ガラガラガラッ

「マヤ先生。」

「あら、シンジくん。どうしたの?」

「ちょっと、寒気がして・・・」

「えっ、どれどれ?」

「マ、マヤ先生・・・」

「すこし、熱があるわねぇ。」

「おでこで計るんですか?」

「そうよ、これが一番の方法なのよ。」

「そうなんですか・・・・・・」

「なんだか、脈もはやいみたい。」

「次の授業、ミサト先生の数学なんですけど・・・」

「う〜ん、ミサト先輩の授業となると考えものねぇ。」

「どういうことですか?」

「ムリは禁物ってことよ。そこのベッドで休んできなさい。」

「えっ?」

「ミサト先生には、ちゃんと伝えておくから・・・」

 


 

マヤ先生とシンジ君の関係

 

                                                   present by ちひろ


 

「ほらっ、服を脱いで、楽にして。」

中腰になって、シンジのワイシャツのボタンに手を掛けるマヤ。

「なっ、なんかはずかしいです、ボク。」

女の子のような仕草で体をくねらせ、それを拒むシンジ。

その仕草を見て、マヤは妙な感覚に襲われる。

な、なんか、シンジ君を見ていると、ムラムラっとこう・・・・・・

はっ!

いけないわマヤ。

わたしはこれでも、いち保健医のはずよ。

ちゃんと、診察してやらなきゃ。

シンジ君に無理やり命令して、どうして欲しいのだの、シンジ君の体にイタズラしたいだの、なんて考えてはイケナイわ。

で、でも・・・・・・

この嫌がるシンジ君の姿がまた何とも言えずそそるのよね。

たまらないわ、この仕草。

家に連れて帰ろうかしら。

「・・・先生、マヤ先生?」

「えっ?」

「そ、そんなに見詰めないでください。ボク、はづかしいです」

「あっ、ゴ、ゴメンね」

もう、マヤったら、イケナイ子!

危なくボロを出すとこだったわ。

何度も言うようだけど、私は保険医よ。

ここでは、理性を保って冷静にいくのよ。

「ねぇ、シンジ君・・・とりあえず、脱がなくちゃね」

「どうしても・・・ですか?」

なに、照れちゃってるのかしら?

か〜わいっ。

食べたくなっちゃうわね。

「はやく脱ぎなさい」

あっ、ヤダ、私ったら。

思わず、命令口調になっちゃったじゃない。

シンジ君のか弱いところを見ると、メチャクチャにしたくなっちゃう。

「で、でも・・・」

あぁん、もう、ダメ。

「しょうがないわねぇ、じゃあ、センセイが脱がしてあげる。」

マヤがシンジに手を掛ける。

ワイシャツのボタンを上から外し、勢い余ったのかズボンのベルトにまで手を伸ばす。

ここで、シンジのストップがかからなかったならば、チャックにまでいっていたであろう。

危ういところである。

我に帰ったマヤが、そう言えば、自分は保険医としてここにいるという事を思い出す。

「下も窮屈じゃないかと思ってね」

弁解の余地もないが、取り合えず思いついた言い訳を言う。

「そ、そんなじろじろ見ないでください。」

「じゃあこれに着替えて。」

差し出されたモノを見て、一言。

「・・・・・・なんでウサギの耳なんですか?」

ピンク色のコスチュームと白いハイヒールも入っている。

「そりゃあ、シンジ君のか弱さをさらに引き立て・・・・・・はっ!じゃ、じゃあなくて、動きやすさに視点を置いて開発された新しいパジャマなのよ、それ」

「へぇ〜〜〜」

疑う事を知らないのか、言われた事を鵜呑みにしてしまうシンジ。

そして、何のためらいもなく着替え始める。

その様子を、逐一逃さず、それこそ舐め回すように見るマヤ。

しかし、最後の耳をつけるところで動きが止まる。

「やっぱり、これも付けるんですか?」

それを付けなければこのコスチュームを着せた意味がない。

「付けるのぉ〜〜〜!!!」

駄々をこねるマヤ。

「わ、わかりました」

ドキドキしながら、そのシンジの完全装着の姿を待つマヤ。

「これで、いいですか?」

「・・・・・・」

「マヤ先生??」

「もうダメ・・・・・・」

「えっ?」

「もう、ダメなの・・・・・・」

「何がです??」

「もう、ガマンできないの!シンジく〜〜ん!!」

「う、うわっ!」

バニー姿のシンジを引き寄せ、ギュウっと抱きしめ、頬ずりをするマヤ。

「サラサラの髪にプニプニした頬・・・・・・どうしてこんなに可愛いの、シンジ君は」

「ちょっと、マヤさん」

「もう、チュッチュしちゃうからっ」

シンジの頬にキスの雨を降らせるマヤ。

普段の性格からは想像がつかない行動である。

保健室という密室で、シンジという獲物とふたりっきり、というシチュエーションが、そうさせていると推測される。

それはともかくとして、お姉さんのように慕っていたマヤ先生からのこの連続攻撃に、シンジはもう落城寸前だった。

「ねぇ〜え、シンジ君」

「は、はひ?」

「今日、私のマンションに来ない?」

「はっ??」

「っていうか、来なさい、来るべきよ、約束したわよ絶対よ」

畳み掛けるように強引な言葉を浴びせる。

「そんな勝手に・・・」

「そうよね、勝手よね。こんな身勝手な女、シンジ君は嫌いよね」

「マヤ先生??」

「生きてる価値のない女なのよ私は。こんな私は、死んだほうがマシよ!」

「わ〜、飛び降りちゃダメ!」

窓枠に手を掛け、飛び降りようとするマヤを、慌てて後ろから抑える。

ちなみに、保健室は1階である。

「私のこと好き?」

「は?」

「嫌いなのね!」

再度、窓枠に手を掛けるマヤ。

「わ〜!好きです、大好きですから、死なないでマヤ先生!」

その言葉を待ってましたとばかりに、くるりと振り返るマヤ。

「ホント?」

「お、男に二言はありません」

満面の笑みを浮かべて、シンジの手を取る。

「今の言葉、忘れないでねっ。じゃあ、夕飯作って待ってるから」

余りにも事の運びの速いマヤに、折れるシンジ。

「は、はい」

仕方なく生返事をしてしまう。

「でも、アスカが・・・・・・」

「何?」

「綾波も居るし・・・・・・」

「それって来れないって事?」

「シンジ君にとっては、所詮、それだけの女なのよねっ」

自分の体を抱く様にして小さく震え、グスッと涙ぐむ。

「かなり、難し・・・」

シンジが言いきらぬうちに、後ろを振り向き、なにやら、戸棚をゴソゴソやり始めるマヤ。

「このブドウ糖を打って死んでやるぅ〜〜〜〜」

大袈裟に注射器を振り上げ、さぁ打っちゃうわよと脅しを掛ける。

そして、それを、間に受ける少年。

「わーー!分かりました,何とかしてみます。だから、そういう事はやめてください!」

「ホントね?」

パッと笑顔になる。

ここまできて、演技と気づかないところに、彼の人並み外れた鈍感さが伺える。

「はい、なんとか抜け出してきますから」

「じゃあ、約束の指きりして」

と、シンジの小指を取って、自分のと絡める。

「とにかく待ってるからねっ、シンジ君」

優しく耳打ちして、彼の気を引き、言葉の最後に、フ〜ッとあま〜い息を吹きかける。

もう、どうでも良くなりそうなくらいクラクラのシンジ。

「来なかったら、ウサギさんどころじゃなくなるんだからっ」

そう言って、彼をクラスに送り出すマヤなのであった。

 

 

 

 

 

 

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン

「さぁ、帰るわよ、シンジ!」

ドンと、シンジの机の上にカバンを置くアスカ。

「碇くん、いっしょに帰ろっ!」

アスカとほとんど同時に、シンジの机に詰め寄るレイ。

そして、案の定、始まるトークバトル。

それを、また始まったと呆れながらも観戦してしまう、クラスの面々。

「シンジはアタシと一緒に帰るのっ!アンタはすっこんでなさいっ!」

「ダメよ!碇くんと一緒に帰るのはこの私よ。」

「アンタ、家が一緒だからっていい気になってんじゃないの!?」

「そうよ!事実だもの。碇君のご両親公認の仲なのよ、私たち」

「なぁ〜にが公認の仲よ!そんなのアンタが勝手に思いこんでるだけじゃない!!」

「アナタはタダの幼馴染みなでしょ。もう、碇くんに付きまとわないで!」

「それはこっちのセリフよ!」

「やめてよ、ふたりとも!」

「アンタはすっこんでなさい!!」

「碇くんは、黙ってて!!」

バチバチバチバチッ!!

シンジの机を挟んで、激しい火花を散らすふたりの美少女。

女の凄みを感じる、シンジとクラスの男子一同。

とにかく、今日はマヤの事もあり、無難にコトを運びたいと願うシンジ。

が、しかし、そんな彼の思惑は、レイの次のセリフと共に粉々に打ち砕かれる事となる。

「碇くんの好きなパンティーの柄も知らないくせに!」

教室中が金縛る。

「きゃぁ〜、ふたりともフケツよ!」

「シンジー!この裏切りもん!!!」

「碇、オマエだけはそんな事しないと思ってたのに〜!!」

今まで静観していたクラスの面々から激しい罵声が飛ぶ。

「なななな、なに言ってんだよ綾波!」

動揺しまくりのシンジ。

構わずトドメを差すように、言葉を続けるレイ。

「今日の下着だって、碇くんが決めてるんだからっ!」

「それは、綾波が毎朝下着のままボクの部屋に入ってきて、どれにしたらいいって言うもんだから、つい・・・・・・」

まったく弁解になっていない、シンジのセリフ。

「ア、アスカ誤解だよ。何もしてないって!脱ぐ時のちょっと下ろすの手伝ってるだけだよ!」

このセリフを合図に、クラス一同、クモの子を散らした様に教室を退散する。

「うふふふっ、面白い冗談ね、シ〜ンちゃん」

得体の知れない笑みを浮かべるアスカ。

釣られて、シンジも笑う。

「ア、ハハハッ、そ、そうかな?」

「あとで、ご褒美あげるねっ!」

「えっ、ホント!?」

「うんっ、とびっきりパワフルで身の毛もよだつヤツを」

「へ〜、なにそれ、どんなの??」

「それは、帰ってからのお・た・の・し・みっ!(はぁと)」

「ありがとっ、アスカ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、シンジがマヤのマンションに姿を現すことはなかった。

 

終劇


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