ドリー夢小説
「ぷはーっ!!!遊んだねー!!」
「あしたこそなっちんに勝つ!!あーおかしー!!」
びしょびしょに濡れた白いウェア。
暗くなるまで時間の経過すら忘れるほどに遊び倒したあとの楽しみは温泉と夕食。
「夕飯までに時間があるからあたしたち温泉いってくるね」
姫条くんと珪くんの部屋に立ち寄って声をかけると、二人も一風呂浴びるという。
「おまえ風呂なんてはいったら、しみそうだな。体中」
「え?なんで?」
「かなり転んだだろ。あざだらけになってるんじゃないか?」
「珪くんもしみるかもね。あたしのせいでいっぱい転んじゃったし。ごめんね」
大笑いしながら一緒に転がり落ちたのは少し、楽しかったけどね。
「俺は平気。あざなんてしょっちゅうだから」
「えー?あざなんてあるの?だって写真とるときに目立っちゃうんじゃない?」
「そんなことない。目立たないように撮るから。服で隠れるしな」
モデルってカラダにも傷なんてつけちゃいけないのかと思ってたよ。
「なっちん。ありがとね」
「なーにー?。水くさいなあ。あーでも楽しかったねー!!きっと明日は筋肉痛だよ」
「そうだね。・・・なんか修学旅行みたいだよね」
なっちんとのぼせるまで露天風呂と室内風呂をいききして部屋に戻った時にはもう2時間もたっていた。
のぼせるはずだよね。
「ほんとー!だってこれってさ!枕投げしたメンバーだよね!」
みんなで豪勢な夕食を食べて、コップ一杯ずつのビールを飲んだ。
熱いお湯につかったばかりだったから、血の巡りがよかったのかあたしはあっというまに酔っちゃったんだ
けど、それも目立たないくらいみんなで盛り上がった。
なっちんが眠そうに目をこすりはじめるまで。
「それにしても今日は疲れたねー」
「そろそろ部屋もどろっかなっちん。姫条くん、珪くんまた明日の朝ね」
「あーあー・・・・おやすみ。ちゃん、なつみ。俺も疲れた。枕なげーとかいって襲撃しに
きてもぐっすりや」
「こっちだって眠くってそんなことしないわよ!じゃね!」
「おやすみ、」
姫条くんの大あくびを見てたらうつっちゃったみたい・・・あーあ・・
「すっごく楽しかった。また行こうね。ありがとなっちん。ありがとう姫条くん。行きも帰りも
運転してもらっちゃって、大変だったでしょ。あたしもがんばって免許とるからね」
「あたしも楽しかったよー!来年もまたこのメンバーでスキー旅行だね」
「俺も楽しかったで。ちゃんは免許とるん?」
「うん。その予定」
「したら交代できると助かるなー。また行こうな。葉月もな」
「ああ」
「うん。ありがとう。またね。なっちんまた連絡するね」
「うん。気をつけてね。、なんかあったらすぐ言うんだよ。またね。葉月も、送り狼にならない
ようにね!!」
なっちんたら。ここから珪くん家まではすぐそこだしあたしの家は歩いて5分。
家の近くまで送ってもらってあたしと珪くんは一緒におろしてもらった。
高校を卒業してからなんだか毎日がめまぐるしく過ぎていく。
珪くんとは大学も一緒だしたまに昼ご飯を食べにいったりもするけど、なっちんと遊びにいくことも
少なくなった。
遊ぶ約束はするんだけど、高校生のときと違って毎日の大半を同じ学校で同じスケジュールで
過ごす生活ではなくなったから、なかなか予定が合わなくてあっという間に1ヶ月も2ヶ月も
過ぎていく。
久し振りに会えてよかった。
「楽しかったね。珪くん」
「ああ。楽しかった。来年も行けたらいいな」
「そうだね。行こうね」
あたしたちはいつも一緒に帰るときにさよならする公園で、冬休みの課題の話なんかしたりして
別れた。冬休みはまだあるし、たまちゃんたちとも会えるといいなあなんていいながら。
あたしはまた零一さんのことを考えてた。
「・・・あ・・・・零一さん・・・・」
公園から一歩でて家がもう家が見える、といったところで視線の先にいたのは零一さんだった。
こっちから連絡をとるまいと意地を張っていたことも忘れてあたしはかけだしていた。
零一さんは怒るでもなくあたしを見ていた。
「どうしたんですか?こんなところで」
駆け寄るあたしを待って、零一さんはおかえり、と言ってちらりと右手の大きなバッグに視線をやった。
「あの・・・」
「スキー旅行はどうだった」
「え・・」
「尽くんに聞いた。今日帰ってくると。ああ、怒っているわけではない。楽しかったか」
「は、はい・・・・でも・・・・零一さんのことばっかり、考えてました」
あたしは今回の旅行でわかった。零一さんのこと、忘れるなんてできない。
「連絡だってこないし・・・」
「悪かったと思っている。しかし・・・・君からだってなんの連絡もなかった」
零一さんも、あたしのこと思っててくれたってこと?
声が聞きたい、会いたいって・・・思ってくれた?
「だって零一さん・・・怒ってた。あたしには関係ないって」
「君を傷つけようとして言った訳ではなかった。・・・知れば君が気にするだろうと思って
隠したかった。私には君だけだ。他の女性と会おうがお見合いをしようが心を惹かれることはない。
誓ってもいい。しかし君はそうは言っても安心してはくれないだろう」
「だって・・・写真の人、すごくキレイなひとでした。それに人目ぼれ、って言葉があるじゃないですか。
零一さんがお見合いして、その人に惹かれることが絶対ないなんて・・・そんなの」
そんなの、安心してかまえていられるほど人間できてないです。
零一さんのことを疑う、ってわけじゃないけど・・・とても無理。
「君のことばかり言えた身ではないな。私も・・・君が葉月と出かけたと聞いていてもたっても
いられなかった」
だから・・・尽に聞いて、ここであたしのこと待っててくれたんだ。
「珪くんだけじゃないですよ」
「わかっている」
「零一さん・・・あたしのこと、捨てないでくださいね」
「君こそ。私には君だけだ。君が信じてくれるまで何度でも言おう。・・」
照れてるあたしのほほに零一さんの息が触れて、それから唇がふれた。
さすがに、人気がないとはいえ外では恥ずかしいし、寒いってことであたしは零一さんのお宅に
おじゃますることになった。
ついついこの間みたキッチンの白いダストボックスに目がいってしまう。
なにも入っていないのを確認して少しほっとした。
「旅行中も、零一さんのことばっかり考えてました。忘れようと、思ってたのに」
ソファに座る零一さんにお土産を手渡しながら隣に腰をおろす。
「もう見合いの話もこないだろう。顔をたてるどころか、すっぽかしてしまったんだからな」
「え?すっぽかしたんですか?!顔を立てるために、って・・・」
「そんなこともいってられないだろう。結果的にはよかったんだ。もう忘れよう」
ちょっと疲れた顔をした零一さんはやっぱりこの話を終わらせたいみたい。
この間と違うのは、穏やかな時間、優しい空気。
髪を撫でてくれる零一さんの手が気持ちいい。
ふと見上げた窓の外。
あれ?
「流れ星だ!!」
あたしの大声に、零一さんもあたしの背後から外を覗く。
あたしの頭の上にあごをのせ、胸の上で交差される長い腕。
ここちいい、どきどき。
寒いけどよく見たくて、あたしはベランダへの窓を開けた。
「そういえば今年もまた獅子座流星群が見えるってニュースでやってました・・・今夜だったんですね」
暗闇に浮かぶ無数の星。
時折見える、流れ星。
「・・・流れ星に、なにを願うんだ?」
白い息とともにつむがれる零一さんの言葉。
「・・・内緒です。言ったら、叶わなくなっちゃうんですよ」
あたしの息も白い。
きっと口にしなくてもわかってる、あたしの願い。
零一さんの願いも一緒、ですよね?
あたしは願う。
こぼれおちるいくつもの星に。
ずっと、一緒にいられますように。
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