ここは札幌。雪の街だ。私はここの白石という繁華街のとある探偵事務所の助手をして日がな一日を暮らしている。なにせ私の友人でこの探偵事務所を経営している探偵と言うのがやっかいな奴なのだ。
「やあやあ、ホリ岡君。今日は天気が良いね。こんな日くらい眼鏡を外したらどうだ?さてヒーコーでも飲みに行こうか。」
ボサボサの頭に鷲鼻。背は低い。この男がこの事務所の探偵。私の雇い主だ。
「金太一君、やっと起きたのかい?僕はもうドンキーで一発出して来たよ。」
我々は白石駅に程近い某ハンバーガーショップに足を運んだ。このことが今回の事件の発端になろうとは予期しなかった。2人とも朝のバリューセットを頼む。
「ああ、飲み物はヒーコーね。もちろんアイスで。」
金太一はいつもコーヒーを愛飲している。逆さに読むのが特徴的だ。
のんびり雑談しながら気だるい午前中が過ぎる・・・はずだった。
40年間解かれていない謎!?
昭和中期の猟奇殺人!!!
ある雑誌に書かれていた特集記事がそんな休日の午前を変えた。
「金太一君、この事件を知っているかい?40年間、日本人が誰も解けていない謎なんだ。」
「なんだい、朝っぱらから。ホリ岡君。よしてくれたまえ。」
「まあ、読んでみろよ。金太一君。」私はその雑誌を手渡した。
その事件とは昭和中期に遡る。アヘ沢一計なる人物が謎の手記を残し、自分の息子6人の一物を切り取り、惨殺した。不可解なのは一計は一物を全て切り取るのではなく、それぞれ6等分した一部のみ切り取り、それらを全て縫い合わせ「アゾートチン」と言う完全なる男性自身を創る。といったものだ。そして一計も自宅ですぐに自害し、全ては謎に包まれた。それから日本各地でアゾートチン探しが一大ブームとなったが未だそれは発見されていない。
「おおおおおおお!」読み終えた金太一は突然吼え始めた。
「どうしたんだ、金太一!」
「わかったぞ、これから犯人の所へ行くとしよう。」
札幌。円山西町。ある山間の豪邸だ。「アヘ二計」と表札が出ている。アヘ沢一計と何か関係があるのだろうか。
金太一がチャイムをチンと鳴らすと、「はい」と歳老いた老人が出てきた。
「ホワット?」
なぜかその老人は横文字を使った。
「私はとある探偵の金太一と申します。突然ですがあなたがアヘ沢一計ですね。そして40年前のあの事件の犯人でいらっしゃる。」
「ホワイ・・・?」またも横文字で老人は言葉を失った。
そしてポツリポツリと語り始めた。
「その通りでございます。私が犯人です。バカなことをしてしまいました。」
「アヘ沢さん、私はこの事件のことを警察に言わなければなりません。ただ警察が来るのは今日の夕方くらいでしょう。そのときに何処にいようとあなたの自由です。」
老人は深く一礼をして豪邸に消えて行った。我々がその老人の自殺を知ったのはその夜のことだった。そして3日後、アヘ沢一計からの手紙が届いた。どうやら自殺する前に書いたらしい。
金太一中年へ
私は罪を償わなければなりません。ですから、これから自害いたしますが、その前に
謎を解いたあなただけには全てを語らずにはいられませんでした。
40年前。
私の一物は凡人に比較しとても矮小で悩んでおりました。
そこで一物が大きい息子6人のモノを切り取って私のモノにしてしまおうという
悪魔的な考えを思いついたのです。
しかしアゾートチンは上手く私の股間に付きませんでした。
そこで私は友人の新江田(あらえだ)Kを殺し、私の死体のように見せました。
どうやらそれで警察は騙せたようです。
その後名前を「アヘ沢一計」から「アヘ二計」に変え円山西町に
移り住みました。
後悔し何度も自首しようと思いましたが出来ません。
すぐ警察に捕まると思っていましたが、私の髪が薄くなったことで
私が「アヘ沢一計」とは
誰も気付かなかったようでした。
それから40年もタイムゴーズバイしたのです。
あなたは可能性がある。これから大きな仕事もアベイラブルでしょう。
それではお元気で。
シーユー。
手記を読み終えた我々はしばしチン黙した。
「でもどうしてアヘが犯人だって気付いたんだい?金太一君」
「そんなのは簡単さ。ここに重大なヒントが書いてあるだろう。アヘは死んでいない、生きているってね」
金太一は無造作に例の雑誌を投げてよこした。
ページの隅にこう書いてある。
アヘ沢の死体のイチモツには「K@管理人」と不可解な刺青がなされていた。
「さあ、ヒーコーでも飲みに行こうか?こんな天気のいい日くらい眼鏡を外したまえ、ホリ岡君。」
これが我々の最初の事件であった。
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