手紙 2002/9/29

 

 

 

 

 

 

---1枚目---

 

 

 

『拝啓 安部聡美様

こうして改めて手紙を書くというのもどうかとは思ったのですが、

いつも顔を合わせて話しているだけでは

伝わらない言葉。

伝わらない気持ち。

そんなものがあるかもしれないと思って

思い切って筆を取ることにしました。

 

なにを書こうかと思ったのですが、

まずは先日のことを謝罪させていただきます。

 

この前、一緒に食事に出かけたとき

仕事がとても忙しくて

頭の中が仕事のことでいっぱいで

君の話を聞いてあげることができませんでした。

 

食事が終わったあと、君に

「今日は、もう帰るね」って

寂しげに言われたとき、

僕は初めて君の気持ちに気付いたんだ。

 

本当はすぐにでも謝りたかったんだけど、

なんとなく素直になれなくて…

だから、この場を借りてまずは謝りたいと思います。

「ごめんなさい!」

 

 

そうやって考えてみると、

今まで君と付き合ってきた一年の間にも

自分としては反省すべき点をたくさんあるわけで…

 

夜中に電話がかかってきたときも眠そうに応えたりとか、

君が作ってくれた料理が舌に合わないときに文句を言ったりとか、

僕の好みと違う服装をしてきたときに

急に機嫌が悪くなったりとか…

もしかしたら、ほかにもあるのかもしれないけれども、

この際だからそんな悪かったところをすべてまとめて

謝罪します。

「全部、ごめんなさい!」

 

…なんとなく、謝ってしまうと

僕の気持ち的にはすっきりしました。

 

君は、この手紙を見て

笑うのだろうか、呆れるのだろうか。

少しだけ楽しみです。

 

もしかして、会社に通勤する山手線の電車の中で見ているのか、

それとも、自宅のベッドの上で封筒を開けているのか、

あるいは、会社のトイレでこっそり手紙を開けているのか。

 

…僕のほうは、手紙を書きながら今は少し笑っていますが

(ちょっと不気味かなぁ?)

君はどんな感じでこの手紙を読んでいますか?

今度会うときに教えてください。

 

君が、喜んでくれているなら

僕はこの上なく幸せです。

 

 

 

 

 

---2枚目---

 

 

 

 

いつもは、絶対に言葉にしないけど、

僕はいつも君のことを想っています。

 

突然でびっくりしたかな?

 

僕も、書いていて少し気恥ずかしいんだけど、

こう言う形じゃないと言えないから…

僕は、素直じゃないから…

 

だけど、これだけは本当だ。

僕は、君だけを見ている。

 

 

「愛してる」

そんな言葉を口にすることは

僕はなんだか軽い感じがするんだ。

だから、いつもなにも言わなくて

もしかして君を不安な気持ちにさせていたかもしれない。

 

でも、本当は

僕は、いつでも君のそばにいたいと想っている。

 

例えば今。

時間は午前1時。

少しだけ雨が降る音が聞こえるけれども

それ以外はなにも聞こえない、静かな夜。

 

こんなときはいつも

君は今何しているのか

君は今何を思っているのか

そんなことばかり考えています。

 

もしも、今

なにかひとつ、願いが叶うとするならば

僕は、鳥になりたい。

鳥になれば、

いつでも、どんなときでも

君の元に飛んでいくことができるから。

空の高いところから

君を見守ることができるから。

 

 

君が、

遠い海に船出をして

真っ暗な夜に道しるべを失い

あてどなく彷徨っているときには

どんなに広く、暗い海にいたとしても

僕はかならず、君を見つけてみせる。

 

そして、冷たい風に凍える君のその身体を

僕の全身を覆う 暖かい羽毛で包み込んであげる。

 

君が、辛く、悲しく、寂しい夜には

僕の心は、いつでも君のそばにいる。

 

それが、僕の

本当の気持ちです。

 

 

 

 

---3枚目---

 

 

長くなってしまいましたが、

今日はこのあたりで筆を置こうと思います。

この手紙が君の元へ届くのは

たぶん数日後だと思うけど、

僕の気持ちが一日でも早く

君の元に届きますように。

それでは、また週末に会いましょう。

 

最後に…

「僕は、君のことを

心から愛しています」

 

2002930 井上 正人』

 

 

 

 

 

 

end