ルーズリーフ












ドリー夢小説 「先生、昨日ねなっちんと話してたんですけどサッカーって見てました?」

「・・見ていない」

「それじゃそれじゃ先生ディズニーシーって興味あります?」

「ないな」

「先生クリムトって好きですか?ミュシャは?」

「嫌いではないが」

「先生絵、見に行きません?美術館じゃなくて売ってるほう」

「買うのか?」

「見にいくだけです。先生鏡の中の鏡って知ってますか?」

「ミヒャエルエンデは私も好んで読む。・・・どうした。そんなに急いで。少し落ち着きなさい」

「えへへ。じゃあ先生鏡の中の鏡って読みました?」

「ああ読んだ。あれは君好みの作品だな」

「はい。あれ好きなんですよねえ。あとですねえ・・」





「君はさっきから何を見て話してるんだ」

「あっ!!」

頭上から取り上げられた、ルーズリーフ。

「・・・くっ・・・」

先生・・・笑ってる・・・

「だって・・・ほんとはいつでも先生にいろんなこと聞いたり話したりしたいんだけど、

無理なんだもん。書いとかないと先生に話したかったこと忘れちゃうし・・・」

毎日メモしておくんです。

だってだってすごく先生に聞きたかったこととかあっても、会うときには忘れちゃうんだもん。

「それで・・・聞きたいことはもう終わりか?」

いつもの先生のお部屋のソファ。

肩を引き寄せられて先生とくっつくと・・

聞きたいことも頭が真っ白になっちゃうからだめなんです。

「それじゃあ今度は私の番だな」

「え?」

「昨日の土曜はどこか出かけたのか?」

昨日?

そういえば

「昨日は・・・姫条くんとカラオケに行ってました」

どうしてもどうしてもっていうもんだから。姫条くん。なっちんと行けばいいのに。

二人とも素直じゃないのよねー。

「・・・それはその・・・デートか」

「デート?!そんなわけないじゃないですか。あたしがデートするのは先生だけです」

「そっそうか」

先生はあたしの勢いに面食らった様子で、落ち着け、と肩をたたく。

「落ち着いてますよ〜昨日のあれは相談に乗ってただけです」

「カラオケでか?」

「・・・先生にも言えることと言えないことがあるんです」

少しでも妬いてくれたのかな〜と思ったけどもう先生は気にしてないって顔して、

あたしを見て微笑んでくれた。

それも少し悔しい。

「デートだったら、どうします?」

上目遣いに先生の表情を盗み見る。

「・・・デートだったのか?」

やっぱり先生の表情は変わらない。

ちぇっ。

「冗談です。姫条くんね、好きな人ができたんだけど勇気がなくて誘えないんですって」

「・・・」

「意外でしょ」

「そうだな。しかし・・・まあ意識してしまうと話し掛けるのにためらってしまうというのはよくあること
だ」

「先生も?」

「そうだな」

そうだなって・・・そうだよってこと?

「そうなんですか?先生が・・・」

「君と同じように、触れるときも話し掛けるときもいまだに緊張しているんだが」

「あたしは緊張なんてしませんよー」

見透かされたことがまた悔しくて憎まれ口をたたく。

「君はすぐ顔にでる」

「・・・先生はいつも余裕であたしの相手してるように見えます」

「そうだろう。表に出さないようにしているからな」

そっか。

先生でも緊張するんだ。

あたしのこと、意識して・・・

「うれしい」

「ん?」

「先生があたしのこと意識してくれてるって言ってくれて、うれしい」

思わず先生の首にしがみついた。

だってすごくうれしい。

あたしと同じ気持ちでいてくれてるんだ。

「・・・。これはなんだ」

上から声がする。

あたしは顔をあげずに次の言葉を待った。

「この・・・マスターに、というのは」

「あ!」

それはマスターに先生の好きなおつまみとかお酒とか教えてもらいに行こうと思って書いといたんだ。

「かっ返してくださいっ」

今更返してもらったところで・・・・先生はもう読んじゃったあとだからしょうがないんだけど・・

「それはなんだ」

「ええと・・・」

少し動くと、先生が逃がさない、とばかりに腕に力をいれてあたしは先生から離れられない。

「俺には言えないことなのか?ん?」

「そんなこと・・・ないですけど・・・」

ああ・・・あたしにもうちょっと記憶力があれば・・・うう・・

「マスターに・・先生が好きなおつまみとか作り方を教えてもらおうかなーと思ったことを

忘れないように書いたんです・・・」

「・・・」

「・・・怒りました?」

自分に直接聞けばいいってまた言われるのかなあ・・はあ。

好きなもの、じゃなくて作り方が知りたいんだけどな。

本で調べるよりも先生の好きな味加減を知りたいんだけどなあ。

「前に」

「直接聞けばいいっていわれました。覚えてます」

「そうか。それならいい。これから簡単なつまみの作り方でも教えよう。来なさい」

え?

「先生が作り方を教えてくれるんですか?」

「ああ。わたしのエプロンを貸そう」

「先生・・・・・お料理できるんですか?」

「自分でつまむものくらい作れる」

天気のいい休みの日に二人でキッチンでお料理なんて・・・

「えへへ」

「どうした?」

エプロンを探して屈んだ先生と正面から目があった。

「新婚さんみたいだなと思って」

「・・・そうだな」

こんなふうになれるならやきもちも悪くないかも。