虜 〜翼編〜








初めての夜。

滝沢に抱かれたその夜。



すべすべした白い肌の温もりが心地いい。

その感触がまだ身体の上に残っている。

まだその記憶が新しい気がしてならない。





僕の身体はまだ滝沢を求め続けている。





滝沢の身体、腕、指、唇、舌、そして・・・滝沢。



引き締まった身体に鍛え上げられた肉体。

隆起した胸の筋肉。

逞しい二の腕。

太く関節の浮き出た指。

しっとりと濡れた唇。

蜜を絡ませた厚みのある舌。



滝沢の全てに魅了され、

滝沢の全てを欲しがる僕の身体。







一番欲しいのは・・・滝沢。







膝を引き寄せ、背中を丸め、

自分の身体を両腕に抱きかかえる。

悲しい夜を独りで過ごすために。

自分の温みで自分を癒し一抹の寂しさを紛らわす。



滝沢に愛されたこの身体を愛しく思う。



肌の上に残る滝沢を自分の指で再び確かめる。

そして、側にはいない滝沢を想い、この身体いっぱいに感じる。



もしかしたら・・



抱かれた夜よりも、滝沢を想う夜のほうが

ずっと強く滝沢を感じるのかもしれない・・・





アノ夜の滝沢に触れたくてこの手が身体に這い回る。

決してこの手が滝沢の手に代わることがない事を知りつつ。

それでもアノ夜の魅惑的な滝沢の手に成り代わりたい。



滝沢に近づくために精一杯の努力をする。

それほどまでに滝沢に惹きつけられている僕の身体。



滝沢がいてくれるなら他に何にも要らない。

仕事も友人も家族も何もかも・・・



いままで築き上げてきた大事なもの全て、

滝沢がいてくれるなら全部失っても構わない。

お金も、地位も、名誉も、安定も、安心も、快感も・・・

滝沢から与えられる以外の物なんて何も要らない。

他の人から与えられる快楽なんて要らない。



全ては滝沢から与えられたい。

温もりも、心地よさも、安定も・・・



何より僕の身体が魅了されているのは"快楽"。

滝沢の身体に求めるものは気絶しそうなほどの"快楽"・・



それを得るためなら何もかもを捨てることが出来る。

今まで当たり前のように身の回りにあったものを全て捨て去り、

滝沢以外から与えられるものは全て拒んで、



滝沢だけを・・



滝沢だけを・・



滝沢だけを求めて、滝沢に選んでもらう。



滝沢に望んでもらうためならば自らをも犠牲にしよう。

たとえ自分に傷をつけても・・



滝沢に選んでもらえるためならば・・・



後悔・・?



後悔なんてするはずがない。

全てを投げ打っても、自らを傷つけても。



後悔という言葉を使う時があるならば、

それは滝沢に選んでもらえなかった時にだけ。



失うことなど恐れない。

失うことが恐いとすればそれは「滝沢」だけ。



滝沢だけ・・・





欲しいものは形あるものだけ。

信じられるのはそれだけ。



この目で確認出来て、確かに手で触れられるもの。

絶え間ない愛撫と温みを与えてくれるその身体。



生の温もりと、性の快楽。

確かに滝沢の身体から与えられるもの。

その身体から確かに・・・



気持ちや愛情なんて形のないものは要らない。

快楽は身体を重ねればついてくるもの。

信頼というきずなは緩むもの。

時は流れ思い出は忘れるもの。





「ソンナモノイラナイ」





無我夢中になって自分の身体を撫で回す。

感情が昂り、頭の中で思考の糸が絡みだす。



ソンナモノハイラナイ、ソンナモノハイラナイ、ソンナモノハ・・・



イラナイ





激しく滝沢を求めて息が上がる。

頭の奥で滝沢を求める強い欲望がわきあがる。



欲しいのは理性を忘れ去るような言葉を降らすその口。

一瞬で身体を強張らせ、ゆっくりと身体を絆すその声。

身体中に花を咲かすことの出来るその唇。

きつく身体を拘束し、いつまでもこの身体を捕らえていてくれる腕。

身体中に快感をもたらす繊細な指。







僕を埋めることの出来る唯一のもの、滝沢・・・







たった一度の夜に忘れられない傷を刻み込まれた僕の身体。

僕は永遠に開放されることのない滝沢の奴隷。

死ぬまでこの欲望と戦わなくてはならない。

僕はあの身体に魅了された中毒者。





禁忌に手を染めた罪人。

消えない罪を背負い続ける囚人。

堕落と悦楽の狭間で悩み苦しむ一人の人間。





全てを投げうち、滝沢を求める。

与えられるものは身体と快楽。

それが僕の望んだもの・・・





僕の身体は滝沢の虜・・・


















あとがき

虜 翼視点いかがでしたでしょうか?
実はコレ、『初夜』を書いた後に書くことを決めていました。
それをBDにするとは思ってもいませんでしたが・・・
ワタクシ忙しい時は滝沢様同様翼を欲し、求め、欲情するようです。
ですので、このような欲しい欲しいものがアップされた時は
「溜まってるのね?くすっ」とでも思ってやってください。
それでは誕生日おめでとうvv翼君。
来年もこうして祝わせてね。

          2001/10/18   碧