shiki1
パウンドケーキ☆前編






ドリー夢小説

下校時の彼女を送る車中、突如携帯が鳴った。私のものではない。

「すみません」

一言私に断って彼女が電話に出る。

表示された名前は彼女の同級生の男子生徒。

下世話だ、悪趣味だと思いながらも耳は彼女たちの会話に傾いてしまう。


今日の昼間、彼女たちが中庭で食事をしているのを目撃した。

もちろん二人だけというわけではなかったのだが・・・・

つくづく思い知らされる彼女との差。

生徒と、教師。

楽しそうに笑う彼女の笑顔を引き出すのは同級生の友人たちだろう。

中庭で日差しを浴びながら楽しそうにしている彼らの中に、自分の入り込む隙はない。

「うん。うん。ほんと?よかった。また作るね」

うれしそうに笑いながら話す彼女。

その笑顔が自分だけに向けられたものではないとくぎをさすように。

調子にのるな、道を踏み外すな、と。

「ううん。いいって。そう、好きなんだよ」

そうだ。彼女が私に付きまとうのは、生徒が、教師に、なれなれしくすることに、優越感をおぼえるからなのだろう。

あれだけ男子生徒に囲まれている彼女だ。好きな男子生徒の一人や二人・・・いや。問題はそういうことじゃない。

それは自分が一番よくわかっているはずだ。

・・・彼女への恋心。

彼女の私への笑顔も、愛しているという言葉も、思春期特有の一過性のものだと知っている。

せめて今だけは。

彼女が大人になり、私から興味をなくすそれまでは・・

「そだね。じゃあまた明日、学校でね。おめでと色くん」

彼は今日誕生日かなにかだったのか。

昼間彼女が満面の笑顔でかわいらしい包みを彼に手渡してたのは・・・それか。

「・・・

「はい。せんせ?」

小首を傾げぶしつけに投げられる視線も。

「いや・・・・・もうすぐ期末試験だ。どうだ。勉強は進んでいるのか」

こんなことを言いたいのではないのに。

「はい。順調ですよ」

「そうか。・・・よろしい」

それっきり私は彼女に話しかける話題をなくしてしまう。

肝心なことは、口にできずに。

「せんせぇ」

「なんだ」

どうしてもっとやさしい言葉をかけてやれないのだろう。

「あの・・・ですね。パウンドケーキをつくったんです。たくさん。先生も・・・食べてくれないかなあと、思って」

「私はいい。・・・三原に、作ったのだろう」

・・・・・・・彼女の電話を盗み聞きしていました、と言わんばかりではないか。

大人気ない。

甘いから、とか腹がすいていない、とか、そういうことではないのだ。

嫉妬している。

十も違う子供に。それも自分の生徒にだ。

「先生っ!」

しゅんとしてしまった彼女に、謝りたいと、なにか言葉をかけなければと思いながらも

ハンドルを握りながらちらちらと視線を投げかけることしかできない私の方に、

彼女がいきなり飛び掛ってきた。

「なっ!っ!どっどうしたっ」

飛び掛ってきた、というのは言い過ぎたかもしれない。いやしかし、実際・・そうだったのだ。

彼女はシートを飛び越え両腕を広げ、とびついてきた。

「先生また恋愛は脳内物質のいたずらがどうとかって思ってるんでしょ!!」

「なにっ?とっとにかくっ、離れなさい。っ」

「あたしが先生のこと好きって言ってるのに、やっぱり信じてないんだー!」

いきなりの発言になんと返していいのやら。

たしかに彼女の抗議は当たらずとも遠からずなのだが・・

このままでは非常に危険だ・・。

「はっはなれなさいっ!」

「いやですーっ!先生が信じてくれるまで離れませんー!」

「わかったっ、わかったからっ!信じる!だから」

「先生のうそつきーっ。全然信じてないっ」

あわてて車を路肩に駐車する。

ここなら人気もない。邪魔になることもないだろう。

「先生の分は・・・・ブランデーをいれて作ってみたんです」

そういって私の首の後ろに両手をまわしたまま、彼女が黙り込む。

「・・・どうした」

「先生、どうしたら先生のこと好きってあたしの気持ち、信じてくれるんですか?あたしが

大人にならないとだめなんですか?」

「・・・信じていないわけではない。しかし・・」

経験上、気持ちは移ろいやすいものだと知っているだけだ。

特に彼女たちの年代の感情というものは・・

「っ!」

・・・

ただでさえ狭い車内に密接する体。

彼女の唇が、私の口を塞いだ。

「っ・・っ!!」

「せんせ・・・、ほんとはね、信じてくれなくてもいい・・・先生がどう思っててもあたしは先生のこと・・・

好きなんだもの」

ゆっくり移動してくる彼女を止めるひまもなく。

彼女が私のひざの上をまたいでひざだちになる。


甘い香り。やわらかい肢体。


なまめかしくぬれた唇。


発育のいい胸が私を圧迫する。


手を伸ばさなくても触れることのできる彼女の太もも。


「せんせぇ・・・あたし・・」

・・・」

そう。

せめて今だけは。

思うのは今目の前にある幸せだけ。