ドリー夢小説
「功刀司令。次のご指示を」
「!」
功刀の怒鳴り声。
司令センターにはもう2人の姿しかない。
「なぜここに・・」
「逃げ送れちゃいました」
「ばかな・・・・」
絶望に、悲嘆にくれた表情。
そんな顔を見たくて、残ったんじゃない。
「功刀さん。気づきましたか?ここに、扉があるの」
それは転送装置であるレリーフの左側面。
がこんこんとノックをすると確かに他とは違う空洞を感じる音がする。
「功刀さん、何度か夜ここでお会いしましたよね」
「・・・ああ」
苦悩の表情の彼に、声は届いているのか。
「ずいぶん不信がって・・八雲さんにあたしのこと探りいれたでしょ」
「・・・そんなこともあったか」
皮肉っぽい笑い方しても、いつもと違う。
弱弱しくて。
「八雲さんだけに相談してあたし、シェルター作ったんです」
「・・・」
「大変でしたよー。なんたって素材調べたり溶接からやったんですから。まあ仕上げは業者に手伝って
もらいましたけど」
開けるとそこは2人がやっと入れるスペースが見て取れる。
「・・・・まさか」
「本当です。ただし。わかってると思いますけど、私一人じゃ入りませんよ」
「・・・命令だと言ってもか」
「はい。私といっしょにシェルターに入るか、入らないか。それ以外は聞こえません」
「・・・・君も頑固だな」
「八雲さんとキムの赤ちゃん、みたいでしょ?功刀さんも」
「しかし」
厳しい顔に戻った彼はようやく自分を取り戻す。
「私は罰を受けなくてはならないのだ」
「このあとゆっくり受ければいいじゃないですか!ここで死んで罪を償うことになるんですか?!
目的を果たせて、生きていける可能性があるなら生きる努力をするべきです!」
も必至だった。
彼の気持ちもわかる。自分の娘を自分の手で殺めたのだ。知らなかったとはいえ。
それでも・・
私たちは生きている。
「・・・」
「この戦いがどう終結するのかわかりません。ただこの後だって生きていくのは大変なはずです。そうでしょう?生きて償うべきです。功刀さんはずるい!」
「・・ずるい、か」
彼の笑顔。
それこそ今の戦乱の中のを支える、すべて。
「このシェルターだって本当に生き残れるかわからないんですけどね。試したことないし」
「・・」
「核・・・使う気だったんですよね。最初から。あんなこといってたのに」
「あんなこと?」
綾人に、飯を食いに行こうって。
「ああ・・・そうだな。ただし」
「先に入ってろっていうのもナシですからね」
「・・」
「いっしょに入るんです・・・スタンバってますから」
の笑顔に彼の心はきまる。
彼女まで死なせるわけにはいかない。
「あいつ・・」
九鬼の高笑いが聞こえてくる。
「・・・いいか」
「はい」
再び九鬼がここを覗き見るその前に。
司令センターで傷だらけの2人がそれでもまだ生きて、生き延びる希望をもつことを悟られる前に。
スイッチが触れると同時に一気に押した。
彼の指。
歩くのもやっとだった彼のからだが宙を舞うように衝撃を利用して、の体をひきよせ、
シェルターに押し込んだ。
「っ!!!」
シェルターごとゆれる2つの体。
功刀の腕の中、手探りでは次々に鍵をロックする。
そのひとつひとつに祈りを込めて。
「これで、平気」
弱々しく笑う彼女もまた最初の衝撃で傷を負っている。
「痛い?功刀さん・・・」
彼の額をぬぐう。
こんなときなのに、乱れた前髪が彼を若く見せた。
「大丈夫だ。君こそ・・・今までどこにいたんだ」
彼女の頭と腰をつつむ腕に力がこもる。
功刀の手のひらを濡らすのは彼女の血。
彼の体温にしびれる傷の感覚に酔いそうになる。
激しい揺れは止まらない。
「ロビーにいました。みんなが避難するのを確認していました」
「・・・・総一は・・・・そうか」
そう。八雲さんにも口裏を合わせてもらっていたから。誰も彼女がいないことを不審に思うことはなかっただろう。
「・・・君は無茶をするな」
功刀さんこそ。
上目遣いに軽く睨むと知らん顔される。
「必死なんです。功刀さんと一緒にいたいから」
シェルターをつくろうと思ったのだって、まさかこんなに早く使うことになるとは思わなかったのに。
「核のボタンがあることを知ったときに、シェルターがあるのかと思ってました。でもいくら調べてもなかった」
「ああ」
「連合にはあるんですよ」
「・・・そうなのか」
「どのくらい・・・たったんでしょうね」
衝撃はいくらかやんだ。
暗闇の中、時間の経過がわからない。
不安そうなに、功刀がゆっくりとくちづけた。
「・・・・・・功刀さん・・・・・・・」
初めてだった。
からねだるわけでもなく、彼からのキス。
しっとりと、生を確かめるように。
「不謹慎か」
にやりと笑う功刀に、は笑顔で応える。
「うれしい・・・やっぱり、のこってよかった」
「君の姿を見つけたときは驚いた」
また、あのときと同じ過ちを犯すのかと。
愛する人間をこの手にかけるのかと。
戦慄に鳥肌がたった。
「・・・・ごめんなさい」
「まったく・・・・」
「功刀さんからキスしてもらえたし、二人っきりでいられるし・・功刀さんの前髪おりた顔見れたし」
「前髪?」
「すごく若く見える」
「・・・君は」
「不謹慎ですか?」
二人で笑えるくらい、余裕がでてくる。
ここの酸素がなくなるのはあとどのくらいだろう。
考えたくなくて、彼女は目を閉じてキスをねだった。
「・・・功刀さん・・苦しい?」
唇が触れ合ったまま、言葉を紡ぐ。
「いや・・・君は」
キスするよりも、不用意に触れ合う唇にどきっとする。
「酸素ボンベがあるから・・・簡易式のだからそんなにもたないけど」
足元に・・・あることを確認した。
「これが切れたら、どんな状況であれ、外にでちゃいましょうね」
「・・そうだな」
「あたしは功刀さんと一緒ならもう悔いは・・・」
言い終える前に、唇でふさぐ。
「縁起でもないことを言うな。死ぬなら俺一人で十分だ」
「死ぬなら一緒です」
「・・・」
「どうしてもあたし一人で残したいんですか?」
「君にはこれから先長い将来がある」
「功刀さんがいない将来なんていらない」
幾度もついばむように触れ合うキス。
言葉を探す功刀がゆっくりと彼女の口腔に舌を滑らせた。
「ん・・・・ん・」
切なく、甘い声。
現実逃避ではない。
ただもう少しの命かもしれない。
「死ぬときも、生きるときも一緒にいたいんです」
彼女の気持ちがうれしかった。
彼女が欲しいと思う。
久しぶりに、頭のどこかが熱くなる。
応えるように絡む舌で、彼女の合意を知る。
「功刀さん・・・・」
吐息と共にでた言葉。
彼の手のひらが彼女のスカートから潜ったから。
「仁でいい」
低い声が、彼女を濡らす。
「・・・じ、ん・・・」
「ここは怪我してないようだな」
そうやって意地悪く笑う顔も好き。
首筋にくれる噛み付くようなキスも好き。
「あ・・」
彼女の押し殺した声をもっと聞きたい。
彼女を悦ばせようと、鎖骨を舐める。
「っ・・」
指先に触れる薄い布が湿っていく。
彼女の表情を盗み見ると、目が合った。
暗くてもわかる、誘うような目。
「じん・・」
少し赤くなった唇から零れる自分の名前。
そっと頭を支えていた腕を彼女の胸元に移動する。
「好き」
制服の前をに手をかけ、ブレザーをおとすと、自らに押し付けられていた乳房が弾けた。
彼女がつま先立ちになり功刀の首にしがみつく。
彼は器用にその乳房に唇をよせた。
白く眩しい下着を歯でずらし、目の前の突起をしゃぶる。
「あっ!・・」
彼の口の中に鉄の味が広がった。
「ここも・・切ったのか」
「・・・あたしよりも・・・じ・ん・・・のほうが痛そう」
「俺は大丈夫だ・・・君に名前を呼ばれるとなんだかくすぐったいな」
「・・・じん、じん・・・好き・・・・・・」
彼女の笑顔に彼の中心が疼く。
「じんの・・大きくなってる」
密着した体に、ごまかしはきかなかった。
唇は乳首を弄ったままで、両手で彼女の濡れた下着を落とした。
「痛かったら言ってね」
「それはこっちの台詞だろう」
秘密を共有することを喜ぶ2人の小さな笑い。
「額の血が・・止まらないよ・・きゃあっ」
功刀の額にあてた彼女のハンカチはもう真っ赤に染まっていた。
彼女の心配をはぐらかすように、功刀の指が彼女の濡れたそこに進入する。
「もうびしょびしょだな」
「あ・はあっ・・・っ・・」
うごめく指に、耳元をくすぐるバリトンに、乳首を擦る功刀の制服にそこはとめどなく溢れる。
「じんのも・・」
少し舌ったらずにつぶやいて、彼女の手が功刀の中心に近づき、すでに上を向くそれをひっぱりだす。
「」
「よかった・・・じんも」
同じ気持ちなんだ・・
は功刀の抜き差しされる指に翻弄されるように手の中のものを弄ぶ。
そこは少しこするとと同じように雫を溜めた。
「じん・・・もう・・」
ぐりっと胸が布に擦って、彼女が身をよじらせた。
「ああんっ・」
「いい声だ」
彼女の太ももを持ち上げるとその足は彼の腰に絡みつく。
「無理・・しないでね」
血だらけのこの行為をきっと二人以外の誰もが責めるだろう。
それでも・・
「んっ・・ああっ・・・・っ」
息を呑む彼女。
ゆっくりと入り口を逡巡したそれが、彼女の重みで一気に貫いた。
「あっ・・・・はっ・・あぅ・・・」
「大丈夫か・・」
「・・ん・・んっ・・・・平気・・・・・動いて・・・いい?」
彼の体を気遣ってなのかがまんできないのか、彼女の体が上下に揺れる。
「んっ・・んっ・・」
一生懸命腰を揺らめかし、彼を締めつける。
唇をかみ、うつむき加減で夢中になる彼女を見て、彼も律動をはじめた。
「あっ!だめっ・・・」
「なにが・・だめだ」
動きをとめることを彼女が望んではいないことを知っている。
彼女の髪を梳き、ずりおちそうになる彼女の太ももをささえる。
「あんっ・・あっ・・んっ・・はあっ・・じんん・・・好き・・じん」
訴えるように見上げた彼女の顔がいやらしく上気していて、再び彼は責めるように口づける。
「ふ・・・」
やがて外の音はやみ、衝撃も去り・・・沈黙が残る。
舌が触れ合い、くちゅくちゅという音が耳につく。
それよりも耳に響くのは、二人がつながり、愛し合う音。
溢れる雫の音と、二人の激しい息遣い。
いくらキスしてもしたりない。満たされない思い。
「・・・愛してる」
やっと言えた。
娘を気にして、なくしてしまった家族を気にして、世間を気にして、伝えられなかった言葉。
今なら言える、そう思った。
「あたしも・・愛してる・・じん・・・」
「愛してる。」
その言葉だけで、体が痺れがはしる。
「あっ!じんっ・じんっ・・」
いっそう激しく打ち付けられる体に、が身をそらす。
「っ・・っ・・・」
美しいその肢体に、のけぞらせた首に口づけを落として、二人は果てた。
「・・・キス、して」
濡れた唇はそれだけで誘っているように見えた。
が足元を探り出す。
軽く蹴り上げて、右手に納めたものは、酸素ボンベ。
「・・・そろそろ、苦しくなってきたでしょ」
功刀が口を開く前に、彼の後頭部に手を回し、装着した。
「痛いかもしれないけど、少し我慢してくださいね」
そういって自分も身に付ける。
もう衝撃はないということは、外に出ても大丈夫かもしれない。
しかし倒壊した街中に出るかもしれないし、海にでてしまうかもしれない。
できるだけ時間を先のばして八雲たちに見つけてもらいたかった。
彼らが生きていれば。
「」
くぐもった声。
「はい」
「・・・・愛してる」
罪を償いながらでも、生死を共にしたい、共にしてくれるといった彼女に、伝えたかった。
「あたしも・・愛してる」
「・・・ありがとう」
「・・・じん・・・次にキスするときは」
「助かるときだ」
「うん・・」
暗闇と沈黙。空気をなるべく無駄にしないように。
は黙って彼の背中をさすり、彼も黙って彼女の髪を梳いていた。
はあ・・・はあ・・・
どんなに押し殺していても狭いシェルターの中ではすぐにばれてしまう。
「くる・しい・・?じん・・」
「大丈夫だ。こそ・・・・・・・開けるぞ。ここを」
「じん・・・」
「・・あと10数えて、ロックをはずしにかかる。がまんできるか?」
「できる・・・あと・・10、ね」
二人は見つめあい、口の動きをあわせる。
10、9、8、7、6、5、
ドンドンドンドン!!!
蹴破らんばかりの音がシェルターを揺らす。
「功刀さん!功刀さん!ちゃん!!」
それは八雲大佐の声だった。
意識を手放しそうになるは必死にロックをはずす。
ふと支えていた彼女の体から力が抜けた。
「ロック・・・・はずした・から・・・・」
やはり痛みにも酸欠にもかなり我慢していたのだろう。
いじらしいほど彼女に何も返せない自分を呪う。
とにかく今は脱出しなくては。
ぴっ・ぴっ・ぴっ・・・・・・・・・・
なんの音?
呼んでるの?
鳥?
あたしは生きてるの?死んじゃったの?
「・・・・じ・ん・・・・・・」
あれは、夢?
「?」
上から降ってきた言葉に、慌てては目を開けた。
自分が現実にいるのか、夢の中にいるのか混乱していた。
「私の名前を呼んだか」
「・・・・功刀指令・・・・・・ご無事だったんですね・・・」
頭には包帯がまかれている。
制服の下もおそらくがちがちにまかれているに違いない。
「・・夢・・・・?」
「現実だ」
その言葉にがとびおきる。
「あぶないっ」
「え?」
「・・・・いきなり起き上がるんじゃない」
イスを倒して立ち上がった功刀に驚いたは今度こそ本当に目をさます。
「功刀指令・・・」
「仁でいいと言っただろう」
「・・・夢じゃ、なかった・・・・」
「ああ」
短い彼の言葉が、彼女には嬉しかった。
「じん・・・」
「どうした」
「じん・・・じん・・・・」
彼女の顔を自分の胸に押し付け、落ち着けとばかりに頭を撫でた。
「助かったんだ・・・・・・・・」
心の底からの、搾り出すような小さな叫び声だった。
「お取り込み中失礼しまーす」
そのおどけた声につられては功刀の胸から顔をあげた。
功刀は立っているのも辛そうに、彼女のベッドの端に腰掛ける。
「八雲大佐・・・・ご無事でよかった・・」
「も・・・ありがとう。ほんとに・・」
ありがとう。繰り返し、握手を求める彼の目には涙が浮かぶ。
功刀さんを助けてくれてありがとう。
そういっていた。
「今残ってるクルーの中に医療チームの人間が1人しか残っていなくてね。応急処置しか取れなかったんですが、
明日の朝には宮崎県の港に入港できることになっています。そこでみんなとも合流できるしね」
「そっか・・・みんな、無事かな。無事だよね」
「ええ。先ほど通信がつながりました。
「ほんと?!・・・よかったね・・・・・・じん」
「・・そうだな」
彼女を見つめる優しい目。
これからのことはまた明日から考えればいい。
毎日必死に生きてればいつのまにか癒える痛みもあったりする。
「これからが大変、なのかな」
「そうですね。でも・・・とりあえず二人はおとなしくしててくださいね」
やっと血が止まったんですから。
功刀さんのほうがひどいのに、の側を離れなかったんだ。
その言葉にまたは涙して彼を仰いだ。
「ぼくもはやくキムに逢いたくなっちゃったな」
八雲そうつぶやいて、医務室を後にした。
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