告った。
振られた。
でも好きだ。

 

 

 

「恋の呪文」
 
 
 
ぬるい夏の夜。
まとわりつく風。
肌を湿らす汗。
鳴き止む虫の音。
止まる時間。
こわばる顔。
見つめる瞳。
交わる視線。
オレは言った。
「斗真が好きだ」と。
 
彼は黙った。
線香花火が燃え尽きるまで。
そして答えた。
たった一言。
「ごめん」の一言。
 
残した言葉。
残されたオレ。
歩き去る君。
動き出す時間。
動けないオレ。
振り返る君。
期待するオレ。
求める瞳。
君の言葉。
「嘘」の一言。
 
歪む笑顔。
開く口唇。
残す一言。
「ごめん」の一言。
変わらぬ言葉。
「ごめん」の一言。
歩き出す君。
動けない僕。
 
立ちすくむオレ。
噛み締める唇。
握る拳。
震える身体。
溜る涙。
 

後ろ姿に呪文をかける。
“好きになってよ”
100回呟く。
恋の呪文。
100回呟く。
嘘でもいいから「嘘」と言って・・・