・・・いつもみたいに照れもしないで、ソファに座り、あたしの腕をひっぱってひざの上に座らせた。
優し気な口調とは裏腹に、腕をひく、強い力。
さっきの、公園でのキスとか・・・先生、どうしたの?
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