ドリー夢小説
「痛っ・・・」
・・・・・・またしても。・・・今年も、というべきか・・・
「やっちゃった・・・」
体育祭。文化祭。お祭りごとというとどうしても私の血が騒いでちょっとして
興奮状態になるみたいなのだ・・・・
つまりは走ってあっちこっちにぶつかったり・・・こけちゃったり。
「あいたた・・・」
擦り傷なら問題ないのだが・・・これはちょっと痛い。見てて痛い。
血が、流れるようにほとばしっていた。
「・・・・・・保健室、いくぞ」
「桂くん」
目ざとく見つけた桂くんが私の腕をひっぱった。
ちょっとあきれたようなちょっと怒ったような・・・心配そうな顔。
「だっ大丈夫。大丈夫だよ。珪くんだってもうすぐ出番でしょ。リレー、選手だったよね」
「・・・・とりあえず手当てが先だ」
「大丈夫。一人で消毒してばんそこ貼って戻ってくるから。珪くんの応援はりきんなきゃね!」
「おい・・・」
「それに私の出番は午後までないし。ね?珪くん。嬉しいけどこれくらい大丈夫よ」
「・・・そうか?」
さらに心配そうな顔。
ありがと。珪くん。でもわたし・・・
「ありがとう。心配してくれて。珪くんリレーがんばってね」
「・・・・・・応援、しろよ」
「まっかせといて」
後ろ手に手を振りながらつとめて普通に・・・歩けているだろうか。
珪くんを振り切ってきたのには、ちょっとしたわけが、あったのだ。
「失礼しまーす・・・」
やっぱり保健の先生はいない。
「んーと・・・」
消毒液は上から2段目・・・
「・・・・・・・・・」
「先生!」
去年の体育祭でもけがをしたあたしのきずを・・・介抱してくれたのは先生。
もしかして・・・って期待してた。
「君は・・・またけがをしたのか」
・・・先生は呆れ顔であたしを見下ろしてる・・・
先生に、あきれられるなんて・・・そうだよね。よく考えたら・・・
「・・・ごめんなさい・・・」
はずかしくって顔もあげられない。あたし、何を期待してたんだろ・・・
「・・・なにを謝っている」
先生の声・・・笑ってる・・・?
「先生・・・呆れてるでしょう・・・?」
「いや・・・それより、去年付き添いをつけるようにといったはずだが?」
「だって・・・」
「だって、ではない・・・その・・・葉月が、付き添うとか付き添わないとかと・・・」
「先生!聞いてたんですか?!」
先生、どこにいたんだろ・・・
「いや、近くを通りかかって・・・ああ、また君がふらふらと転ぶのが見えた・・・からな」
先生・・・私のこと見ててくれてたんだ・・・ちょっと恥ずかしいけど、嬉しい。
「、ちょっとこっちへこれるか」
「あ、はい・・・っ・・」
「大丈夫か」
「大丈夫ですよ。これくらい」
「そう、こっちへ。また去年よりもずいぶんすりむいたな。ちょっとしみるかもしれないが、洗うぞ」
そういって先生は低い位置にある蛇口をひねってあたしの傷口にあてた。
「いっ・・・・たっ・・・・」
「がまんしなさい。随分砂がはいっている・・・まったく君ももう2年になったんだ。
落ち着きなさい・・・泣くほど、痛いのか?」
痛いです。先生。
しみてしみて、先生の手が触れてくれるのはすごく嬉しいけど・・・いたー!!
「・・・しようがない・・・移動するぞ」
「えっ、やっ、先生っ」
いきなり私を横抱きにするとベッドの上に私をおろしてカーテンをひく。
まだ少し泣きがはいったままの私をおいて先生はでていってしまう。
「せ、せんせ?」
「ちょっと待っていろ」
かちゃん、という音。消毒液かな・・・水であんなにしみるんだもん。消毒液なんて・・・
カーテンがさっとあいて先生が包帯と消毒液をもってはいってくる。
そしてまたカーテンをひいた。
・・・どうせ外からは見えないのに。
「痛いぞ」
そこ、にやって笑うとこですか。
先生の優しく動く手が、私の足に触れる。
それだけでまた顔が赤くなる気がした。
・・・・先生の顔も・・・赤い?
「先生、日焼けしました?体育祭やけ?」
「・・・いや?」
「キャー!!!・・・・くっ・・ん・・」
一瞬、くらくらして、貧血でもおこすんじゃないかってくらい・・・痛かった!!
「・・・、がまんしなさい。終わったら・・・ご褒美をやろう」
ご褒美?
「・・・が、がまん・・・します・・・っ・・・ん・・」
先生はあいまいな、なんとも言えない表情でちらっとこっちを見てから、また私の傷口に視線をうつした。
「・・・これでいい。」
消毒をし、ガーゼを押さえて包帯をまいてくれた先生がゆっくり身をおこして、私の隣に座った。
先生の、組まれた長い足。
「よく、がまんしたな」
「先生・・・私のこと子供扱いしてませんか」
「・・・どうかな」
そういうとひょいと私の肩をひきよせ、
顔を近づけた。
「せっせんせ・・」
「目を閉じなさい」
そっと、優しく唇がふれた。
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