ピアス








ドリー夢小説

「いらっしゃいませ〜・・・ってあらどしたの」

「こんにちわ〜花椿さん・・・と、天之橋さん!」

「こんにちわ。偶然だね、くん。おや・・氷室くん」

あたしの後ろから続いてシモンに入ってきた先生が一瞬だけ、しまったって顔したのをあたしは

見逃さなかった。

「こんにちわ理事長」

「・・・・・氷室くん。私には個人的に女子生徒にかまうなといいながら君はちゃっかり」

「今日は社会見学の帰り道です。自分のクラスの生徒を一人でこんな時間に繁華街へ

向かわせるわけには行かないので」

先生・・・まだ3時回ったとこです。外は明るいです。

言ってること、あんまり筋通ってませんよ。

でも・・あせってる先生が見れるなんてちょっと楽しいかも。

「店長?確か今日入荷するちっちゃいお花のピアスありましたよね。まだ残ってますか?」

「なあに?あれ買いに来たの?わざわざ教師同伴で?言ってくれればとっておいたのにぃ」

「それはズルですよう。あれかわいいから、入るとすぐ売れちゃうし」

あれ、ずっと狙ってたのよ。

花びらが金色で縁取ったガラスでできてる小さいピアス。

あたしは中心に緑の丸いガラスが入ったのと水色のガラスが入ったのと、迷ってるのよねえ。

「あるわよぉ。はい、これ。どの色がいい?」

「んー・・・緑色にしようかな」

どうしようかな。

「小さい花も色も君によく似合う。君みたいだ」

「せっせんせっ」

あたしの肩越しに覗き込んだ先生の言葉にあたしは顔が真っ赤になる。

うれしい・・・んだけど、ちょっとびっくり。でも先生が誉めてくれた。

うれしい!

「っ!いやっ、その、深い意味はない。ああ。・・・・・そうだ、こっちの腕時計はどうだ。学生らしくて

実にいい」

「んー。いいんですけど・・・あたし今日はピアスを買いに来たので・・・もし腕時計が必要になったら

先生がお勧めしてくれたやつにしますね」

そういえば先生時計好きだよね。さっき眺めてたなあ。

あたしがつけるよりも先生に贈ってみたいなあ。

それで先生がいつも身につけてくれたらうれしいんだけどなあ。

「きみにはこっちの赤いカラーストーンのピアスも似合うと思うよ」

さすが紳士。理事長が選んだものは大人っぽい。

「そうですか?ありがとうございます」

「今日のその格好には、特に」

うっ・・・どうしようかな。ほんとに。

「そういえば氷室くん。先日のレポートのことなんだが」

なんだか理事長がしてやったり、って顔しながら先生に話し始める。

先生が苦虫つぶしたような顔しながら

「理事長。それは脅迫ですか」

とか言っちゃってるけど・・・大丈夫かな。

よし。理事長があっち向いてるウチに買っちゃお。先生が誉めてくれたお花のピアス。

「店長、これ。お願いします」

「はいはい。かわいく包んどくわよ〜」

えへへ。うれしい。

学校にはつけていけないから、今度先生が社会見学に誘ってくれたらつけていこう。

いいよね。みんなと一緒に社会見学じゃなければ。・・・・多分。



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「おはようございます。先生」

水曜日の放課後、先生が誘ってくれた社会見学。

この間買ったピアスつけたくて、今日がすっごく待ち遠しかった!

「ああ。おはよう。早いな」

「先生をお待たせするわけにはいきませんから。今日はどこに連れて行ってくれるんですか?」

と、車から降りた先生の手があたしの首に伸びて・・

「きゃっ!先生?どうしたんですか?」

耳を出すようにあたしの髪をかきあげた。

「いや・・・その。あまり学生の身分で華美な服装は望ましくない。しかし・・・似合っている。そのピアス」

よかった!

先生、気がついてくれた。

「えへへ。先生がほめてくれたから。やっぱりこれにしたんです」

「そうか」

「そうです」

先生の満足気な表情。少し勝ち誇った表情にも見えるのはあたしの気のせい?


「そうだな。今日は・・・遊園地ではどうだ」

「デートみたいですね。先生」

そっと、気づかれないように腕を組んでみる。って、気づかれないはずはないんだけど・・・

「えへへ」

少し戸惑った顔であたしを見下ろす先生に笑ってみる。

いいでしょ、少しくらい。先生、あたしの気持ちにぜんぜん気づいてくれないんだもの。

これくらい。いいでしょ?

「・・・そうだな。デートみたい、だな」

「そうですよね!」

先生。もしかして少しはあたしの気持ち、伝わってる?

「さあ。出発する。助手席に乗りなさい。いつまでくっついている」

そういいながらも先生は腕を振り払ったりはしなくて、あたしの頭をはたいた。

「はあーい」

「返事は短く」

「はい」

遊園地か。楽しみだな。こないだは・・・・ちょっと怖い思いしたからなあ。

「先生?今日はお化け屋敷、入りませんからね」

「怖いのか?」

「怖いです」

「私が一緒でもか?もう脅かしたりはしない。約束する」

・・・

「先生が一緒なら。平気です」

そうそう。先生、このピアスの色、どうして緑色にしたか、知ってますか?


・・・・・・・・先生の、瞳の色なんですよ?