失踪





ドリー夢小説
今日は修学旅行。
そう。
彼女が卒業して、初めての。そして恒例の。
そして残すは家に帰るのみ、だった。

毎年エスカレートしてゆく生徒たちの無軌道さ。無秩序さ。
ぐったりした身体をなんとか動かし、夕日の中、自分の部屋へ急いだ。

prprprprrrrr・・・
携帯を片手に、彼女へ連絡をいれるが一向に出る様子がなかった。
この時間、この日なら既に大学のコマは終わっているはずだった。
サークル活動はいまだ迷っている最中らしいが・・・

「なにか、あったのか?」

帰る日に、連絡をいれると伝えておいたはずだ。
夕方に帰ることができれば彼女と、少しでも過ごせるはずだった。
すっかり2人でいられる時間が減った今。たとえ10分でも、彼女にとっても氷室にとっても貴重な時間のはずだった。

ところが、いつまでたっても恋人は電話にはでない。

それどころか。

いつもなら大学が終わった頃になると、誰だかとこれから買物にいく、とかこれから本屋にたちよる、おはよう、おやすみ、会いたい、寂しい・・・と、ささいなことでも、連絡がこなかった日はなかった。

まさか、犯罪にまきこまれたのではあるまいな・・・

彼女はあれでぬけているところがある。隙が多すぎる。考えられないことではない。

もしや。またあいつが絡んでいるのでは。
そう思い携帯を持ち直す。

prrr・・
『はい』
「俺だ」
『どうした、零一。なにか用か』
「いや・・・その、はそちらに邪魔してないか」
『邪魔なんて。俺はいつでも大歓迎だよ。そうだな、今日は来てないが』
「そうか。いや、邪魔したな」
『どうか、したのか?』
「なんでもない。じゃあな」

・・・そうか。こんな単純なことに気づかなかった。彼女は、家にいるのではないか。
家の電話に出たのは尽だった。
『姉ちゃんはまだ帰ってないっすよ。今日は先生と会えるってはしゃいでましたけど』
「そうか・・・いや、ありがとう」
『姉ちゃんにあってないんですか?』
「ああ・・・連絡がとれないんだ」
『ちょっと待ってて・・・・・・いや、携帯はちゃんと持ってってる。』
「わかった。ありがとう。それじゃ」

君はどうしてこう・・・私の胸を締め付けるような行動ばかりおこすのか。

気がつくと車のキーを片手にしている自分がいた。
とにかく当てもなく外を探すか?・・・非生産的な考えだった。
しかし。
とりあえず着替えて落ち着こう。

そう思い廊下にで、寝室をあけた。
そこには・・・・
・・・」
ベッドで一人小さく、丸くなって寝ている恋人がいた。
少し布団に隠れるように両手に握った携帯電話。
これでは着信音が聞こえなかったのも無理はない。



小さく耳元でささやいて、頬に、キスをした。
起きる気配もない。

「今日も君に振り回された」

苦笑してネクタイをはずした。
さあ、君が目を覚ましたら・・・責任をとってもらうぞ。
彼女の寝顔が、微笑んだ気がして振り返る。
優しい寝顔が私を見ていた。

「これで、十分かもしれないな」

彼女の傍らに腰をおろし、彼女の寝顔を見つめる喜びをかみしめた。